オープニングを制したのは、エース機・上野真之介！ 茅原悠紀が鋭く伸びてきたが、これを制してしっかり逃げ切った。前付けアリのイン戦ながら、パワーを存分に見せつけた格好だ。
ピットに凱旋し、師匠の峰竜太と並んでボートを押していた上野は、ヘルメットの奥でもちろん笑顔！ 峰もニコニコと微笑みながら、上野に声をかけている。初戦をきっちり白星で飾って、気分も乗っていくことだろう。
２着とはいえ、茅原悠紀はしっかり見せ場を作ったが、レース後はひとつも笑顔ナシ。見せ場を作ったから良し、とはならないわけだ。控室へと戻っていく雰囲気や、着替えを終えてピットにあらわれた様子からは、むしろ不機嫌でいるようにも見えたものだ。４号艇２着は上々の発進のような気もするが、そういう心持にはなれないわけだ。
２Ｒでは、篠崎仁志が転覆。ＳＧ連続優勝も視野に入れていたはずのオールスター覇者が、最悪のスタートを切ってしまった。それも選手責任の転覆で減点５。いきなりマイナスからの出発である。
２マークでの転覆だったから、福岡支部の面々は水面を心配そうに覗き込んでいた。潮の高い時間帯だったので、試運転用の係留所の屋根が視界をさえぎるかたちになっていたので、腰をかがめて覗き込む姿勢。そのなかには、もちろん篠崎元志の姿もあった。弟の危ない場面は、誰よりも心配が心を覆うものとなる。「選手、異常なし」というアナウンスは流れていたが、それが全面的に不安を打ち消すものとはなるまい。
勝ったのは興津藍だ。逃げ切り発進に、安堵の笑顔が浮かぶ。隣でニコニコ笑いかけるのは田村隆信。同支部同期として、デビュー以来しのぎを削ってきた間柄だ。次のオーシャンカップは鳴門開催。徳島支部からの出場は田村のみだ。いや、ひとつだけチャンスが残されている。興津がグラチャンを優勝すれば、オーシャンの優先出場権を得ることができるのだ。言ってみれば、地元ＳＧへの勝負駆け。興津にとってはそんな意味も持つグラチャンである。１着スタートは、やはり非常に大きい。
レースの合間には、レアな絡みが見られた。松井繁と遠藤エミだ。松井は試運転後にボートを陸にあげ、遠藤は係留所にボートを着けて猛ダッシュでピットへと上がってきた。そして松井に声をかけ、しばしの会話が始まった。確認していたわけではないのだが、これはまぎれもなく足合わせ後の情報交換の様子だ。王者と女子選手の足合わせって珍しいんじゃないかな。もう10数年前に横西奏恵さんとやっていたのを見た記憶があるくらいだ。この経験は遠藤にとって大きいぞ。王者の言葉は彼女にどう響いていただろう。
ところで、この足元は誰でしょう？ 履いている靴、右が赤色で左が青色なのだ。これ、赤色と青色を１足ずつ買って、片方ずつ組み合わせているのかな？ それとも商品自体が左右色違いなのだろうか？ こういうのをなかなか本人に聞けないのが取材規制のつらいところ。まあ、舟券的にはまるで役に立たないし、レースの本筋からは大きく外れている話題ですけどね。
正解は桐生順平。オシャレっすね！（黒須田）
