２Ｒ発売中に優出メンバーの公開インタビューが行なわれた。ピットに戻って、まず作業を始めたのは茅原悠紀。プロペラ室にこもって、調整作業だ。昨日の０度からマイナスにチルトを下げると、準優後にコメント。装着場を見渡すと茅原のボートはなく、係留所につけてのプロペラ作業ということは、チルトを想定してペラを叩き、すぐにその効果を試運転で確認しようという構えということである。そのとき、ペラ調整所に優出メンバーは茅原のみ。地元の気合が早めの始動となっている、と言ったら少々穿ちすぎか。
１号艇の馬場貴也も、昨日に続いて早めに動いた。３Ｒ発売中にギヤケースの調整を始めたのだ。ここまで節間６勝をあげているわけだが、それで浮足立つこともなく、着々と外回りから調整を進める。それが終わればプロペラ調整に移行するはずで、優勝戦の日もペースを崩さずに過ごしているというわけだ。その直前にすれ違ったときには、好人物である馬場らしく優しく微笑みつつ、挨拶をしてきてくれた。緊張がないとは思わないが、実に柔らかい雰囲気であった。
他の４人は、まだ動き出す前の段階。つまり、エンジン吊りでしか姿を見かけない。１号艇だったグラチャンに比べて、明らかにリラックスしている磯部誠。極限のプレッシャーがかかる場面を一度経験し、乗り切り、そして今回は３号艇。様子が違うのは当然である。池田浩二はジャージ姿でエンジン吊りにあらわれ、実にゆったりと過ごしている雰囲気。ふたりは３Ｒ逃げ切った平本真之のモーター返納作業をヘルプ。終わるとにこやかに話しながら、肩を並べて控室へと戻っていくのだった。
桐生順平はエンジン吊りに控室からあらわれ、終われば控室へと帰っていく。１Ｒは佐藤翼、２Ｒは石渡鉄兵のエンジン吊りに駆けつけたが、関東勢の出走がなかった３Ｒでは姿をあらわしていない。
羽野直也は３Ｒのエンジン吊りに出てきた際、菊地孝平に呼び止められていた。菊地は羽野の肩を軽く叩きつつ、右手でグッドポーズを何度も向けて、言葉をかけ続けていた。明らかに激励であり、また「お前ならやれる！」というようなポジティブなエールを送っているようだった。羽野はにこやかに頷き続け、別れ際に軽く会釈。メンバー中唯一、ＳＧ未制覇の羽野である。菊地先輩にパワーをもらって優勝戦に臨む。（ＰＨＯＴＯ／中尾茂幸 池上一摩 ＴＥＸＴ／黒須田）
