11Ｒ ルーキーズ準優
やはりこの男はミスター紅白戦だ！ びわこ大会でデビュー初優勝。津大会で優勝戦３着。これは僅差で白組に団体優勝をもたらすものでもあった。そして今回、コンマ01の超絶スタートからまくり一撃！ 吉川貴仁はまさしく、ボートレースレディースvsルーキーズバトルの申し子である。
会心の一撃だったはずだが、レース後は意外にも終始、淡々とした様子であった。歓喜の様子もなし。ただ、控室への戻り際、井上忠政と肩を並べた際、その周辺で笑いが起こった。近くにいた池上カメラマンによると、井上が「やめていただきたいっすわー、吉川さん」と訴えたのだとか。そりゃあ、インの井上にしてみれば、自身もコンマ08と踏み込んだだけに、やめてもらいたいっすよね、あの強烈まくりは（笑）。
というわけで、井上はまくりを浴びるかたちで３着。なんとか優出は果たしている。自身に大きな過失があったわけではないだけに、吉川とは別の意味で、淡々としたレース後なのであった。うん、あれは仕方ない敗戦と言うしかない。
畑田汰一もまた、優出を決めたからといって、高揚感を見せるわけではなかった。すでに３回の優勝経験があるだけに、レース方式は独特であっても、特別な感慨があるわけではないだろう。というか、122期生、デビュー６期目というキャリアにして、このレース後の風情というのは、少なくとも近年のルーキーとしては、只者ではない。
惜しかったのは宮之原輝紀だ。吉川が一気に締めていく展開で、１マークで入れたハンドルはまくり差しで突き抜けてもおかしくないタイミングだったと思う。ところが、吉川に叩かれた栗城匠が握り返した航跡と重なって、栗城に弾き飛ばされるかたちになってしまった。それでも「レースだから仕方ないです」と宮之原はすでに切り替えた様子。３カドに引いたナイスガッツの栗城にしても、息を吹き返すべく握りマイに出たわけだから、まさにレースの綾である。それにしても、同県同期がやり合う格好になるのだから、ボートレースはやはり劇的ですね。
12Ｒ レディース準優
こちらもまた不思議というか、５コースからタイミングよく松尾夏海は握ったが、まくり差しロードは３コースから攻めた中村桃佳にふさがれる格好となり、展開が消えている。艇が合ったりしたわけではないが、香川支部同士でレースの綾が生まれていたのだ。そして中村も出口舞有子との３番手争いに競り負け、最後は香川同士で４番手を争うかたちになるという。ピットに戻ると、二人は顔を合わせて苦笑い。西村美智子を交えて、朗らかにレースを振り返り合っていた。優出を逃した悔しさを僚友同士で共有し合ったというところだろうか。
出口は、結果的に地元唯一の優出となった。３番手を競り勝ったということもあって、安堵の様子もうかがえた。これで前節のびわこから連続優出。中０日でやってきた地元戦で、もう一丁結果を出してきたのだからお見事。２節連続優勝となったらすごいよなー。６号艇だから大穴必至!?
勝ったのは浜田亜理沙。スカッと差し切った。やっぱり噴いてますねー。なにしろ、エンジン吊りとボート洗浄に参加するのは後輩男子ばかりとあって、派手に喜びを分かち合うというシーンは見られなかったものの、優勝戦１号艇を手にする１着だっただけに、ヘルメット越しに見える表情は明るいものがあった。
２着は堀之内紀代子。差されはしたものの、こちらも予選トップの安定感を見せつける優出となった。ピットに上がりエンジンを外すと、気になるところがあったのか整備室へと向かっている。その間にボート洗浄が行なわれており、結果的にこれを後輩たちに任せる格好となった。駆け付けた堀之内は、その後輩たちに深々と腰を折って「ありがとうございました」。気遣いが素敵です！ 優勝戦は３号艇。攻める展開になれば妙味がありそうだぞ。（ＰＨＯＴＯ／池上一摩 ＴＥＸＴ／黒須田）
