BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――勝負駆け!

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 7R、濱野谷憲吾。8R、江口晃生。得点率上位をうかがっていた彼らは、6号艇を克服できずに、大きな着をとってしまった。準優1号艇も見えていたはずだったのに……。それでも、準優進出は当確。濱野谷は気持ちを切り替えてか、その後もプロペラ室でペラと向き合っていた。準優の枠は外目になってしまうが、それを乗り切って優出を果たしたい。

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 一方、9Rを逃げ切った原田幸哉には、その時点で1号艇が視野に入ってきている。今節は足的には間違いなく上位なのだが、なかなか展開に恵まれずに3着が多くなっていた。しかし1号艇になれば、先に回るだけ。状況をどこまで把握していたかは何とも言えないが、逃げ切り快勝と得点率の上積み成功に、レース後の原田は力強い表情をのぞかせていた。手応えを確固と感じた一戦だっただろう。

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 少々足取りが重かったのは、金子龍介だ。3日目を終えての暫定トップが、今日は5着4着。得点率は6・67まで下げている。9R後はさすがに疲労の色が濃く、同県の先輩である魚谷智之に競り負けた脱力感が見えたのだった。もちろん、準優進出は決めているので、なんとか切り替えて明日を迎えたいところ。

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 10Rでは、寺田千恵と立間充宏の夫婦対決が実現している。しかし……まさかのゴンロク。露骨に悔しがっていたのは寺田だ。なにしろ、準優へは4着条件だったのだ。しかも道中は4番手から3番手を猛追しており、そのままでゴールしていたら得点率は6・00だった。それで順位を下げてしまったのだから、3番手に浮上できなかったこと+予選落ちのWショックというわけである。ちなみに、控室へ戻るまで、寺田と立間の絡みは見られませんでした。寺田は石渡鉄兵、瓜生正義と1マークでの走りについて、悔し紛れの会話を交わしており、立間はただただうなだれて控室へと向かっていった。立間も3着条件の勝負駆けだったから、シンガリ負けは痛恨だったのだ。

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 このレースでの瓜生正義も猛追だった。こちらは逃げた石渡鉄兵を2番手から猛追。勝てば得点率7・67で、準優1号艇はほぼカタかった。いや、太田和美が11Rで大敗すれば、予選トップの可能性も残していたのだ。しかし、石渡には届かず2着。得点率7・33は西島義則、原田と同率で、節間1勝の瓜生がこのなかでは最も順位が下となる。つまり、準優1号艇もかなり厳しい状況になるわけなのだ(11Rで吉川元浩と太田が揃って大敗という条件で1号艇)。寺田、石渡と語っている間は、悔しがる寺田を可笑しそうに眺めていた瓜生だが、胸の奥にはちょっとした悔恨が残ったか。

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 11Rは、安田政彦が1着勝負だった。1マーク、後輩の吉川元浩のイン戦を巧みに差した!……と思ったが、内から来たのは得点率独走状態の太田和美だった。2マーク、なんとか差し返しを狙ったものの、さらに差し返しを狙った吉川ともつれるかたちで後退。2着で勝負駆け失敗となってしまった。ただ、安田はいつでもどこでも飄々としているタイプで、感情の浮き沈みはその雰囲気にはあらわれない。もちろん痛恨を味わっているはずなのだが、実に淡々としたレース後なのであった。

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 それよりも、はっきりとカタい表情になっていたのは吉川だ。逃げ切っていれば準優1号艇が手に入ったはずなのに、3着敗退で一気に5号艇である。外枠になったことを認識していたかどうかは別として、虎の子の1号艇で勝てなかったのはやはり痛い。その表情には迫力すら浮かんでいるのであった。

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 それにしても、今節の太田和美は強い! 逆転の1着に心弾むものがないはずはなく、それでも表情を大きくは変えずに、淡々と見せているあたり、メンタルもまた超一流なのだと思わざるをえない。もちろん、準優1号艇に震えるような男でもなく、明日も堂々たるレースを見せるはずだ。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)