1Rからアツい勝負駆け。桐生順平は2着6着で6・00に到達するという状況で、道中捌いて2着を獲り切った。つまり、後半は無事故完走で当確ということになる。その状況をある程度わかっていただろう、桐生は穏やかな表情でピットに帰還している。ただ、ボートに気になる部分があったのか、すぐに艇修理の方に声をかけて、チェックをお願いしている。後半は6着でいい、などという発想はない。少しでもいい着順を獲って、準優は少しでもいい枠番を。6Rも渾身の戦いを見せる。
西山貴浩は3着条件。1マークは握って攻めたが及ばず。道中は必死に3番手を追って、惜しい場面もあったものの、4着に終わってしまった。もちろん、ボーダーが下がる可能性はありうるわけだが、さすがに西山も疲れた表情を見せていた。仲のいい磯部誠は「友を一人失った」。だはは、なかなか大げさな物言いではあるが、一緒に準優に乗りたかったんでしょうね。その磯部も今日は勝負駆けで条件は2着3着。3Rは1号艇2着で、後半は気合が入るところ。
2Rは魚谷智之が逃げ切った。魚谷は1着2着条件なので、後半につなげる大きな逃げ切りということになる。特に顔をほころばせたりということはなかったが、吉川元浩あたりと言葉を交わす表情には力強さも浮かんでいる。セット交換など、機力の底上げに懸命だった今節。このポジションに持ってこられたことは、魚谷の実力であると同時に、充実感を与えるものであるだろう。
まったく同じ条件だった瓜生正義は4着。何があるかわからないとはいえ、予選突破は絶望的となってしまった。それでも後半は1号艇、なんとしても逃げるだけではあるが……。瓜生はエンジン吊りの間も最後までヘルメットを脱ぐことはなかった。さかんにボートの底部を気にしたりもしていて、妙に落ち着きのない雰囲気。それが悔しさの発露だったというのは深読みだろうか。今節Vならダービー4度目の優勝。これは先に引退した今村豊さんを抜いてダービーレコードとなるものだった。それがここでほぼ絶たれたことは、やはり残念ではある。
3着2本条件の新田雄史は2着で、後半はやや楽な勝負となった。2コースからイン魚谷に対してのぞいていく雰囲気もあり、足的にもいい感じだったように思う。ところが新田は、なぜか冴えない表情でエンジン吊りに臨んでいる。時に首を傾げたりもして。ジカまくりもありそうな展開で、差して2着はかえって悔しいのだろうか。とにかくあまり納得している様子はなく、つまり「やや楽な勝負となった」などという思いは少しもなさそうである。後半も全力投球だ。
さてさて、快晴の今日、2日目の前半と同様に、今垣光太郎がピットの隅の日向で入念にストレッチをしていた。今日はこちらの姿を見かけて、快活な挨拶を投げかけてくれた。そして、「もったいないことをしました」と昨日の勇み足を悔やんだ。こういうとき、かける言葉を探すのはなかなか難しかったりもするのだが、続けて「行く気になりすぎてしまいました」と微笑んだので、こちらも「それは仕方ないですよね」と返すことができた。今後は外枠オンリーになり、スタートも慎重にならざるをえないが、残り3日間も緩めず走り抜く。(PHOTO/池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)