BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――着順は関係ない

 

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 朝から試運転をし、さらにレースを走ることで選手たちは相棒の調子をうかがい知る。特に、初日のレースを走ってからわかることは多いとよく聞く。長所も見えてくるし、足りないところもかなりわかってくる、という。
 暗くなってからの整備室には石野貴之の姿。本体を割っての整備だ。2R5着で、その後は試運転もしていた石野。上積みには本体整備が必要と悟ったか、終盤の時間帯まで整備は続いていた。石野の整備といえば、オーシャンの準優を思い出す。ピストンを交換して、見事に予選突破を果たした。丸岡正典とともに峰竜太のイン戦を撃破した一戦だ。もちろん状況は違うが、早々に本体に手をつけたことでどう変わるか、注目したい。
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 初日は3着2本と悪くない予選序盤となった平本真之も本体をバラしていた。6号艇を含んでの3着2本と、悪くないどころか上々と言ってもいいはずだが、そのことと足色が直結するというわけではない。好枠を残しているからこそ、さらに上積みをして、予選を有利に戦いたい。そう思うのは自然なことだし、初日の結果に気を緩めるどころか、さらに気持ちを高めている証しでもあろう。

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 2着2本の今垣光太郎だって、レース後には整備室にこもっているのだ。足がいいとはっきり感じられなければ、着順に関わらず上積みを求める。ボートレーサーというのは(少なくともここに来るレベルのレーサーは)、簡単に「これでいい」とは思わない人たちとも言えるだろう。そうそう、1Rで1着の磯部誠も、整備の後11R発売中まで試運転をしていた。これがダービーレーサーだ。

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 ギアケース調整も、少なくない選手が行なっている。今垣光太郎も9R後に速攻で整備室に向かい、これを始めている。本体整備よりこちらを先にしていたのである。入念に作業をしていた一人が菊地孝平。菊地はギアケースのあと、キャブレターのチェックもしていた。菊地はプロペラのラインをチェックするときに、ペラを目の高さに上げて光を透かすような格好でしている。キャブレターも同じだった。手にあるのがプロペラではなくキャブレターであるだけで、ポーズはよく見る菊地孝平のそれだ。別にこだわり、というわけではないだろうけど。

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 というわけで、多くの整備調整が見られた初日の後半。そんななかで、まったく別の整備が行なわれていたのが69号機。久田敏之のモーターだ。9Rの落水で負傷し、無念の途中帰郷となってしまった。昨年のダービーは準優Fで泣き、今年は初日にして戦線離脱を強いられた久田。胸中はいかばかりだろう。直後は自力歩行も難しい様子で、まずはその傷を癒してほしいが、心の傷も癒さなければならない。また来年、この舞台に来なければならない理由ができた、ということだと思う。早い快癒を祈るとともに、その後の猛進撃に期待したい。

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 さてさて、蒲郡のピットは傾斜がある、というお話を前半に書いたが、これを利してのモーター架台運び、というのが蒲郡名物である。どういうことかというと、写真のとおり。架台に乗って斜面を転がしていく、というわけだ。運ぶ先はボートリフトの脇。エンジン吊りのための準備なのだ。この仕事は若手選手の任務で、磯部誠と岩瀬裕亮が今節はこれを頻繁にやることになるだろう。今日は平本真之も参加。SGではいつも平本がこれをやってるな、最近は。

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 選手たちはまるでモンキーターンを繰り出しているかのように、巧みな体重移動で進路を変える。きっちりと目的の場所にストライク、である。これもモンキーの練習になってるのかな? あるいはモンキーが巧い選手はこれも上手とか。地元の選手は蒲郡を走る機会も多いから、手慣れたものかもしれない。今日は前田将太もこれに参加。やはり見事に架台を操っていた。明日は小野生奈や深谷知博の巧みな架台捌きを見られるのかな。(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)

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10Rを逃げ切った松井繁は、出迎えた倉谷和信に笑いながら何かを囁いていた。倉谷は爆笑! ベテラン同士、何を話してたんでしょうか。