BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――さあ、大晦日決戦!の12人

 さあ、今年の女王決戦が明日に迫った。1~3号艇が、今年の女子戦線をリードしてきた3人。グランプリシリーズに出場した3人だ。まさにSGクラス。外枠には、2年連続クイクラ準V、そして積み上げた素晴らしい実績がある選手が入った。興味深い一戦!

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優勝戦1号艇 遠藤エミ……3連勝! バックで松本晶恵に一気に追いついた足は迫力たっぷりだった。レース後は微笑を浮かべる程度だったが、優勝のチャンスが最大限まで膨らんだ手応えは得たはずだ。その雰囲気が、もはや図抜けていたというしかない。

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優勝戦2号艇 小野生奈……レース前から穏やかな表情で、レース後も笑みが浮かんでいた。会見では「グランプリシリーズのとき、3人でクイーンズクライマックスも頑張ろうって言ってたんです。その3人が内枠というのは嬉しいですね」と笑っている。今節は笑顔が目立つなあ。本音なんだろうか。意欲が強く表にあらわれないようにしている、と言ったら考え過ぎだろうか。

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優勝戦3号艇 長嶋万記……2着ではあったが、できる限りのターンはできたようで、ゴキゲンなのであった。「スタートは『私は菊地孝平だ』というつもりで行ったんですけど、途中で自分が出てきた」と会見では語ってもいた。舌も滑らかだったのだ。「去年(のクイーンズクライマックス)より緊張してます。去年は楽しい感じでしたけど、今年はやっぱり優勝したいという気持ちが強いんでしょうね」。心の芯には強い思いをどっしりと据えて戦っている長嶋。その意気や良し、だ。

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優勝戦4号艇 平高奈菜……逃げ切りを決めた直後は、特に表情を変えず。勝負駆け成功の高揚感のようなものも、あらわにはしていなかった。粛々と、明日は優勝を目指す。会見からは、このコメントを紹介しておこう。「桐生(順平)くんがグランプリを獲ったのが大きいですね」。同期の快挙を見て、やはり刺激を受けていたのだ。もちろん続きたいと、100期で年末を締めくくりたいと願っている。

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優勝戦5号艇 寺田千恵……5着大敗に、レースを失敗したという思いが強いのか、ヘルメットの奥で目元がひたすら歪んでいた。控室に戻る際には、愚痴をこぼしまくっていたのか、隣を歩いていた渡辺千草が大爆笑。ついにはテラッチ、がっくりと膝を落として、床に這いつくばってしまった。こんなテラッチ、見たことない! 明日も同じ枠番だが、レース後は崩れ落ちることなどありませんように。

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優勝戦6号艇 海野ゆかり……2周1マークで後退した時、レースを見守っていた選手のなかから、「あー、何をやってるんだよ~」という悲鳴のような声が響いていた。海野も、ここを大きく悔いたのだろう。レース後はただただ「やっちまった」というような力ない表情を見せていた。会見によると、調整も大失敗だったそうだ。試運転では良かったのに、本番ではおかしくなっていた、と「試運転番長」という言葉を使って悔いていた。明日はそれをひとつの糧として、6コースからでも勝負できるような足を追求していくことだろう。「最後はエンジンの力を信じて、自信をもっていけるようにしたい」。そう、エース機のポテンシャルをとにかく引き出すだけだ。

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次点 松本晶恵……逃げ切ったはずなのに……。2着で一応のボーダーには届いたとはいえ、松本は青ざめたような表情になっていた。報道カメラマンたちは、松本にガッツポーズを要求し、フラッシュの雨を浴びせていた。優勝戦に残った場合に押さえておこうというのだろう。松本はそれに笑顔で応えていた。だが、カメラの放列から離れると、真顔に戻った。逃げ切れなかったこと、遠藤との足の差を思い知らされたこと、それが心を曇らせるのは当然だ。残念ながら、12R後の松本の姿は見つけられなかった。連覇が途絶えたことも含めて、悲しい思いに苛まれていたことだろう。

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細川裕子……道中は必死で前を追ったが4着。2戦目の6着より成績は上がったが、何の意味もないことだろう。昨日のレース後と表情はよく似ていた。その固まった顔つきからは、初のクイーンズクライマックスを単なる経験だけに終わらせるつもりがなかったということが伝わってきた。来年こそ!

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山川美由紀……やることはやった、という思いはあるかもしれないが、やはり悔しいものは悔しい! 仲間に囲まれてレースを振り返る際には、時折声のボリュームが上がったりもしていた。トライアル最終戦を熱くしてくれたのは間違いなくこの人! 控室に戻る途中、松本の姿を見かけると駆け寄り、背中に軽く腕を回して、進入の件について声をかけていた。「前付けごめん」といったところだろう。松本は丁寧に頭を下げ返してノーサイド。女子戦でもこうした前付け、あるいはレース後のシーンをもっと見たい!

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樋口由加里……3着という結果に、昨日よりは表情が明るいレース後だった。なんとか最後に意地を見せられたというところか。明日の順位決定戦でも健気にハツラツと走る姿が見たい!

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川野芽唯……6着続きから脱した、といっても4着では顔が晴れるわけがない。むしろ、昨日よりも露骨に顔をしかめるシーンがあったくらいだ。まるで目立てずにトライアルを終えたことがただただ悔しい! この思いは、来年も出場を果たし、その舞台で晴らしてほしいぞ。

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田口節子……昨日同様に、控室に戻る間じゅう、取り囲んだ岡山勢らがおかしそうに笑っていたのだった。やっぱり愚痴が出まくったのか。田口も来年、この舞台に帰ってきて、5年前の大村で落としたものを拾ってほしい。

 

 というわけで、今年もトライアル終了。大晦日決戦になだれ込んでいく。敗退した6人の思いも背負いながら、ファイナリストたちは戦うことになるだろう。遠藤が完全優勝を果たすのか、小野が夏冬女王コンプリートを果たすのか、先輩たちがそれにストップをかけるのか。発祥地の年末は、いよいよ佳境である。

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 シリーズ組。日高逸子には痺れた! スタート展示よりもグリグリっと動いてコース奪取、そして優出。素晴らしい勝負師と言うしかない。しかも明日は6号艇なのだから、シリーズの優勝戦も激戦必至だぞ! 優出を称える報道陣にニコニコと応える様子にも痺れた。やっぱりグレートマザーはすごい。

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 谷川里江にも痺れた。2周1マーク、接触して流れてくる三浦永理を冷静に交わしたシーンは、まさに百戦錬磨の冷静な判断だ。それも優出がかかる2着争いの最中なのだから、踏んできた修羅場の違いを感じさせた。こちらも、優出を称える仲間らに向けてニコニコニコ。日高6枠に対する5枠に入って、谷川が何を見せてくれるのか、本当に楽しみ!

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 中谷朋子の逃げ切りもさすが。スリットではのぞかれたが、慌てず騒がずきっちり先マイ。勝利後に派手なアクションを見せるタイプではなく、淡々と山川美由紀と話し込むのみだったが、カメラマンにガッツポーズを要求されると、直立不動で深々と頭を下げて笑いを誘っていた。そのとき見せたスマイルが素敵すぎたぞ!

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 この強力3000番台と対峙するのが、廣中智紗衣、鈴木成美、竹井奈美だ。なかでも、1号艇の竹井はおそらく深い起こしを強いられての戦いになるだろう。昨年のクイクラ準Vの意地を見せるのか。10R勝利後は安堵の色が浮かんでいたが、明日はこれを歓喜に変えられるか。中村桃佳と笑顔でレースを振り返っていた廣中、松瀬弘美の言葉に微笑を浮かべ耳を傾けていた鈴木はどんな勝ち筋を見つけてくるのか。とにかく、シリーズ優勝戦もアツい!(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)