BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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宮島紅白戦準優勝戦のピットから

●11R 男子準優勝戦

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 ミスター紅白戦は、やはりミスター紅白戦であった。4回目の出場にして、4度の優出。レディースvsルーキーズ優出率100%! 2コース差しは上田龍星には届かなかったものの、この好相性ぶりはタダゴトではない。さらに言えば、優勝戦3号艇も3回目。一昨年びわこ大会のデビュー初優勝は3カドにしての最内差しであった。
 語りかけた宮之原輝紀とはそんな話にもなっていたのだろうか。優出組で最も多く笑顔を見せていたのは、ミスターこと吉川貴仁なのであった。自身もそのことを認識していないはずがなかろう。それをふまえて、明日どんな戦略で臨むのか。それをあれこれ考えるのもまた楽しいことだ。

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 勝った上田龍星は、特別表情を変えることはなかった。ルーキーズのなかでは質も量も、最も豊富な経験をしてきている男だ。1号艇の重圧に震えることもないし、逃げ切り快勝後にことさら喜んでみせることもない。これで優勝戦1号艇も確定。明日も揺るぎなく逃げるのみである。

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 3着は片岡大地。これがデビュー以来2度目の優出となる。前回は約1年前の地元平和島。こうした目立つ大会で久しぶりの優出を果たしたことが嬉しくないはずはない。にもかかわらず、片岡の笑顔は微妙。なぜかバツが悪そうでもあり、レース後に鈴谷一平と語り合っているときにも苦笑いのような笑みを浮かべているのであった。優勝戦は6号艇だ。特に構えることなく、存分に戦ってほしい。

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 惜しかったのは宗行治哉。1マーク握ってバックは3番手で出てきたが、最内を伸びてきた鈴谷を押さえこむのに寄りすぎたか、2マークは流れ気味になって前の引き波をなぞるかたちになり、片岡に並走に持ち込まれてしまった。地元優出をわずかなところで逃したのは痛恨の極み。悔しそうに顔をしかめる宗行を、1期後輩の高橋竜矢が背中をポンと何度か叩いて慰めていた。着替えを終えると、整備室の出入口脇にあるモニターに映し出されたリプレイに見入った宗行。気づけば、高橋や山下奈穂、さらに海野ゆかりもやってきて、地元勢が総出でモニターを凝視しているのであった。支部全体で悔やんだのだ。

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 井上忠政は転覆。2マーク、舟が大きくあおられるかたちになって、壮絶にひっくり返ってしまった。高橋淳美や落合直子ら大阪勢が心配そうにレスキューのほうを見つめていたが、やがて「選手異常なし」のアナウンスがあって、胸を撫でおろす。やがて陸に戻ってきた井上は、先輩や仲間の声掛けに丁寧に応えながらも、顔には不機嫌さをあらわしているのであった。結果に対しても、己の操縦に対しても、責める気持ちしか浮かばなかったのだろう。

●12R 女子準優勝戦

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 田口節子が堂々たる先マイから逃走。文句のつけようのない勝利だった。JLCの勝利者インタビューがあるので、誰よりも早くエンジン吊りとボート洗浄(今日は5日目なので洗剤を使っての洗浄作業が行なわれている)から離れてインタビューブースにダッシュ。インタビューを受け終えると、最高の節ちゃんスマイル! とにかくご機嫌で何よりである。優勝戦は2号艇。1号艇の上田をどう攻略するかが見ものだ。

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 逆に、深刻な表情だったのは大山千広だ。2マーク、4番手だった大山は一か八かの最内アタック。しかし2番手先に回ろうとした三浦永理と艇が接触し、三浦は長嶋万記に逆転を許して3番手に後退していたのだ。

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 ピットに帰還し、ボートリフトに乗り込む際にも「三浦さん、すみませんでした!」と声をかけていた大山は、陸に上がるとヘルメットを脱いで三浦に駆け寄り、もう一度頭を下げる。さらに、カポック着脱場でもすみませんでしたと詫びて、三浦に謝意を示していた。陸に上がったときから、三浦は「大丈夫大丈夫」と大山を許し、完全にノーサイド。それでも大山の顔には反省の色が濃く浮かんでいるのだった。

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 2マークの展開をうまく突くかたちで2番手ゴールは長嶋万記。こちらは優出を決めた喜びだろう、素直に笑顔を振りまいているのだった。長嶋もミスター吉川同様にこの大会4回目の出場で、昨年の丸亀大会に次ぐ2度目の優出。ミスターにはさすがに及ばないが、なかなかの好相性と言っていいだろう。その吉川のひとつ外に入ることになる優勝戦。ミスターの動きを見ながら、どんなハンドルを入れてくるだろうか。

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 小芦るり華はさすがに6枠は遠かったか、見せ場なく5着。デビュー初優出はお預けとなった。レース後の顔色も冴えなかったが、相手と枠番を考えれば致し方ないところ。なにしろ他の5人は長嶋以外はGⅠタイトルホルダー、長嶋にしてもSGキャリア豊富で、5人全員がクイーンズクライマックス経験者。このメンバーで準優勝戦を戦えたことがひとつの経験だ。同じような機会があれば、もっといい枠で乗って、先輩たちをキリキリ舞いさせてほしい。
(PHOTO/池上一摩 TEXT/黒須田)