危機一髪の内枠決着
11R
①田口節子(岡山) 09
②海野ゆかり(広島)12
③大山千広(福岡) 12
④渡邉優美(福岡) 04
⑤平山智加(香川) 08
⑥小野生奈(福岡) 08
スリット隊形は波乱の匂いが漂う凸凹隊列に! 4カドの優美が突出し、伸びなり絞め込んだらどんなレースになっていたか、誰が勝っていたか、ちょっと想像がつかないほどスリリングな隊形だった。
が、主導権を握った優美が先攻めを躊躇。まさか同県の後輩に忖度したわけではあるまいが、この選択はどうだったか。たとえアジャストして伸び足に自信がなかったとしても、千広を叩きながらのまくり差しを狙えばバック突き抜けまであったはずだ。
優美が直進したことで、凹んでいた海野と千広が息を吹き返して猛攻開始。足のいい海野の差し~スピードある千広のまくり差しはなかなかに強烈で、ほんの一瞬だけ田口の内フトコロを捉えたかに見えたが、そこからの田口の行き足がやはり強烈無比。あっという間に2艇の舳先を突き放し、無傷の2連勝を確実なものにした。
そして、2~4着争いは先攻めできた大山と海野、二番差しで猛追する優美のデッドヒートに。まるで訓練のような3艇の交差旋回が繰り返され、わずかな隙を突いて千広が2着を取りきった。キャブレター交換などのテコ入れした千広32号機は、昨日よりターン回りが軽快に見えた。ただ、道中で余裕らしきものは一度たりとも感じられず、まだ中堅上位あたりまでと鑑定している。
大敗した平山と生奈は、スリット~1マークの不利がまんまレース内容と成績に反映された。レースは水物なので仕方がないが、先にも書いたように4カドから優美が自力で攻める展開なら彼女たちの立ち回りも180度変わったことだろう。
絨毯爆撃
12R
①遠藤エミ(滋賀) 14
②寺田千恵(岡山) 09
③守屋美穂(岡山) 02
④細川裕子(愛知) 05
⑤西村美智子(香川)F+01
⑥平高奈菜(香川) 08
悲しい事故も起きたが、レースそのものは凄まじい空中戦となった。インの遠藤が凹んだところ(←ドカ遅れというタイミングではなかったが)、キワまで攻めた守屋が伸びなり豪快にひとまくり。
個人的なことを書かせてもらえば、守屋◎でアタマ舟券をしこたま買っている私は、まずはひと安心。あとはエミが残すのか、誰が来るのか、と見ていたらば、守屋の外からとんでもない爆撃機がいきなり出現した。
美智子さまっ??
外から外へとぶん回した西村39号機が、なんとなんと綺麗にまくりきったはずの守屋をもう一丁速いスピードでまくりきってしまった。なんちゅう二段まくり! それはそれで⑤=③という大穴舟券を買っていた私は脳汁をドバッと噴き出したのだが……。
美智子さま、フライング欠場……。
そんなアナウンスを聞いて血の気が引いている間に、6コースから平高が最内をスイスイ進んで先頭に立ち、配当自体も恐るべき大波乱になっていた。
無駄に脳汁を垂らしすぎた私は呆けながらその後のレースを見ていたのだが、ちょっと驚いたのはテラッチの追撃足! 守屋が突き放そうとしても、食いついて食いついて、逆に肉薄して、「ちょっとでもミスしたら許さないわよ!」的な迫力あるレース足で最後まで脅かし続けたのだ。
命からがら守屋が2着を確保したものの、ことターン回り~出口の押し足に関してはテラッチがかなり上。直線は守屋が上でやや突き放していたが、全体的な見え方としてはテラッチ58号機のほうが強力に見えた。
順序が逆になってしまったが、1マークで守屋と西村にボコられたのが現役女子最強と謳われる遠藤エミ。まさかの2戦連続まくられで、トータル3人に叩き潰されるという屈辱的な2日間になってしまった。うーーん、昨日はスリット直前のアジャスト、今日は明らかなスタート負け、と敗因はそれなりに明確なのだが、それにしてもエミともあろう者が2度も同じテツを踏むとは。
そして、レース後の抽選で遠藤が引き当てた玉は、またしても「白」だった。3戦連続の1号艇で3連敗、は選手的に考えにくい。だがしかし、2度の屈辱でスタート勘や集中力も含めた精神力が完全にズレきったのではないか、という見方もできてしまう。遠藤自身も、エミファンも、舟券を買う我々も、明日は信頼×疑心暗鬼を秤にかけながら、この絶対女王の取捨と向き合うことになる。うーーん、悩ましい!(photos/シギー中尾、text/畠山)