BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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優勝戦 私的回顧

W吉川、Wエース

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12R優勝戦
①吉川元浩(兵庫)09
②坂口 周(三重)14
③吉川昭男(滋賀)12
④守田俊介(滋賀)08
⑤福来 剛(東京)14
⑥柳沢 一(愛知)16

『ゴルゴパワー』元浩13号が、無人のスタンドに向かって派手なガッツポーズを突き上げた。去年の戸田に続くクラシック連続優勝、おめでとう!

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 スリットからあわやの見せ場を作ったのは、4カドの守田だった。コンマ08、トップスタートでにゅっと舳先を突き出す。スリット後にじわりその舳先を内に傾けた俊介だが、悲しいかなそこからの伸び足が厳しい。逆に、行き足のいいカド受けの昭男さんがすいすいと伸び返している。

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 (おそらく)このまま無理に絞め込めば最悪の同県競りになる!?
 そう判断したであろう俊介は、まくりを断念して差しに切り替えた。まあ、たとえ無理に絞め込んだとしても、インの元浩には微塵の影響もなかったことだろう。凄まじい行き足で、坂口を2艇身近く千切り捨てていたから。3コースの昭男さんがその広い間隙に舳先を突っ込んだが、やはり元浩13号機にはまるで届かない。唯我独尊、くるりと回って再び加速して、ターンの出口では後続を5艇身ほども突き離していた。

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 3日目まで5323着ときて、4日目から4連勝。この日々一連の流れは【元浩×13号機】のシンクロ率に比例している、と思う。伸び寄りだった13号機をできる限り手前に寄せようとしたが、「もっとスリットからブイブイ云わせたい!」と駄々をこねる相棒に手を焼いていた(笑)。3日目あたりからその関係がしっくりきはじめ、元浩好みの出足になったのみならず、自慢の行き足もほとんど落ちなかった(伸びは落ちたはず)。邂逅を遂げたあとの“両者”の関係は、もはや語るべくもないだろう。

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 惜しくも2着=準Vだった昭男さん15号機も、元浩と同じような足跡を辿った。こちらのモーターはもっと超伸び型で、選手はもっと手前型だったからさあ大変。2日目はまったく折り合わずに6・6着。それで開き直った昭男さんがペラをガンガン叩き換え、やんちゃな15号機を力づくで手懐けた。昨日も今日もその手前の足をフル稼働し、2日目の66着を克服しての準優勝。天晴れすぎる。
「これが最後のSGのつもりで戦う」
 という昭男さんの決意は、この優勝戦で“延期”が決まった。6月の宮島SGグラチャンの当確ランプ点灯!! 今節の力強い走りといい、猛獣使いのように15号機を手懐けた手腕といい、まだまだ老け込む時季ではない。グラチャンでも「昭和のまくり」を連発し、暫定3位の賞金ランクをさらに引き上げてもらいたい。
 あ、ちょいと余談だが、もうひとり天晴れな男を紹介しておこう。我が『BOATBoy』でもっとも優れた鑑定眼を持つ三島敬一郎。今シリーズの直前、三島がS以上の評価を下したモーターは2基のみ。
13号機 SS(50.6%) 少し落ちたが行き足・伸びと超抜で桁違いのパワー
15号機 S (38.5%) 超直線型モーター!伸び重視の選手が引けば鬼金
 絶対エースの13号機はともかく、38%の15号機を次点に挙げた眼力は身内ながら拍手拍手。このパワーの底力があればこそ、吉川コンビが叩き換えても抜群の足であり続けたと確信している。

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 去年のレディースチャンピオンの『チヒロ64』もそうだったが、BB誌で◎を打ち「舟券心中する」と決めたモーターが優勝すると、どうしても視線がそちらに偏ってしまう。元浩のクラシック連覇の最大の勝因は「彼の実力」と自覚しつつ、偏執的な内容になることを許していただきたい。ちょいと鼻に突くような、自慢げな口調になることも(笑)。
 我らが平和島が誇る絶対エース13号機は、6月半ばまで稼働し続ける。次節の相棒が伸びを主食とするレーサーなら、またひとしきり喧嘩しながら別の気配を醸し出すことだろう。今節は優等生に変身したスーパー伸び型の15号機も然り。残り3カ月、そんな折々のパワー変化を楽しみつつ、今日は空振りだった舟券も大爆発させてみせましょう。もちろん、パソコンの前ではなく、大勢の観衆に包まれながら。(photos/シギー中尾、text/畠山)