やったぜ、長嶋万記! 7R、見事なまくり差しで初戦突破。顔を合わせると、思わずハイタッチをしてしまった。「もう、泣きそう!」と満面の笑顔で歓喜に弾む長嶋。まさに会心の、いや、会心すぎる勝利だ。
前検の時点で、モーターには感触を得た。そこで長嶋はひとつの決心をする。「自分を信じる!」。モーターもペラも触らずに臨んだ7R。自分で決めたことを貫いて、導き出した結果だから、そりゃあ嬉しいよなあ。
「BOATBoyで取り上げてもらったから、ヘタなレースできないって思ってました!」なんて嬉しいことも言ってくれた長嶋。巻頭インタビューに登場の8月号は今日発売でーす、というのはともかく、この勢いで“チャレンジ”を続けてほしいところだ。
勝利に顔をほころばせたのは、茅原悠紀も同様。今日7月11日は、お誕生日です。ハッピーバースデー! ということで、1号艇が回ってきたことを「番組さんのプレゼント」と感じ、負けられない戦いと位置づけ、そして勝った。バースデーウィン自体が嬉しいし、また安堵の気持ちも強いようだった。
今日の水面は難しかった、と茅原は言う。たとえば、乗りやすさをつければピット離れが殺される。それを解消しようとすると、別のところに影響が出る。気温の高さか、湿度の高さか、それとも水面自体の問題なのか。とにかく、調整に苦心したようだ。それを乗り越えて結果が出た初日。いい誕生日になった! 31歳の1年は幸先よくスタートした。もちろん、オーシャンカップも好発進だ!
勝って顔をしかめたのは寺田祥。「逃げられないと思った……」。9R1号艇で逃げ切ったわけだが、レース前ははっきりと危機を感じていたという。その原因はお隣2号艇の田村隆信。「あれだけ出てたら、逃げるのは難しいっす……」。だから、「なんとか逃げ切れた」という思いが前面に出たわけだ。
それほどまでに寺田を焦らせた田村は、4着という結果では、やはり笑顔にはなれない。モーターの感触が良ければそれでよし、とはもちろんならないわけで、かえって悔しさも募っただろう。ただ、レース後は大きな作業はすることなく、1便で帰宿した模様(10R終了後からは姿を見かけなくなった)。その動き自体が、好気配を証明するものだろう。明日は1号艇、スッキリ勝ちたいところだ。
10R1着の魚谷智之は、勝利者インタビューを終えてピットに戻るや、プロペラ調整室でゲージを当て始めている。また、機歴簿に長く見入る時間もあった。今日は連勝! 最高の発進である。モーターの手応えもあるとのことで、なにもすぐに動き出す必要はない。しかし、魚谷は休息もとらずに作業を始めた。勝って兜の緒を締めよ、というが、魚谷はそもそも緒を緩めることがないのだ。ずっと緒を締め続けているのだ。このストイックさが魚谷らしさと言えるだろう。
さてさて、今日も西山貴浩が歩み寄ってきて、「今日もエビス屋行くんですか」と声をかけてきた。昨日と違って、なんとなく声に力がないのが気になるが、こちらはもちろん「そりゃ行きますよ。というか、今朝も行ったし」と返した。それからは普通にエビス屋談義。イワシのみりん干しが美味い、ゴマサバは欠かせない、マカロニサラダもなぜか他の店とは違う、貝汁は鉄板だが味噌汁の卵入りも美味い、と意見がバッチリ合って、今日はまさにエビス屋仲間なのであった。しかし……。
「ああ、話してたら腹減ってきた! 減量中なのに」
あら、そうでしたか。道理で声が細いと思った。減量中にエビス屋トーク、大変失礼しました!
「じゃあ、僕は今節、ニッシーニャの代わりにエビス屋で増量しときますよ!」
「増量しかしたことないくせに!」
ダハハハハ! と笑顔で別れた次第であります。というわけで、ニッシーニャの魂を背負って、エビス屋に行きます(笑)。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)
三井所尊春が終盤の時間帯に本体整備をしていました。持ち前の伸びを引き出せるか!?