BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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多摩川レディチャンTOPICS 2日目

インタビューなきV候補

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 昨日から②・2・2着。勝利者インタビューこそないが、守屋美穂のテクニック&パワーが図抜けて素晴らしい。昨日のドリーム戦は、きれいにまくりきった遠藤エミを2マークであわや逆転かという態勢まで持ち込んでの2着(10ポイント)。アタマには届かなかったが、見た目には遠藤をはるかに凌ぐ出足・回り足だった。
 今日も今日とて、2Rは6号艇6コースからセオリー通りの最内差しであっという間にバック2番手進出。外から追いすがる土屋実沙希を2マークのワンパンチ旋回で突き放すと同時に、先頭の藤崎小百合にグイッと詰め寄る非凡なレース足も披露した。6コースからこんなに簡単に先頭争いに持ち込めるものか?と呆れるほどの安定感。

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 さらなる圧巻は7Rだ。2コースの守屋(コンマ26)はドカ遅れのイン川野芽唯(コンマ32)をジカまくりで攻め潰しに行ったが、4カド櫻本あゆみがコンマ09から情け容赦のない2段まくり!! この引き波にモロにハマった守屋はズルリ後退してバック最後方に置き去りにされた。
 そこからだ。大敗必至と見えた2マークは、大外からほぼ全速の最内差しで一気に3番手に進出。好旋回&好パワーが120%シンクロしての3艇ゴボー抜き! ただ、この時点で2番手の佐々木裕美との差は軽く5艇身はあっただろう。「前を向くより3着確保」という隊形だったのだが、守屋の視線はすでに佐々木の背中を貫いていた。追って追って、切り返して突っ込んで、大差と思えたふたりの艇間はぐんぐん詰まり、最終ターンマークも内から強引に艇を併せるアタックでついに大逆転の2着GET!!!! このラストターンは守屋のテクが凄いんだが26号機の回り足がエグすぎるんだか、何がなんだかよくわからんデビルターンではあった。もちろん、冷静に考えれば「その両方が凄い」という結論になってしまうのだが。

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 オーシャンカップの後半にも書いたが、最近の守屋のテクニックはオール女子戦のレベルをはるかに凌駕している。特に先行艇を追い上げる際の位置取り、初動のタイミング、臨機応変な戦術、適材適所のスピード……それらの的確さはSGでも互角に戦えるレベルだ。さらに今節は相棒の26号機がその進化を後押ししている感もあり、現時点で平山智加67号機を上回るV候補とお伝えしておきたい。
 4・6・2号艇で②・2・2着=8・67。明日以降、はじめて勝利者インタビューに登場するとき、我々はかつてより精悍な美女に出逢うことになる。「見ててください♪」という常套句を聞かずとも、全国のあまたのファンは彼女の一挙手一投足に目を奪われることになるだろう。

乱打戦

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 珍しくオール2着の選手を主役にした当欄。それだけ守屋のレーススタイルに目と心を奪われたのだが、今日の全体としてはド派手なまくりが乱舞した。筆頭は、昨日が26歳のバースデーだった高田ひかる。その大切な記念日=初日8Rは6コースからまったく何もできずに6着惨敗。「誕生日にプール掃除のバイト」みたいな悔しい1日になったわけだが、今日の高田は1日遅れで盛大なパーティをやらかした。

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 1Rは2コースからジカまくり一撃。返す刀で6Rも3コースからゴリゴリの強引な絞めまくり圧勝!! 最近の女子レーサー界では土屋南の猛攻レベルが半端ないと思っているのだが、高田の持ち味もまさに「スリットからわずかでも覗いたら(または伸びたら)絞めまくる」。さらに、「ひとたび勢いに乗ったらしばらくはまくり乱発」というイケイケな性格でもあり(←畠山調べw)、今節はもはや最終日まで「ひかるまくり注意報」を発令する必要があるだろう。欲を言えば、相棒の33号機にもうひと伸び付いてくれればパンチ力が倍増するのだが……とにもかくにも、1日遅れのピンピン誕生パーティ、お見事でした!
 今日の“空中戦”をどんどん列挙しよう。3Rは②土屋南が最近ではお約束の?ジカまくりでインの海野ゆかりを攻め潰した瞬間、3コースの川野芽唯が狙いすましたマーク差し一撃。

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 5Rは4カド平山智加がハコまくりでイン原田佑実の外に艇を並べ、2マークの高速差しで「抜き」の圧勝。さすがの剛腕ではあったが、昨日までトップ級と思っていた67号機の行き足が今日はかなり落ちたような……? 後半12Rのイン戦でも小野生奈の2コース差しを浴びており、今日の段階では守屋26号機=S【出SS・直A】よりも格下のパワーと言わざるをえない。もちろん、回転をしっかり合わせきれば抜群の行き足に戻ると思うのだが……。

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 あ、まくり乱舞だった。6Rのひかるまくりに続いて、7Rも前出・櫻本あゆみの怒涛の2段まくり圧勝! この強襲が決まった瞬間、隣の黒須田がいつもの高音で「そ、そうだよ、櫻本はいつだってコレがあるんだよ~~!!」と泣き叫んでいたが、確かに櫻本は10年以上も前から4カドまくりが大好物なスリットスナイパーなのだな。長期休養があってビギナーファンには馴染みの薄い名前かも知れないが、「櫻本の4カドまくり」は覚えておいて損はないだろう。
 続く8Rは3コースの新田芳美が伸びなりまくったところを、58歳の美魔女・日高逸子様が4カドから絵に描いたようなマーク差し一撃。「展開一本の1着」と言えばそれまでだが、私の目には日高の手のひらの上で他の選手が躍っているように映ったのだが、どうか(笑)。

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 10Rは昨日から4・5着と苦戦している大山千広が一念発起。2コースからイン宇野弥生をジカまくりで叩き潰し、バック~2マークの混戦を捌ききって「抜き」の1勝をGETした。キャブレター交換などでじわじわ気配がアップしている千広だけに、この10点はさらなる起爆剤になりえる。とは言え、守屋26号機あたりとは比べるべくもない中堅パワーではあるのだが。
 最後のまくり花火は11Rの③香川素子。最初に仕掛けたのは4カドの倉持莉々だったが、この猛攻を身体半分で堰き止めつつ作用反作用の反発力を利して一気にまくりきった。技あり一本!

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 そんなこんなで、終わってみればイン選手はわずかに3勝。2・3・4号艇もすべて3勝という乱打戦の1日だったわけだ。勝手に理由づけるならA・今日の1号艇は機力劣勢な選手が多かった、B・センター筋に獰猛なまくり屋が多かった、というシンプルな2点。明日からは肝いりの有力選手が1号艇を賑わせるため、今日ほど熾烈な空中戦にはならないと見ているのだが、どうか。で、私がもっとも注目している明日の1号艇は……もちろん9RのF2持ちの、あの人だ。(photos/黒須田守、text/畠山)