今日も石川真二にお世話になってる西山貴浩。早くから調整を始めて、どうやら手応えを得た模様だ。石川に語りかける顔は明るく、石川も微笑が浮かぶ。そして、西山は言う。
「やっべ、中毒になってきた!」
クセの強いペラ、と言いながら、そこから得られる感触は悪くないらしい。悪くないどころか、ゾクゾクしてきた! そんな西山を見ながら、石川は大爆笑。「中毒になってきたか!」と満足げに目を細めた。石川真二の世界にようこそ、という感じ? 9Rの西山のレースぶりに注目だ。
1Rで磯部誠が1着。メモリアルではかなえられなかったSG初勝利を地元でゲットした。安堵と歓喜が混ぜ合わさったような、そんな笑顔を浮かべていた。とはいえ、ここで気持ちは緩めない。着替えを終えたあとには本体を外して整備室へ。大きな整備をするつもりかどうかはともかく、本体を割っているのだ。今日は1R1回乗りと、このあと時間がある。できることはやっておこう、ということだろう。当たり前だが、磯部は1勝で満足などしていない。狙うのはもっと上、なのだ。
同R2着は今垣光太郎。上々の発進ではあるが、気に入らないところがあったのだろう、レース後はボートごと整備室へと運び込んでいる。こちらも大きな整備をしたわけではないが、今日は後半戦もあるので、できるだけ納得の域に近づけたいのだろう。
ところで蒲郡のピットは、水面に向かって傾斜している。尼崎ほど急勾配ではないが、架台は転がっていってしまうので、車止めのようなものが設置されている。ところが、整備を終えてボートを運び出した今垣が装着場で作業をしようとすると、車止めがすでに埋まってしまっていた。いや、実際は奥のほうにいくらでも空いているのだが、整備室の近くで作業をしたい光ちゃん、しばらく右往左往しなければならないのであった。仕方なく工具を架台の車輪に噛ませてボートを固定することに成功。それをたまたま目撃していた吉川元浩が、呆れ気味に大笑いするのであった。今垣光太郎、けっこう天然である(笑)。
さらに同RでSGデビューとなった中谷朋子は、無念のシンガリ負け。SGの洗礼を浴びるかたちとなってしまった。それでも、うつむいているヒマなどない、とばかりに控室へと駆け戻る。着替えを終えるや、ギアケースを外して整備室へ。大急ぎで整備を始めるのであった。女子戦のピットで見る中谷は、やはりとことんまで調整をやり尽し、だからピット内を走っている姿もよく見かけるものだ。SGでも、そのスタイルはブレることがない。後半8R、このデビュー戦を活かすことができるかどうか。
3R、篠崎元志が復帰戦でいきなり1着。出迎えた岡崎恭裕らと笑顔を交わし、さすがに安堵が大きいようだった。テンションも一気に上がったようだ。
「あ~あ、5カ月も休んでいきなり出てきて、ぽろっとエース機出して、ひょいっと差して1着か。あ~あ」
はい、言うまでもなく、ニッシーニャです。ダハハ。絶対に言うと思った。そして最後に西山は叫ぶ。
「どんだけスター性があるんだよ!」
おっしゃる通り。この芸当、なかなかできる人はいないですよね。(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)
2R1着は徳増秀樹。う~ん、濃い。いや、今節は爽やかにいくんだっけ。うん、濃い。