遅い時間帯まで複数の選手が試運転をしているのは、女子戦のいつもの光景。今日も真夏の暑さに怯むことなく、多くの選手が午後の日差しを浴びながら試運転を繰り返した。若手の西橋奈未と出口舞有子が11R発売中まで走って、これがラスト。いわゆる新兵のふたりであるが、これもまあ、日常的な光景ではある。プロペラ調整と試運転を繰り返していたわけだが、練習の意味も含んだ試運転であろう。明日以降、水神祭を目指すふたりは懸命に乗り込んでいた。一緒にあがってきて、交わす笑顔も爽快である。
長嶋万記も遅くまで走り込んだ一人であった。初戦6着のあとはよくまとめてはいるが、納得のいく成績ではあるまい。前半の記事では肩を落とす様子を伝えているが、試運転を終えたあとも、うつむいて考え込む姿があるのだった。なぜかレディチャンでは結果が出てこない長嶋、相性だろうか……。とにかく、明日は力強く前を向く一日にしたい。
今井美亜も10R発売中まで走った。長嶋とは対照的に、初戦1着のあとは大きい着を並べてしまっており、パワーアップは急務ではある。試運転を終えた後、エンジン吊りを手伝った後輩の西橋奈未と話し込んでおり、ただし表情は冴えているとは言い難かった。
好モーターを引きながら結果に結びつかない喜多須杏奈も、試運転に時間を費やしている。快パワーをなんとか引き出そうと走り込み、また調整に励む。10R発売中に試運転を切り上げると、歩み寄ったのは同支部の先輩である新田芳美。喜多須の言葉に耳を傾けながら、手振りを加えてのアドバイスを送っている様子であった。新田は09年のレディチャン覇者。ここ多摩川ではそのレディチャンVで出場権を得てクラシックを走っている(水神祭も!)。経験豊富な先輩の言葉が、喜多須へのヒントになっただろうか。
試運転には出ないまでも、10R発売中まではペラ室も盛況であった。山川美由紀が鋭い目つきでゲージを当てている様子、日高逸子がそんな山川に声をかけて笑い合う様子などが規制線の外からでも見受けられるのであった。今日が誕生日の原田佑実も懸命にペラ調整。1号艇が回ってきながらバースデーウィンを逃した原田、明日はなんとか巻き返したいところだ。
さてさて、10Rは大山千広が激戦制して1着。やや冴えない表情が続いていた今節だが、ようやく笑顔が見えた。まあ、戦った先輩が一緒だから控えめではあったけれども。やっぱり大山千広には笑顔がよく似合う。ここから一気に逆襲したい。
一方、競り負けたかたちの土屋南はちょっと疲れた表情。1マークの豪快なまくり差しには見どころがあったし、大山と塩崎桐加を制して2マークを先取りしようとした思い切りの良さは爽快ではあったが、負けは負け。3着という結果に満足していない雰囲気は、むしろ好感と言える。
なんとか2着を獲り切った塩崎も、納得しているとは言い難い様子であり、激闘を繰り広げて水面を盛り上げたなどということは免罪符にもならないわけだ。
11Rでは香川素子がまくり快勝。カドから攻めんとした倉持莉々を制しての先まくりであった。昨日のドリーム後は遠藤エミの快勝をニッコニコで出迎えていた香川だが、自身の勝利のあとは淡々としたもの。そのあたりにお人柄がうかがえるのであった。ただ、1号艇でまくられてしまった松本晶恵が「まいりました」という風情であいさつに駆け寄ると、ようやく笑顔! 松本もなんとか2番手に浮上できた安堵もあってか、和やかな感想戦となっているようなのであった。そんなレース後の様子も、お二人のお人柄のたまものってところですかね。(黒須田)