BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――緊張感のなかで

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 やはり、と言っていいだろう。西山貴浩に明らかに緊張感が見える。優勝戦進出を懸けた準優は、ある意味で大一番。機力に余裕があるのならともかく、厳しい足色では不安も大きいだろう。今までなら、若松SGといっても決して主役というわけではなかった。思い入れはあっただろうが、ここまで大きな期待を背負って臨む純地元SGは初めてだろう。ならば優出はノルマと言ってよく、準優はやはり大一番なのだ。地元の関係者との会話が少しだけ耳に届いてきた。「この1週間で5時間ほどしか寝てないっすよ~」。こんなプレッシャーのなかで戦う若松SGは、また西山貴浩を一段も二段も強くするはず。いや、西山自身は今日、そうした抽象的な成果よりも現実的な成果を求めているはず。2Rが終わるとボートを着水。ここから本格的に、ノルマを達成するための真剣勝負が始まる。

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 峰竜太も同様に、緊張感に包まれているように見える。まあ、最近のこの人は、レース直前だけでなく、それこそ朝からそうした雰囲気を醸し出すことが多いのだが、今日は特に背負うものが大きいような印象を受けるのだ。ファン投票1位で予選トップ通過。これは峰にとって、かなり重たい事態である。動き自体は、ゆったりとしたものだ。1R発売中に装着場に置かれたボートに歩み寄って、キャブレターのあたりを覗き込んで、すぐさま控室へと戻っていった。何の意味があるのかはまったくわからんけど、気になることを確認した程度で、急ぐ調整はなさそうだった。今日は(勝てば明日も)ただただ自分との戦いに集中するということになろう。

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 全体的にゆったりしている選手が多いようだった準優組。唯一、本格的に整備をしていたのが馬場貴也だった。本体を割っていたのだ。準優1号艇が早い時間帯から本体整備に取り組むとはなかなか珍しいこと。初日の4着5着を巻き返しての予選3位は素晴らしい活躍ではあるが、パワー的には決して納得いくものではないということか。また、馬場は西島義則の前付けと対峙しなければならず、深い起こしでも問題なくもたせられる足が必要ということもあろう。整備を終えるとすぐに水面に向かった馬場。その感触によっては、さらに整備調整が続くかもしれない。

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 早くから水面に出ていたのは松井繁。これはまったく珍しいことではなく、昨年のグランプリでも冷え込む朝から乗り込む姿は毎日見られたものだ。お伝えしたように、昨日はレース後すぐに水面に出て、さらに調整に取り組んだ。その感触を確かめるための、早い時間帯からの試運転という意味もあったか。

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 その松井と足合わせをしていたのは上田龍星。大阪コンビが精力的に水面を駆けていた序盤の時間帯、ということになる。合間に新兵仕事に駆け回る姿も変わらず。水面でも陸でも、とにかく走る龍星である。

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 2R発売中あたりから、佐藤翼、徳増秀樹、興津藍らが水面に向かった。秋山直之、濱野谷憲吾、瓜生正義らもボートを下ろす準備は始めている。桐生順平はペラ調整室から出てきて、ペラを操縦席に置いて控室へ。休憩に行ったのか、それともカポックなどを受け取りに行ったのか。いずれにしても、まもなく水面に出ていきそうな雰囲気だった。

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 そうしたなかで、西島義則、原田幸哉、深川真二の6号艇トリオには大きな動きが見られなかった。進入の動向が気になる3人。まずはプロペラを叩き込んで、ということだろうか。目立った行動がなかった分だけ、さらに不気味。そしてその不気味さがワクワクを増幅してくれる!(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)