BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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若松オーシャンカップTOPICS 3日目

予選トップは大混戦!!

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 まずは残念な出来事から。8R、有力なV候補のひとりだった茅原悠紀がフライングに散った。前半2Rでは5コースからスピーディーなまくり差しで圧勝。節間勝率を8・00までアップしていただけに、実に残念な勇み足だ。パワー的にもトップ級の次位くらいの好脚で、彼の異次元のターンセンスを持ってすれば十分に準優1号艇→優勝もありえただろう。うん、そんな立ち位置にいたことも踏まえて、茅原にはこの余計なフライングを猛省してもらいたい。

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 茅原と峰竜太には、いくつかの共通点がある。独創的なモンキーターン、そこから生まれる非凡すぎるターンスピード、ちょいと天然が入った明朗闊達な性格……それらはすべて美点であり、選手としても大きな利点だと思っている。ただ、その一方で節間のレースっぷりにムラがあると言うか、要所要所で思わぬポカをやらかしてしまう部分もよくよく似ている。
 今日の茅原しかり、オールスターで最高得点をマークしながらふたつの減点を喰らった峰しかり(類例多数)。打算のないひたむきさが彼らの魅力でもあるのだが、ほんのちょっぴりでいいから松井繁や石野貴之のような長期的な戦術プラン(忍耐と勝負どころの見極め)を身につけてくれれば……このふたりなら、今後のSGタイトルをいくらでも手にすることができるだろう。

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 で、今節の峰竜太はと言えば、大きなアクシデントとは無縁にV街道の最前線をひた駆け続けている。今日の9Rも実に峰竜太だった。6コースから最内を差したが、さすがに遠くバック直線は5番手まで。先団の4艇からは4艇身ほども千切られていた。それが……2マークでやや切り返し気味に艇を内に寄せ、ありえないような鋭角ターンで外マイの毒島誠に艇を合わせ、コツンと接触した反動を利用して前進。その一発のターン(ダンプ)で2番手を奪いきってしまった。
 巧い速い強い!
 同じような状況で「テンパリすぎの突っ込みすぎで反則、減点」という光景を何度も目撃したものだが、今日のそれは教科書に載せたいような高等技術のダンプだった。6号艇で鮮やかに8点を加算し、予選ランキングは暫定3位。峰自身が常に追い求めている「予選トップから逃げ・逃げで優勝」というシナリオへ、明日は5号艇&3号艇の勝負駆けが残された。その理想を実現させるためには、何よりも「冷静さ」が必要だと私は思っている。

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 その峰の前に立ちはだかる最強の敵が、暫定トップの魚谷智之だ。今日の魚谷は4号艇の1回走。こちらは一撃ターンではなく、やはりバック5番手からじわりじわりターンマークごとに先団を追い詰め、追い抜き、最後は2番手の片岡雅裕を捕えるほどの勢いで3着入線した。やはり、恐るべきレース足だ。全部の足が強力で、特に引き波を軽々超える馬力が半端ない。機力だけなら明らかに峰よりも上で、このまま予選トップを守りきれば峰にとっての理想のシナリオを眼前で見せつける可能性は高い。明日の魚谷は3号艇&6号艇で①②着ならば、他者の成績とは無関係に予選トップが確定する。

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 他では、昨日の当欄であれこれ書いた吉田拡郎(暫定2位、明日は2&5号艇)、今日の6号艇をこれまた3着で切り抜けた石野貴之(同4位、明日は2&4号艇)の90期コンビも十分にトップ圏内だ。それぞれの2走の枠番を見比べると、まったく予断を許さない激戦のトップ争いになることだろう。

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 それから、予選トップ云々はともかく、パワー的にもっとも不気味な存在が暫定8位の羽野直也だ。明日は4&1号艇でどこまで得点を伸ばせるか。たとえ準優の外枠に甘んじたとしても、あの節イチ級の行き足~伸びがある限り一撃のVチャンスを秘めている。SG初制覇が多いオーシャンカップだけに、下剋上Vは十分にありえるとお伝えしておこう。

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 今日の最後は、やはりあの話題か。昨日までほぼノーミスで予選上位に名を連ねていた長嶋万記と小野生奈が、今日は大きな落とし穴にハマッてしまった。特に9Rの長嶋は「ここで逃げきれば8・00で暫定4位あたり、もちろん準優当確」という絶好の昇格チャンスだったのだが、1マークのモンキーターンがほぼ真横に流れて次々と差され、さらに道中の接戦でも惜しくも競り負けて6着。当確どころか、明日は2号艇で②着が必要なメイチの勝負駆けとなった。うーーん、今日のパワー気配も抜群に見えただけに、あの1マークは自己責任のミスターンだったと思う。しっかり気持ちを切り替えて、明日の一発勝負を決めてもらいたい。

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 一方の生奈も、5Rの1号艇(=①着ならやはり8・00)で不覚を喫した。こちらは抜群のトップスタートでインからきっちり押し切りながら、2マークで毒島誠の逆転差しを浴びてしまった。毒島のターンも相当エグかったが、生奈のターンに微かな隙があったのだろう。まあ、痛い逆転負けではあったが、こちらは2着ゲット。痛恨だったのは11Rで、3コースから果敢に握ってバックは3番手という状況から、2マークで他艇に揉みくちゃにされて6着大敗。あれはターンミスではなく展開のアヤとしか言いようがないのだが、とにかく激痛の6着ではあった。明日の2Rの生奈は「6号艇で②着」という激辛の勝負駆けで巻き返しを狙う。(text/畠山、photos/シギー中尾)