BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――これもアドバンテージか

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 ピットに入って、まず整備室を覗く。うおっ、トライアル2nd組がずらり。毒島誠、吉川元浩、石野貴之、峰竜太、桐生順平、瓜生正義……全員じゃん! ふと振り向いて装着場のボートを見ると、峰以外の選手はみなモーターを積んでいなかった。そう、峰以外は本体の整備をしているのだ。峰もまた、キャブレターの調整。早い時間帯は整備室が2nd組で埋め尽くされていた。

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 一方、1st組は大半がプロペラ調整、またはギアケース調整である。これが、今日レースがある選手たちとレースがない選手の違いということになろうか。トライアル1stは11Rと12Rだからたっぷり時間があるとはいえ、初戦は何はともあれプロペラや外回りで回転を合わせることが重要となる。前検でよほど手応えが悪くなければ、本体には手をつけないだろう。一方、今日レースがない選手は、雨が降り出して気候が変わったとはいえ、この条件でプロペラを合わせる必要はない。ならば、今のうちに本体を。これもまた、2nd組のアドバンテージなのであろう。

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 1st組で唯一、本体整備をしていたのは今垣光太郎。我々がこのはてなブログの前身であるSports@Niftyで現場レポートを始めたころ、今垣はSGで毎節のように本体整備をしていた。そのころのことを思い出す。今垣は2R発売中には整備を終えてモーターを装着しているのだが、そこからの動きがなんとも慌ただしい。ハンドルとエンジンをつなぐワイヤーを変えてもいたのだが、ピット内の動きは駆け足。それぞれの作業も実に急いで行なっている。1st組には時間があまりにも少ないのだ。ちなみに、モーター装着をヘルプしたのは毒島&桐生。今垣は二人に「すいません!」「ありがとうございます!」と常に敬語。かなり離れた後輩なのに。それが光ちゃんなのである。

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f:id:boatrace-g-report:20191217153819j:plain 1st組で最初にボートを下したのは徳増秀樹。2R発売中のことだ。ただ、それから10分も経たないうちに再びボートを陸に上げて、ペラ調整へと向かっている。昨日の会見では、ペラが信じられない形になっていたと語っており、今日はすでに叩いている。その感触をいったん水面で確かめ、さらに煮詰めていこうということだろう。徳増と入れ替わるように水面に下りたのが平本真之。開会式で「今節は笑顔がテーマ」と言っていたのだが、表情は実に鋭かった。

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 2R発売中には、菊地孝平がギアケース調整をしているところを目撃。1Rのエンジン吊りに出てきたときには、完全に深く思索している表情になっており、勝負どころの菊地らしい様子だった。次の一手を脳内で探し、それがギアケース調整(の方向性)だったのか。

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 表情といえば、井口佳典が完全に“入って”おり、その目つきが鋭すぎる。すれ違いざまに挨拶の声をかけるのもためらわれるほどだった。絶対に落とせない初戦1号艇。気合が高まるのも当然だろう。

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 ところで、今節のグランプリ選手のモーターは、プレートがイラスト付きなんです! モーター抽選の後に大急ぎで準備したんでしょうね。また、防水ケースに炎のイラスト。モーターからして特別仕様になっている。レース中はなかなか気づかない部分かもしれないけど、美は細部に宿る。最高峰バトルの神聖さも細部に宿るのである。

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 シリーズ。1Rを勝ったのは永井彪也。令和最初のグランプリ、オープニングをイケメンスターが飾った。とはいえ、まだ納得の仕上がりというわけではないのか、師匠の中野次郎と話し込むレース後であった。勝利者インタビューに向かう前には、毒島誠とも。それでも勝って気分上々。意気をあげて後半レースに向かう。

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 2Rは森高一真が逃げ切り。こちらは永井以上に渋い表情で、勝ったとはいえ……という感じである。森高の周りでは、田村隆信と興津藍がニッコニコで笑っていた。ブー垂れた森高を笑っている同期生、というふうにしか見えませんでしたな。SGではなかなか結果が出せない昨年と今年だが、この1勝をきっかけにして復活のノロシをあげてもらいたい。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)