朝から一般戦組は慌ただしく動いているわけだが、準優組の動き出しも早かった。係留所には小野生奈や川野芽唯らのボートがすでに着けられており、１Ｒの展示が終わると２人ともがあらわれて、丁寧に準備をしてから水面に飛び出している。
「今日、回転上がってません？」
小野が１艇おいて右側にボートを着けた川野に声をかける。川野もそれに同意。そうか、今日は回転が上がりやすい気候になってるのか。たしかに昨日より暑さが和らいでいるように感じる今朝である。気温が下がれば回転が上がるのは道理ではある。
装着場では、寺田千恵が操縦席に乗り込んで、キャブレターの点検をじっくり行なっていた。それが一段落ついた頃、僕は取材場所を移動、寺田のボートの近くを通過するので挨拶をしようとしたのである。すると寺田は、出走表の12Ｒの部分を見つめて、何やら考え込んでいた。早くも戦略を練り始めているのか、対戦相手の足色を思い出しつつ自身の調整の方向性を思案してるのか。とにかく、あまりに集中しているようなので、声をかけるのがはばかられるのであった。そーっとそーっと、気配を悟られぬように通過。その数分後にふたたび寺田のほうを見たら、まだ同じ姿勢で出走表に見入っているのであった。
整備室前を通過すると、本体が外れているボートが。ネームプレートは「山川」。山川美由紀が本体整備をしていたようだった。準優に向けての一発勝負整備か。ならば４カドだけに、伸びを引き出そうとしている可能性はあるだろう。山川の右隣には、まだモーターが装着されていない深川麻奈美のボートが置かれていた。こちらは整備なのか、単にまだ装着していないだけなのかは判然としなかった。
山川のボートの右隣では、高田ひかるが整備士さんのアドバイスを受けながら、モーターの取り付けを入念に点検していた。準優は５号艇。足の仕上げはもちろん、操縦性も重要ということか、ハンドルの切れも確認。その後はボートを別の場所に移動して、プロペラ調整に入っている。
１Ｒの締め切りが迫った頃に、細川裕子がペラ調整室を出て、自身のボートへとゆったり歩いていった。ペラを装着し、２Ｒ発売中には着水しようということだろう。そこにやってきたのは、後輩の水野望美。二人はボートリフト近くのミスト噴出機の近くで、長い会話を始めている。愛知支部から準優出した二人。もちろん理想はそろって優出だ。水野はこれがレディチャン初準優。優出経験豊富な先輩とともに戦えるのは心強いことだろう。
気になる予選トップの守屋美穂だが、昨日までと特別変わった様子はない。１Ｒ後には、出走した若狭奈美子のもとに岡山勢が集結して反省会。守屋もその輪に加わっている。その“岡山会議”が終わると、守屋はまだモーターに装着されていたプロペラを外した。万全を期すべき調整が、そろそろ始まるようだった。そのあたりの動きをみると、メンタル的には問題ないように思えるが、果たして。（ＰＨＯＴＯ／池上一摩 ＴＥＸＴ／黒須田）
