BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――勝負駆けであろうがなかろうが

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 さあ勝負駆け。1Rからノルマを抱えた選手が登場、注目されたわけだが、仮に準優が厳しかろうとも、レースに対して全力投球は当然のこと。たとえば、2号艇の平本真之はすでに予選突破は絶望的で、ここも苦戦の5着。負ければ悔しさを隠さずにあらわにするこの男は、やはり同じように悔しがっていたのであった。むしろ、大敗続きに苛立っているようにも見える。準優うんぬんの前に、負けた事実のほうがまず重大なのだ。

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 4カドから攻めた守田俊介は、勝てる展開を逃しての3着。ピンピン勝負だから、これで予選突破から一歩も二歩も後退したことになる。ただ、この人はいつもレース後は淡々としていて、感情があまり表に出ないタイプ。だから、もちろん痛恨の3着に違いないのだが、普段通りに特別なアクションを見せはしないのだった。勝っても負けても、準優に行けても行けなくても、自分のスタイルを崩さないわけだ。

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 2走6点条件の池田浩二は4着。後半は5着でいいわけだが、しかし本当に5着でいいとは思ってないだろうし、この1Rも4着で良しとはならない。ヘルメットを脱ぐと眉間にしわを寄せて悔しさを見せていたし、菊地孝平とレースを振り返っている間には苦笑いしか見えなかった。ただ、仲良しの西山貴浩とは笑みを交わしている場面もあり、暗鬱なムードはそれほどなかった。このあたりは比較的楽な条件で4日目を迎えている余裕だろうか。後半は準優で少しでもいい枠番を得るべく、気合を入れてくるだろう。

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 2Rは毒島誠が5コースから勝利。毒島は今日、ピンピン勝負に追い込まれていて、この2Rの5号艇が大きなポイントであった。後半は1号艇だから、ここが勝負どころだったのだ。だというのに、今朝の毒島の雰囲気は昨日までとまったく変わらず。爽やかな顔つきでこちらに挨拶してきたかと思えば、盟友の桐生順平とも談笑していた。2Rとレースが早いこともあって、今朝の毒島は近寄りがたい雰囲気を醸し出しているのではと想像していたのだが、まるでそうは見えなかった。そして、5コースから1着。勝負駆けで選手が見せる姿には、いろいろあるもんだと改めて思う。

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 整備室を覗けば、魚谷智之が本体整備。10R1号艇で2着勝負、まさしく必勝を期しての勝負整備だろうか。成績は“尻下がり”になっているだけに、ここで一発、モーターに喝を入れて、リズムを上げたいところ。

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 その隣では金子龍介が本体整備で、おそらくはセット交換。金子は予選突破が相当に厳しい状況なのだが、そんなことは関係ないとばかりに、さらにパワーアップをはかる。勝負駆けうんぬんではなく、臨むレースで結果を残すべく、努力をやめないのだ。
 勝負駆けに臨む選手は、もちろんモチベーションがアップしている。しかし、そうでなくとも、レースに懸ける思いは変わらない。SGクラスというのはこういうものなのかもしれないですね。あるいは、ボートレーサーの性とはこういうものだ、と言うべきかも。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)