ペラ室に柳沢一と原田幸哉。師弟が並んでペラを調整している。持ちペラの時代から、柳沢は原田にさまざまなことを教わってきただろう。今節もさまざまな情報を交換し合っているに違いない。そうして師匠の支えも受けて歩んできて、今日は準優12Ｒの１号艇に乗る。ひとつの到達点には違いない。もちろん本当の到達点はまだ先にあるのであって、そのために今日はクリアしなければならない一戦。また、原田にとっても師弟優出は悲願のひとつのはずだ。原田も調整に力が入る。というか、二人ともやはり昨日までに比べて神妙な様子に映った。お互いの気合が相乗効果となれば、明日の最終レースに揃い踏みする可能性は充分に出てくるだろう。
同じペラ調整室には（多摩川の調整室は２カ所）白井英治もいた。今日も白井にしては早い動き出しのように思える。予選１位を逃した悔しさを晴らすべく、というのはちょっと定型すぎる言い方になってしまうが、やはり昨日までに比べてもう一丁、気合が入っているように思えるのはたしかだ。
隣では盟友・寺田祥もプロペラ調整をしていた。この二人の動きはけっこうシンクロすることも多く、昨年の徳山グラチャンでは調整を始めるタイミングがまったく同じということが何日かあった。昨年は地元グラチャンで、最後は白井に思いを託すかたちとなっているが、今年は外枠であってもファイナルに駒を進めたいところ。
早くから水面に出ていたのは、まず中野次郎。こちらは今年が地元グラチャンで、長田が不良航法の憂き目にあったことから、地元の期待を一身に背負う準優となる。ここまできたら優出は最低ノルマだろう。後悔の残らない、渾身の準備をして臨むことになる。
ＳＧ３連続優勝に首の皮一枚つながった吉川元浩も、早くから試運転をしていた。まあ、クラシックやオールスターと違って、準優は６号艇。３連続優勝を強く意識しないで済む枠番であり、だからなのか実にリラックスしているようにも見受けられた。もちろん、偉業を諦めているわけはなく、今日は時間をたっぷりかけて、仕上げのピッチを上げてくるはずだ。
対照的にゆったりと過ごしているのは守田俊介。ボートにプロペラはついたままで、エンジン吊りにも控室からのんびりと歩いてあらわれた。まあ、これが守田スタイル、ですね。１Ｒのエンジン吊りのあとには、やはりまだプロペラを外していなかった萩原秀人と肩を並べて、控室に戻っていっている。二人とも、動き出しはもう少し先になるだろうか。（ＰＨＯＴＯ／中尾茂幸 黒須田 ＴＥＸＴ／黒須田）
