BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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平和島ダービーTOPICS 2日目

鬼伸び

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 6Rで⑤池田浩二・⑥湯川浩司のWコージがフライング(F2の④久田敏之もコンマ04のちょいドッキリS)という残念かつ悲しい事故が起こってしまった2日目。今日イチのサプライズは、3R6号艇・桐生順平の「アウト鬼伸び2段まくり」だ!!

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 いやぁ、6コースから伸びた伸びた。スリット隊形は内2艇がやや凹みで、外4艇がほぼ横一線。この凹凸を利して、まずは3コースの桑原悠が迷うことなく内2艇を叩きに行った。鮮やかなまくり一撃、決着。

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 と思いきや、その外から展開的にありえないはずの舟が一艘、ニョキッと舳先を突き出していた。6コースの大外から大きな弧を描いてバック水面の大外へ、伸びなりぶん回した桐生順平35号機! ③-⑥の舟券を買っていた私は、仰天しながらも「おお、できたのかっ!?」と叫んでしまったが、とんだ糠喜びだった。外からキュッとウイリーで舳先を持ち上げた桐生が、またしても伸びる伸びる。あっという間に桑原の舳先を置き去りにし、2マークまでに必勝態勢を築き上げていた。桑原としては、ゾンビに喰われたような気分だったことだろう。

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 な、なんだこりゃ……??
 35号機は三島敬一郎の短評「初下ろしから水準以上の動き。近況も直線系良い感じ」にもある通り、伸び足には定評のあるモーターだ。山崎智也が6月の初下ろし節と10月上旬に2度乗って、どちらも5コースのスリットほぼ同体(10月はやや劣勢)から伸びなりの一撃まくりを決めている。私も「なかなか伸びるなぁ」と感じてはいたのだが、まさかダービーで節イチ級に伸びるとは思っていなかった。
 レース後、下世話な興味で桐生の6コース勝ちをチェックしてみた。6コースでの1着は去年10月3日の戸田以来だが、この時の決まり手は差し。で、去年2月28日の下関周年記念は6コースからアウトまくりで勝っている(コンマ01の圧倒的なスタート勝ちではあった)。6号艇では前付けもある選手だけにサンプル数は少ないのだが、1年8カ月ぶりのアウトがまし1着。それもSGで、さほど有利でもないスリット隊形からの豪快すぎる2段まくりは、やはり驚きを禁じ得ない。昨日まで桐生のパワー評価を【直線A+】としていたが、S~SSまで引き上げる必要があるだろう。

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 後半8Rの桐生は展開のアヤで5着に敗れたものの、スリットほぼ同体から一気に覗いて内2艇を攻め潰しに行った伸び足は、やはり間違いなく節イチと断言できるものだった。昨日のドリーム惨敗も含め、節間成績は⑥15着の悪戦苦闘? いやいや、現状の鬼伸びを100%生かしきれば、この程度のビハインドは巻き返し必至。予選トップ得点の峰竜太や平本真之にも劣らないほどの有力なV候補だと確信している。準優も優勝戦もセンター枠近辺で勝ち負けに持ち込める鬼伸びなのだから。
 明日の桐生は【4R4号艇・10R3号艇】の2回走り。今後のV戦線を占う意味でも、このセンター枠からどんだけ伸びるか、心の底から楽しみでならない。

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 そうそう、昨日の当欄で深川真二19号機に関して「明日(今日)の8R1号艇をガッチリ乗りきれば」云々と書いたが、その8Rは1周2マークで桐生と火花が散るような大競りに……「両雄並び立たず」という格言を地で行く刺し違いになってしまった。結果、深川も256着と成績的には苦境に立たされた。準優ボーダー6・00想定なら残り3走で122着あたりが必要か。桐生以上の逆境ではあるが、昨日も書いたように予選18位でも優勝の可能性がたっぷり残る人機のこと。明日の【1R3号艇・6R4号艇】という桐生と同じ枠番で、エース19号機のポテンシャルを100%生かしきってこの大ピンチを乗りきってほしい。平和島ダービー連覇へ、頑張れフカシン!

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 最後に、昨日のパワー鑑定で保留にしていた峰竜太10号機と白井英治38号機について。私にとって、ここ1年ほどもっともパワー評価が難しい選手が、このふたりなのだな。
★峰は異次元のターンスピード×機力の相関関係が把握しにくい。
★白井は道中の位置取りが的確すぎてどんどん着を押し上げる(前との差を詰めていく)ので、これまた正味の機力との相関関係が読み取りにくい。

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 ってな感じなのだが、ボチボチ結論を出すとしよう。峰10号機は「出足系統を中心に全部の足が強めの上位=A」、白井38号機は「相変わらず掴みどころの難しい足色だけど、3コースまくり差しの初動~舳先の角度とスピード~出口の押し足を見る限り、出足主体の上位の一角=A」と鑑定しておく。うん、とどのつまり前検日に記した三島敬一郎の鑑定・短評とほとんどまったく同じでありました、チャンチャン。(photos/シギー中尾、text/畠山)