爆風ブリザード
B級レーサーのBは、ボンバー&ブリザード&爆風のB!
今節、4700番以降の若手B1レーサーは12人いるのだが、昨日の成績を時系列で列挙するとこんな惨状になる。
★昨日の若手B級レーサーの着順
145646465646564F565。
開幕戦の勝浦真帆のイン逃げ1着以外は惨敗の嵐。好枠にシードされたA級レーサーたちに、まったく歯が立たないレースが続いた。やはり、彼我の実力差は如何ともし難いのか。そう思ったファンも多いだろうが、一夜明けた今日になって眠れるプリンセスたちが次々と覚醒した。
まずは口開けの第1R、①土屋南が3コース高田ひかるのまくりをブロックしている間に④関野文が豪快なまくり差し一閃! 倉谷和信のDNAを引き継ぐ愛娘が、天性のターンスピードを余すところなく発揮した。イン先マイで粘った南が後続を抑えて2着を取りきり、B級コンビのワンツー決着は3連単438倍の大波乱に!
ボンバーラッシュは続く。2Rは1号艇ながらまったくの人気薄だった①深尾巴恵が、コンマ04の超絶スタートで一気の逃げきり。おそらく、1Rの後輩たちのワンツー決着を見て「私にもできる!」と発奮したに違いない。大本命の②守屋美穂に影すら踏ませぬ鮮やかな逃走劇だった。しかもしかも、5コースから全速でぶん回した⑤新田有理がA級レーサーを寄せ付けずに堂々の2着入線。1Rに続くB級ワンツー決着で、3連単はこれまた494倍という特大のロングショットだ。
B級プリンセスの活躍はまだまだ終わらない。3Rの①喜多須杏奈は2コース小池礼乃に差されて2着止まりも、4Rの①西橋奈未がキッチリ逃げきって若手B1のオール2連対を「6」に伸ばした。
圧巻は5Rの⑤孫崎百世だ。5号艇の孫崎はピット出で⑥大山千広に絞め込まれて6コース発進。③海野ゆかり、④塩崎桐加、大山の分厚い壁になす術なしかと思いきや、コンマ03のトップスタートから塩崎の4カドまくりに連動してマーク差し。あっという間にバック2番手を取りきっていた。3連単はもちろん大台突破の294倍。1Rからこの5Rまで、7人の若手B級レーサーが紡いだ「オール2連対リレー」は天晴れと言う他ない。そのスタートもコンマ05、07、04、10、16、19、03=平均08だからして、よほど気合が乗っていたのだろう。あるいは、昨晩の宿舎で決起集会があったのかも?
同じ5Rの②森田太陽の6着でこのリレーは途切れたが、今日の若手B級の確変フィーバーは明日以降はもちろん、来年以降も記憶に留めておくべきだろう。どんなに這っていても、流れひとつで大穴連発。「やればできる娘たち」は常に油田の如きポテンシャルを秘めている。
ふたつの珠玉バトル
穴の妙味は乏しいものの、A級のハイレベルの争いにも目を向けてみよう。特筆すべきは8R。「枠なり3対3が女王道、除く小野生奈などごくごく少数」というのがオール女子戦の通り相場になっているのだが、今日は⑥田口節子がスタート特訓から積極的に動いた。2号艇に生奈がいるレースで。
「田口節子、そろそろ本気を見せます!」(by開会式)
そんな気持ちの表れか、地元の意地か、はたまた前付けの常連・生奈への挑戦状なのか。真意のほどは分からないが、スタート展示でもゴリゴリの前付け。片や生奈も迎撃態勢を整えながら①水野望美を出し抜くようにスルリとインコースに潜り込む。2163/45という女子戦らしからぬ過激なスタート展示になった。
いざ本番、やはり前付けに動いた田口に対して生奈がスッと身を引いて16・2/345。女子戦では珍しい、どこからでもアタマが狙えそうな進入隊形が出来上がった。すべてのレースがそうである必要はないが、やはり何レースかにひとつくらいはこうしたスリリングな進入争いが見たいものだ。田口vs生奈の女王対決に拍手を贈りたい。
実戦は、2コースからスリットでやや凹んだ田口が強烈に伸び返して差しハンドル一発。外から襲い掛かった生奈らを振りきって、貴重な6号艇での10ポイントを獲得した。典型的な前付けの成功例であり、これをもって明日以降の進入争いが活発になる可能性もあるだろう。ちなみに3Rで6号艇だった生奈は、まったく動く素振りを見せずに6コース。あるいは、明日が6号艇だったら別の作戦を選んだかも??
もうひとつ、今日の11レースはデジャヴとも呼ぶべき1マークの光景が見られた。インから松本晶恵が逃げて、3コースから遠藤エミが凄まじい強ツケマイを繰り出して、バック入口は2艇が舳先を並べるデッドヒート。そう、去年の大晦日、平和島のあの光景だ。それぞれの初動といいターンスピードといいバック並走の隊形といい、まさにデジャヴ!! で、このまま晶恵が2マークで突き放せばまさに完全リプレイだったのだが、今日のレースでは2艇の体がギリギリ入れ替わった。1-3と3-1の差は、おそらくそのまま晶恵のパワー差だと感じた。出口から押して行く足が、あの平和島56号機にははるかに及ばない。遠藤エミの足もまだ中堅上位あたりと鑑定しているので、今節の晶恵はよほど底上げしない限り女子ビッグ連覇の道は険しいだろう。
まあ、それはそれとして、まだまだ不完全な機力でありながら、しかも2艇で激しくやり合いながら、後続をぐんぐん引き離していった光景は鳥肌が立つほどのド迫力だった。紛れもない、トップレーサーならではの超ハイレベルな一騎打ちだった。(photos/チャーリー池上、text/畠山)