BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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徳山グラチャン 準優ダイジェスト

クラッシュの果てに

10R
①峰 竜太(佐賀) 19
②重成一人(香川) 13
③田中信一郎(大阪)07
④長田頼宗(東京) 12
⑤菊地孝平(静岡) 12
⑥桐生順平(埼玉) 11

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 3連単193670円、120番人気。艇史に残る大波乱を演出したのは、1号艇の峰だ。まずは、スタートで後手を踏んでしまう。コンマ19だからドカ遅れというレベルではないのだが、3コース信一郎のコンマ07とは大差。勢い信一郎が伸びなりに襲い掛かる。峰はとりあえず先マイを目指し、真横に流れながら信一郎の猛攻をブロックした。そして、すぐに態勢を立て直したあたりは、さすがに非凡な旋回力だ。

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 が、この一連の勝負手は峰の出足を奪い、なかなか前に進まない。その内水域にそれぞれ差した重成、菊地、桐生が殺到した。とりわけ足色が目立ったのは最内の桐生だ。伸び足が良いと言うより、ブレーキをかけない特有のターンでスムースに推進している、という伸び方に見えた。これまたさすがの旋回力。
 内の桐生か、外の峰か。
 内外が離れ、バック中間ではまったく分からない。①-⑥をそれなりに、⑥-①をこっそりバラ券で仕込んでいた私は「どっちが得かな?」などとほくそ笑んでいたものだ。
 が、直後にそれは起こる。峰がじわりと内に艇を寄せて背後の重成を絞めきった瞬間、重成の舳先が峰のモーターを直撃した(と思う)。もっとも危ないパターンの接触事故。峰の艇は凄まじいスプラッシュとともにぐるり180度右方向に回転し、玉突き状態で接触した菊地の艇も舳先が天上を向くほどに跳ね上がった。よくぞ、落水も転覆もしなかったものだ。

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 しっちゃかめっちゃかの惨事を横目に、ただひとりだけまったく煽りを受けなかった桐生が2マークをシャープに旋回した。昨日は5コースから展開ズッポリのまくり差しを決めてギリギリ準優に滑り込み。今日は6コースからこの大金星でファイナルの好枠へ。いつも思うことだが、「持っている男」としか言いようがない。対照的にあの男は……別の意味でスケールのでかい何かを持っているのだろうか。

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 SGの賞典レース史上の最高配当=120番人気のオッズを演出した峰は、選手責任のタイムオーバー&不良航法(峰の代弁をさせてもらうと、あの締め込みは誰もがやっているレベルのもの。ただ、偶発的な接触→玉突きが起こったために、その起点としての責任を負う形になったと思われる)というペナルティとともに徳山を後にした(私傷病)。この男は、どんどん記録よりも記憶に残る男に傾いているような……。
 1着・桐生、2着・長田。
 今日は機力についてあまり触れないつもり(ちょいと見立ての自信をなくしてます)なのだが、桐生、長田ともに優勝戦ではやや物足りない気がしている。

ホワイト・シャーク・ホワイト

11R
①白井英治(山口) 05
②濱野谷憲吾(東京)08
③小野生奈(福岡) 09
④山田康二(佐賀) 19
⑤守田俊介(滋賀) 14
⑥原田幸哉(長崎) 11

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 今日の準優の中でもっとも穏やかというか、オーソドックスなレースだった。枠なり4対2から、イン白井のコンマ05はじめ内3艇が素晴らしい踏み込み。憲吾が差して生奈が握ったが、地元のホワイトシャークはそれらに影すら踏ませず鮮やかに逃げきった。スリット隊形的に2番手は憲吾か生奈かと思いきや、ターンの出口で力強く抜け出したのはもっともスタートの遅かった山田だった。今節の徳山水面は、4コースからの2番差しがよく伸びる。とは言え、このスタートで錚々たるパワー相場の中でこれほど鮮やかに2番手を取りきるとは! 同県の先輩の人的パワーが乗り移ったわけではないだろうが、最近の佐賀支部の層の厚さを感じさせるレースっぷりだった。

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 道中、3番手から山田を追いかけ回したのは、小野生奈だ。山田に少しでもミスがあらば逆転しちゃうわよ、的な迫力のある追尾。最後まで逆転のチャンスは発生しなかったが、尼崎オールスターに続くSG準優・連続3着はもう、なんと言っていいやら。本当にこの子は、走るたびに強くなっている。おそらくは、次のチャンスでもうひとつ上のステージに到達するだろう。
 1着・白井、2着・山田。

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 結果から先に記すと、白井は明日の最終レースでも白いカポックを着ることになった。あの完全優勝が懸かった4年前のグランプリ(3着)、そしてまだ記憶に新しい今年のクラシック(5着)に続く、3度目のSGファイナル1号艇だ。2度あることは3度なのか、3度目の正直か。こうなった以上、私は後者だと信じる。

明日への難問

12R
①寺田 祥(山口)05
②茅原悠紀(岡山)01
③池田浩二(愛知)02
④毒島 誠(群馬)08
⑤徳増秀樹(静岡)04
⑥笠原 亮(静岡)09

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 6人すべてコンマゼロ台、とりわけ2コースの茅原は際のキワまで踏み込んだ。10Rとは別の意味で大惨事もありえるスリットだったが、入ってしまえば極上のスタートだ。直後から寺田もじりじり伸び返し、1マーク手前では完全に同体に。寺田が先にくるりと回り、茅原が鋭角な差しハンドルを繰り出す。

 

 

 

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 ここは嫌でも機力について書かねばなるまい。正直、1マークのふたりが旋回を終えた瞬間に寺田が逃げきると確信した。あの出口から節イチ級の寺田72号機の方が出て行く、と決めつけていたから。が、現実は違った。出口からのレース足は明らかに茅原12号機が勝っていて、だから舳先が食い込んだ。そこからの行き足はほぼ一緒で、さらにバック中間からのストレート足はわずかに寺田に分があった。

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 それで互角、は違う。今日の寺田はあの出口の足こそが必要だったし、そこでの競り負けはそのまま「パワー負け」と言っていい。前検で節イチ候補に推し、初日はやや物足りなく見え、2日目はゴキゲン、昨日はちょっと足落ちか、と72号機の見立ては日によって微妙に変化してきたのだが、それでも「同体からの先マイなら、誰が相手でも絶対に押しきれる」という確固たる自信だけは抱いていたのだ。あの1マークからの攻防は、その自信を根こそぎ奪い去ってしまった。
 1着・茅原、2着・寺田。

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 まあ、こうなった以上、寺田の出口の足あれこれ掘り下げてもあまり意味がないだろう。4号艇、おそらく4カドで必要なパワーは別物だ。明日の寺田はどんな調整で4カド仕様に持って行くか。そして、その足色は果たして節イチ級に仕上がるのか。そのあたりを特訓やスタート展示などでできる限り正確に掴みたい。

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 一方、勝った茅原は明日もまた2号艇。となると、行きつく興味はここだろう。
 明日も同体の2コースから差したとして、白井17号機の内に舳先を突っ込めるのか??
 これは直接対決の興味であると同時に、寺田と白井のパワー比較問題(あくまで出口からのレース足=インから優勝すべき足)でもある。BB7月号で「グラチャンでは自由自在に捌きまくって、しっかりと上位着をまとめてくれるだろう。できれば、地元の白井英治の手に渡ってほしい」と記した17号機が、現実に白井の手に渡って自由自在に捌きまくり、ファイナル1号艇までこぎつけた。この予言的中は私の自慢だし嬉しい限りなのだが、「だからパワー的に絶対に優勝できると言いきれるか」と聞かれると、正直、分からない。明日はそのあたりを自問しながら、白井17号機を見つめるとしよう。分かっても分からなくても、優勝戦の◎はほとんど決まっているのだけど(笑)。
(text/畠山、photos/シギー中尾)