BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――夜のグランプリ前検

f:id:boatrace-g-report:20191216210347j:plain

 夜のグランプリ前検。なかなか新鮮である。SG、プレミアムGⅠの取材が多い身としては、住之江の夜に前検取材は初めてである。前検の光景はいつも通りだが、なんとなく初めて見た景色のようにすら見えてくる。

f:id:boatrace-g-report:20191216210621j:plain
 徳増秀樹が真新しいグランプリジャンパーを身に着けてピットにあらわれた。最高峰に辿り着いた者だけが袖を通すことを許される特別な一着。それを初めて着用することには感慨もあるだろう。柳沢一は今日は師匠の原田幸哉とお揃いの“チームウェア”を着ていたけれども、今節どこかでグランプリジャンパー姿を見られるはず。峰竜太が初出場のとき、誇らしげにジャンパー姿を見せに来たことが思い出される。
 で、その徳増は表情自体は冴えなかった。プロペラが「信じられない形」だったというのだ。まずはその対処が優先作業となる様子。モーター自体やや下降気味という評価でもあり、明日明後日でどう立て直すかが課題となりそうだ。

f:id:boatrace-g-report:20191216211225j:plain

 対照的にテンションが高いのは菊地孝平だ。今回引いた13号機は、実は初下ろしの節で菊地自身が引いたもの。そのときも好感触だったそうだが、十数節を経て手元に戻ってきてみると、さらに好感触になっていたという。スタート特訓での勘も完璧といい、いきなり本領を発揮できそうな前検の感触だったのだ。ゴキゲンな菊地は、茅原悠紀の記者会見に紛れ込んで、代表質問者が「ほかに質問ある方」と出席者に振ると、元気よく「ハイ!」。菊地がそこにいることに気づいていなかった茅原をビックリさせている。ちなみに質問は「好きな食べ物は?」(笑)。茅原はカレーと即答しております。

f:id:boatrace-g-report:20191216211605j:plain

 ケガによる長欠が心配された池田浩二は、なんとかここに間に合わせてきた。歩様を見ていると、足を引きずっている様子も見えず、ちょっと小走りもしたりして、大きな不安はなさそうだ。もちろん本人には不安もあるだろうが、水面ではいいパフォーマンスに期待したい。モーターの手応えは悪くなかったようである。

f:id:boatrace-g-report:20191216211746j:plain

 井口佳典も三国周年で負傷帰郷となっていたが、会見では「大丈夫です、と書いておいてください」と口にしている。多少の痛みはあるかもしれないが、絶対にレースに影響はさせないという決意であろう。ただ、今日の感触はもうひとつだったようで、彼らしい力強い表情は見ることができなかった。明日は何としても、枠の利を生かしたいところ。

f:id:boatrace-g-report:20191216211810j:plain

 2nd発進組は、明日はレースがないからだろう、それほど大きな動きを見せてはいなかった。唯一、石野貴之が忙しそうで、作業はギアケース調整のようだった。スタート練習とタイム測定を終えた班に近畿の選手がいれば、その都度、整備室から猛ダッシュでボートリフトに向かう。終われば、やはり猛ダッシュで整備室へ。それでも1便のバスで宿舎に向かったが、だからこそ短い時間を目一杯使いたかったのだろう。

f:id:boatrace-g-report:20191216211902j:plain

 ちなみに、グランプリ組は1人を残してほか全員が1便で宿舎へ向かっている。唯一残っていたのは今垣光太郎。プロペラ調整のため居残った。光ちゃんらしいな、と思う。

f:id:boatrace-g-report:20191216211923j:plain

 2nd組はすべての前検航法が終わった後、プロペラ調整室前に集合がかけられている。スポーツ紙に掲載される写真を撮影するためだ。それぞれがさくっと集まってきたのだが、ひとり足りない。2nd組で最も登番が若い桐生順平が、整備室前の池永太に「峰さんいませんか?」と大声で尋ねる。そうです、いないのは峰竜太です(笑)。1便バスが出る時間が迫っているということで、ひとまず全員が控室へ戻って着替えを済ませた。そこに悠然とあらわれる峰竜太(笑)。そもそも撮影自体をまるで把握していなかった様子。「え、聞いてない!」とは言ったが、たしかにさっきアナウンスがかかってましたがな(笑)。まあ、峰竜太の天然っぷり炸裂、ということでひとつ。
 シリーズ組では、この連続写真をどうぞ。

f:id:boatrace-g-report:20191216211954j:plain

f:id:boatrace-g-report:20191216212015j:plain

f:id:boatrace-g-report:20191216212041j:plain

f:id:boatrace-g-report:20191216212102j:plain

 篠崎元志は高校時代は野球部だった。これはエンジン吊りを待つ間のものだが、手持無沙汰なときって、シャドウピッチングしたくなるよねー、野球経験者は(実はワタシもそうなのです)。元志ファンは先刻ご承知だろうが、篠崎元志はサウスポーなのでありました。
 その元志、前検の手応えは悪くなかった様子。ドリーム戦は6号艇ということで楽な戦いではないが、シリーズを盛り上げる一人になることは期待してよさそうだ。

f:id:boatrace-g-report:20191216212151j:plain


 あと、松井繁が早くも本体を割っていたぞ。王者が前検から、というのはあまり記憶にないだけに、まずは今日の感触は良くなかったかと推察されるし、またシリーズだからといって決して緩めることはしない、まさに王者イズムが早くも全開になっていると言える。松井も1便で帰ったが、出発のギリギリまで整備して、バスに駆け込んでいる。電車の駆け込み乗車は危険なのでやめるべきだが、王者の帰宿バス駆け込み乗車は迫力すら感じさせたのである。(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田