後半戦の一発目、7Rを制したのは遠藤エミ。インコースの深川麻奈美が中谷のまくりを警戒して握ったときに、ほんの少しだけ開いたターンマーク間際を、遠藤は鋭角差しで突き抜けた。そのスピードたるや、さすがの一語。
ピットでも遠藤のスピードに驚かされた。つい数分前まで勝利者インタビューでスタンドにいたはずなのに、気づくとカポックを着て試運転に飛び出て行ったのだ。SGジャンパーをまとう者は、水面でも陸上でもスピードが速い。11Rの松本晶恵とのスピードターン合戦も速く見応えがあった。
ほぼ枠ナリ進入が続いていた今節。初めて動きらしい動きがあったのが8Rだ。コースを動くことが多い小野生奈が2枠に入ったこのレースで、6枠の田口節子が動く意思を表明したのである。
進入がどうなるかは他の選手も気がかりだったよう。普段のレースはピットアウトを見ない選手も多いのだが、このレースは10人弱程度の選手たちがピットアウトからモニターに見入っていた。
レースの結果は2コースを奪った田口が差し切り勝ち。戻って来た田口を岡山勢が出迎える。田口は淡々とレース後の作業をこなしていたが、同県の寺田千恵の顔を見て、笑みがこぼれる。
一方の小野は硬い表情で選手棟に消えて行った。その後、小野は整備室に登場しモーターをバラしはじめた。小野の側にいるのは、同支部の藤崎小百合。先ほどまでの硬さは消えて、二人で何やら談笑をしている。交換なのか調整なのかはわからないが、整備上手としても知られている小野。明日以降、どんなレースを仕掛けてくるのか楽しみだ。
9レースは高田ひかるが差しを決めて1着。同県の先輩で今伸び盛りの塩崎桐加と似たような、「すーっ」と回る感じのターンで、差しが決まった。もちろん勝利の出迎えに待っているのは塩崎。二人は笑顔で勝利を噛みしめる。
昨日に比べると後半戦のペラ室はやや空いていた。ペラを叩いているのは常時10人程度。その分、整備室が混雑し始めた。モーター格納の時間とカブったこともあるが、モーターをバラす姿が見られた。
整備士が付き切りでモーターと格闘していたのが土屋実沙希。初日5着、今日は3着。2回走りの明日が試金石となる。
その奥では深川麻奈美もモーターをバラし中。こちらは3着3着2着と中間着順を並べている。こちらも好メンバー相手に5枠で走る明日が試金石。
そして2日目のレースを締めくくったのは、地元の総大将・寺田千恵。差させず、まくらせず、ターン後は後続を突き放す足で完勝。明日以降も主役を張り続ける。
(PHOTO池上 TEXT姫園)