BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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準決勝ダイジェスト

椅子取りゲーム2/3

8R
①吉川元浩(兵庫)10
②徳増秀樹(静岡)09
③新田雄史(三重)09
④原田幸哉(長崎)12
⑤前本泰和(広島)23
⑥丸野一樹(滋賀)11

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 展示タイムは吉川が6秒72で徳増が6秒71。昨日の1回戦とまったく同じ好時計を叩き出したふたりがスリットから抜け出し、インの吉川が徳増を壁にして鉄壁の逃げを披露した。選手も足も強い。明日も枠番&着順はともかく決勝進出が濃厚な仕上がりで、今節の元浩に必要な物はもはや「アミダ抽選運」だけだろう(笑)。

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 一方、生死を分かつ2・3着争いは、徳増vs新田vs幸哉による壮絶な椅子取りゲームとなった。生き残り確率は3分の2。1周2マーク~3周1マークまで、何度3人の順位が入れ替わっただろう。常に準決勝に手が届く位置にいたのは幸哉と徳増で、まずは何度かの攻防の末に今日のレース足が光る幸哉が力強く抜け出した。前半4Rの2コース差しも峻烈だったが、今節の幸哉13号機は大仕事をやりそうなムードを醸し出している。このままの勢いで決勝まで突き進めば、流れ的に1号艇をGETしても不思議じゃないな。

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 2分の1となった椅子取りゲームは徳増が優勢を保っていたが、2周2マーク、新田の小回りターン一発で逆転。ガッチリと舳先をねじ込んだ新田が敵を徳増だけに絞り込んだ激辛のブロックで押さえつけ、3周1マークは徳増に何もさせない絶品ターンで第3チケットをもぎ取った。4着・徳増の敗因は、やはり前半4Rから不安視していた出足系統(特に回り足)だったか。冷えてかなり上向いてはいたが、ターンするたびにちょっとちょっとロスしていた気がしてならない。
★1着・吉川(選考5位)、2着・原田(31位)、3着・新田(16位)

サプライズすぎる3着

9R
①田村隆信(徳島) 11
②上野真之介(佐賀)10
③池田浩二(愛知) 06
④平高奈菜(香川) 11
⑤磯部 誠(愛知) 15
⑥羽野直也(福岡) 19

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 穏やかな枠なり3対3から、現役チャンピオンの田村がここもインからあっさり押しきった。選考順位が1位だからして、明日の準決勝はこの時点で1号艇が確定! 明日も逃げきり、去年と同じだけのくじ運を発揮すれば、初防衛のみならず「1回戦~決勝まで4戦連続1号艇でプレミアムGI優勝」というレアな記録まで生まれるかもしれない(GP2nd組でも起こり得る記録だが)。

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 2着争いで惜しかったのは磯部だ。5コース巧者らしい強烈な全速のまくり差しでバック2番手を獲りきったが、ケリを付けるはずの2マークでまったくサイドが掛からないターンミスで失速。同県の先輩・池田に2番手を譲るとともに、そのまま準決勝の圏外まで飛び去った。最近のリズムダウンの流れが、まんまあのターンに乗り移ってしまったか。

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 田村-池田までが確定しての3着争いは、ドラマチックな幕切れとなった。1周バックでかなり離れた5、6番手だった羽野が、ほぼすべての周回を全速の握りマイで追って追って追って、最終ターンマークも3番手の上野に乾坤一擲の強ツケマイを放って大逆転の準決勝チケットをもぎ取った。
 キュン!!
 ゴールの瞬間、①-全-⑥の舟券を買っていた私は羽野キュンに恋心を抱いたことを告白しておこう。ありがとう、キュン♪ それにしてもの悶絶ターン。昨日の桐生順平の負傷帰郷で繰り上がり参戦となっただけでもサプライズなのに、このゴボー抜きでの準決勝進出は超サプライズ過ぎる。明日も悶絶ターンで3着に食い込んだりしたら、もはや勢い的に幸哉などを超越してアミダ1号艇が間違いない気もするのだが、どうか。うん、あの悶絶ターンは奥洞海の水神様の恋心まで鷲掴みにしたと思う、きっと(最終的に福岡支部で生き残ったのは羽野キュンひとりだった)。
★1着・田村(1位)、2着・池田(23位)、3着・羽野(37位)

連夜の「くノ一」差し

10R
①寺田 祥(山口)13
②深谷知博(静岡)16
③村田修次(東京)13
④峰 竜太(佐賀)14
⑤上平真二(広島)15
⑥守屋美穂(岡山)16

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 スタート展示のピット離れで遅れた峰が本番はしっかり踏み込み、3レース連続の穏やかな枠なり3対3。F持ちの深谷が起こしで凹んだが、これもしっかり伸び返してスリットラインはほぼ横一線。ここから力強く出て行ったのはインの寺田で、1マークは外からの猛攻を浴びる間もなく独走態勢に持ち込んだ。寺田20号機は前検でもインからの伸び返しが際立っていて、スロー発進での出足~行き足のツナギだけなら吉川38号機を上回っているかも?

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 そして、1マークの出口で早々に2番手を獲りきってしまったのが、4カドの峰竜太だった。嗚呼、昨日の11Rの2マーク~今日の6Rの2マークに続き、ここは1マークで異次元の怪獣ターンが炸裂! 本当に、4カドからただただ正攻法の二番差し(村田のまくり差しを含めると三番差し)を選択しただけなのに、峰の艇だけが5艇身ほどもタイムスリップしたような異様な光景だった。果たしてこれが、昨日の大整備が当たってのパワー差しなのか、機力なんぞまったく関与しない怪獣の咆哮なのか、もはや私には鑑定できない。きっと明日の私も峰59号機にB【出B・直B】という辛口の採点を授けると思うのだが、これほど分かりにくい選手は10年ほど前の瓜生正義以来だ。

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 そしてそして、3着は今日もやってくれました、守屋美穂! 昨日とまったく同様に最アウトから1マークは最内に潜り込み、女子力を生かしてじわじわ伸びつつスリット裏から外へと展開。この段階ではまだ5番手だったが、2マークの混戦を横目に最内をスパンッと小気味よく差し抜いてあっという間に3番手を獲りきった。素晴らしい!! 連夜に渡る「大外コース克服」に成功した守屋の明日は、やっぱりまたまた6号艇。明日も6コースからくノ一の如き忍び足で3着を取り切れば、あみだくじで1号艇→レディースチャレカのウップンを晴らすイン逃げVという青写真まで浮かび上がるだろう。
★1着・寺田祥(6位)、2着・峰(2位)、3着・守屋(35位)

王者の皮算用

11R
①毒島 誠(群馬)19
②松井 繁(大阪)20
③西山貴浩(福岡)18
④森高一真(香川)14
⑤平山智加(香川)25
⑥遠藤エミ(滋賀)18

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 今年の準々決勝は外枠に若手が多かったこともあって、4戦連続の穏やかな枠なり3対3となった。最後の一戦は他よりも遅めのスタートだったが、ほぼ横一線で揃えってしまえばインコースの利は変わらない。大村ダービーあたりから急速にリズムアップしている毒島が、外艇の乱戦を尻目に危なげなく逃げきった。8Rから4戦すべて圧倒的なイン逃げ決着。

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 他の5艇による1マークの攻防はまさに乱戦。3コースの西山が正攻法の握りマイを放った瞬間、2コース松井もまったく同じ呼吸でジカまくりを選択。西山を張り倒す形で準決勝の主導権を確保した。「最低ノルマの3着を取りきるには、差しより握りマイが高確率」という百戦錬磨の計算が働いたか。さらに6コースから、遠藤エミがこの競り合いに乗じてスピーディなまくり差し。なかなかに迫力のある全速アタックだったが、艇のバランスを逸して落水寸前の振り込みとともに万事休した。

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 そんな叩き合いを横目に、4カドから冷静沈着な差しハンドルを突き入れたのが森高だった。一番差しの利もあって、最内をすいすい進んで松井を圧倒。1艇身ほどの優位を保ったまま2マークを先取りして2着=準決勝のセンター枠を手中にした。展開一本の2着とは言え、今節の森高は冷静な捌きが光っていて、明日もあれよあれよの3着以内があっても不思議じゃないだろう。
 3着も1マークの陽動作戦で優位に立った松井がガッチリとキープ。女子でふたり目の準決勝入りを目指した平山が猛追したが、惜しくも及ばなかった。明日は5号艇となった松井が、すんなり枠なりから3着を目指すのか。その可能性もかなり高そうではあるが、もしもピットアウトから動くようなら穴配当の確率が一気に高まるだろう。ちなみに、現在の松井のクラシック優先順位は74位(一般シリーズ3V)。GPで優出すれば話は早いが、「できればココで決めてしまいたい」という王者の思い(←私の勝手な憶測ではある)も舟券予想ファクターの片隅に入れておきたい。
★1着・毒島(4位)、2着・森高(30位)、3着・松井(14位)

 かくして、すべてイン逃げ=本命サイドの決着で明日の準決勝メンバーが確定した。レース&枠番は速報で記したとおりだが、松井の順位を報じたついでに準決勝の面々のクラシック勝負駆け選手も列挙しておこう。
●池田浩二=58位
●守屋美穂=62位
●松井 繁=74位
●新田雄史=75位
●羽野直也=115位
●田村隆信=2020年V0
●森高一真=2020年V0
(photos/黒須田、text/畠山)