BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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浜名湖クラシックTOPICS 初日

個性派たちの「ピン・ロク」

 今年のSG開幕デーは「イン6勝×その他6勝」と見事に星を分けた。近年の傾向からすれば、イン以外がかなり健闘した初日と言えるだろう。その大きな原動力のひとつは、「進入のもつれ」だ。いきなり1Rから1235/64という変則隊形になって、⑥魚谷智之の5カドまくりがものの見事に決まった(広い浜名湖水面、6コースなら届いていなかったはず)。

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 続く2Rは、まさに作戦待機行動が波乱の結果を引き起こした。5号艇の白井英治が前付けに動くと、2号艇の三井所尊春はそれを招き入れつつ嬉々として(?)舳先を翻した。得意の3カドアタックだ。おそらく、この猛攻を警戒したであろうイン土屋智則は、スタート勝負に出過ぎて痛恨のフライング。コンマ13だった三井所は、それでも土屋をまくりきってしまった。なんという破壊力!

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 思えば、去年の多摩川周年でのGI初制覇=クラシックの権利をゲットしたのも「3カドまくり」。2着も同じ白井英治だったわけだが、今節の三井所にはまだ3号艇が残されていることを常に念頭に入れておきたい。さらには、外枠でのチルトアップも。今日の後半8Rは6号艇でマイナス0・5度→6着大敗だっただけに、今後は作戦を変えてくる可能性もあるだろう。たとえば準優が6号艇だったりしたら、この神出鬼没の超個性派レーサーは、何らかのゲリラ戦を仕掛けると思ったほうがいい(←希望的観測)。
 さて、そんなこんなで今日の浜名湖水面は「枠なり6回×非枠なり6回」と、これまた真っ二つ。びわこレディースオールスターで72戦71回の枠なりを見続けた直後だけに、ひどく新鮮な光景でもあった。ここ数年のSGは「枠なり3対3」ばかりが目立ったものだが、熾烈なコース争いが繰り広げられた昨年のグランプリの余波・余熱がまだまだ残っているのかも? でもって初日からこれだけ動きがあれば、「やられたらやり返す」的な流れも含めて、明日以降もピットアウトから目が離せないな。江口晃生や松井繁だけでなく、常に進入のもつれを警戒しておきたい。

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 あ、それからそれから、今日の立役者として「スタート攻勢」もピックアップしなければ。その代表は、もちろん菊地孝平だ。前半3Rはコンマ13から展開がなく6着惨敗。それで腹を据えたであろう菊地は、8Rで勝負に出た。3コースからコンマ04(おそらく全速)の一撃まくり! 内2艇もゼロ台まで踏み込んでいたのだが、それでも自力で攻めるのが菊地孝平という男。今節は地元水面でもあり、明日以降もコース不問で「スタート勝負~絞めまくり」を打つ可能性は極めて高い。それに連動する選手も含めて「菊地の外枠に大穴あり」という鉄則を肝に銘じておきたい。

思わぬパワー戦国時代??

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 初日を終えてのパワー診断を記しておこう。節イチ候補はやはり岡崎恭裕47号機で、ストレート足を主武器としてアタマひとつほど抜けている。ただ、昨日も指摘したように、スリット前後の破壊力にはやや物足りなさを感じたし、レース足もまだ仕上がりきっていない印象を受けた。5コースから得意の全速まくり差しを狙った11R、ターン出口の引き波でやや艇が暴れ、そこで減速を余儀なくされた光景が気になった。本来の47号機なら一気に突き抜けでも不思議じゃないのだが……まあ、今日のところはSS→S級にしておきたい。明日以降、回転をしっかり合わせきれれば、さらにパワフルな節イチになるだろう。

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 一方、去年の4月~10月まで絶対エースに君臨した62号機は……「ヒドイ」の一語。昨日は希望的観測も込めてA級の片隅に入れたのだが、原田幸哉の必死の整備も虚しく5着4着。どちらも道中で競り負けており、お世辞にもAは付けられないことがはっきりした。原田本人も黒須田に「色々やってもダメ、まったくのフツー」と泣きを入れたそうで、完全にお手上げ状態と言えるだろう。今後も整備によって一変(=展示タイムがアップするはず)の可能性はあるが、現状は中堅ど真ん中のBが最適だと思う、クーーーッ。
 昨日のSランク組でも、前本泰和17号機はいささか買い被りだったか。S指名の根拠が「A/幸哉と吉田拡郎の足合わせで拡郎がやや優勢→B/拡郎と前本の足合わせで前本が優勢→前本は幸哉62号機より強力なのでS級か」という三段論法だったのだが、今日の幸哉の足色でこの根拠が足元から崩れてしまった。今日の前本の足色は「上位の下」くらいだったと思う。とりあえずA級に降格。
 同じくS指名の白井英治44号機は2・2着と無難にまとめたものの、足色としては「?」だった。特にストレート足が一息で、期待していた「全部の足がAのバランス型でトータルS」という見立てより、行き足~伸びがB程度でしかなかった。総じて今日の仕上がりはA級ど真ん中が妥当だろう。

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 昨日のA指名では、長嶋万記&海野ゆかりの女子コンビは見立て通りの足。万記はインコースで一気にまくられたし、海野も3番手から5着までずり下がったが、道中の足色はストレート主体に強力だった。この着順で人気が下落するなら、むしろ絶好の狙い目になると思うのだがどうか。

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 2・2着だった今村豊とインコースでまくられた須藤博倫は「上位の下」という感じ。むしろ、このふたりよりも瓜生正義、井口佳典、山本隆幸、寺田祥の方が強めに見えた。さらに、松井繁23号機はかなりサプライズ。まったく伸びないと思っていたモーターなのに、今日の2戦は出色の展示時計をマーク。その時計通りの強めの足色で危なげなく2・2着とポイントを加算した。王者のペラ整備に、何らかの“異変”が起きているのかも?? 以上の見立てをまとめておこう。

初日の独断パワー診断
★S級…岡崎恭裕
★A級…白井英治、長嶋万記、海野ゆかり、瓜生正義、井口佳典、寺田祥、今村豊、前本泰和、松井繁

 Aランクがやたらと増えてしまったが、現状のパワー相場は下馬評以上の戦国模様=それ故の群雄割拠と理解していただきたい。もちろん、今後の調整次第で岡崎47号機が一気に天下を盗る可能性も否めないのだが……。(text/畠山、photos/シギー中尾)