BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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大村クラシックTOPICS 4日目

徒労の交錯

11R
①片岡雅裕(香川)09
②菊地孝平(静岡)13
③磯部 誠(愛知)12
④椎名 豊(群馬)07
⑤馬場貴也(滋賀)10
⑥山口 剛(広島)15

 まだ“審判”が下りない中で書きはじめているが、このレースにもアクシデントの火種が見られた。まあいい、これは後ほど。

 穏やかな枠なり3対3の進入から、スリットで気を吐いたのが4カドの椎名だ。昨日まで後手を踏んだスタートに活を入れ、今日はコンマ07のトップタイミング。だが、その後の伸び足に迫力はなく、すぐにカド受けの磯部に追いつかれる。さすがの「まくり怪獣」も得意の絞め込みを自重し、磯部が握るのを待っての二番差しとなった。

 だがしかし、その最内の二番差しがクリーンヒット。他艇の小競り合いを横目にスパーンと引き波を通過し、逃げる片岡の二番手に取りついた。昨日は6着大敗でも、ここ2着=9点増しなら明日への夢が広がるところ。後続に2艇身ほどの差をつけての1周2マーク、椎名は早々にケリをつけるべく全速マイで旋回しのだが……。

 ここだ。椎名の後方から菊地がほぼ真っすぐ斜めに突っ込み、ぴったり艇が重なって押っ付ける格好になった。この猛攻に椎名は真横に流れ、消波装置の手前でなんとか態勢を立て直した。が、もはや前とは大差の4、5番手に後退。
 と、ここまで書いたところで、菊地への審判が下された。「1周2マークの追い抜き不良=不良航法で-7点」。昨日ほどの惨劇ではないが、今日の11Rもまた後味の悪いアクシデントが発生してしまった。普段はほとんど突っ込みなんぞは見せない菊地なのだが……やはりGPトライアルには魔物が潜む、ということなのか。

 絶好枠を利してしっかりガッチリ逃げた片岡は3着・1着=17点で完走当確! 1周2マークの混戦を冷静に差し抜けた磯部は、連続の2着=18点でこれまた当確!! 3着入線した菊地は前出・7点の減点を頂戴してトータル10点止まり。道中での追い上げ及ばず馬場は連日の4着=12点。そして、バック2番手から5着まで陥落した椎名はトータル9点……ファイナル進出に事実上の赤信号が点った。

50号機の片鱗

12R
①深谷知博(静岡)07
②羽野直也(福岡)08
③白井英治(山口)16
④池田浩二(愛知)13
⑤原田幸哉(長崎)12
⑥丸野一樹(滋賀)19

 昨日からのトライアル4戦で、このレースがもっとも平和的な決着だったか。穏やかな枠なり3対3から、内2艇がしっかりゼロ台踏み込み。それより凹んだ白井が羽野にツケマイを浴びせつつ「見えないところからのまくり差し」で襲い掛かったが、イン深谷はまったく寄せつけない出口の押し足で独走に持ち込んだ。

 そう、この1マークの出口で幸哉が振り込み、あわや落水、転覆か? という火種もあったが、ギリギリで態勢を立て直して0点を免れた(実にアクロバティックな危機回避、流石だ!)。もちろん、地元ファンからすれば「大差の6着」は痛恨のアクシデントではあったのだが。

 ひとりポツネンと置かれた幸哉も含めて、このレースは2周目あたりで縦長の展開になった。トライアルでは珍しい平穏パターンではあるが、これもまたボートレースの一形態だ。ひとり旅の深谷が悠然とゴールを通過する。上りタイムの1分45秒9はかなり秀逸で、究極のタイムアタッカー毒島誠の45秒6に迫る二番時計だった。50号機、やはりタダ者ではない。

 昨日に続いて2着で入線した白井は、優先順位で磯部を上回り暫定トップに躍り出た。もちろん、明日1着なら自力トップだが、直接対決の片岡も1着でトップ浮上だからして「自力の勝負駆けがふたりいる」と考えていいだろう。

 3着は慌てず騒がず冷静に捌き続けている池田。明日は5号艇となかなか枠番に恵まれないが、2着=21点を取りきるだけのパワーはありそうだ。
 4着はF後の丸野。羽野と幸哉はその後塵を拝する大敗となったが、明日はともに1号艇をGET! レース場に隣接する“竜神島”の主は、いったい誰を応援しているのか……初の1億円バトルに、あれこれ迷いながら楽しんでおられるのではなかろうか。(photos/シギー中尾、text/畠山)