BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――勝負駆けあれこれ

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 なんだかんだ言っても峰竜太。初日ドリームでインを獲られて敗れたときにはどうなるかと思われたが、終わってみれば予選2位である。9Rは鋭い2コース差しで1着。これで準優1号艇を確定させてしまった。
 ただ、まだ足的には思うところがあるんだろうな、と見える。今日は居残って最後までプロペラ調整。また、レース前ほどではないけれども、自分の世界に入っているような、そんな集中する表情もうかがえた。あともうひと上積み、そのための方向性を探っているようにも見える。明日の準優は、6号艇にあの人! 簡単な1号艇ではないが、そのための準備は早くも始まっているようだ。

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 峰はペラ室の外の調整所で叩くのが常となっているが、そこにやって来たのは片岡雅裕。ペラを手にしゃがみ込み、長い会話を交わした。どう見ても、峰に何らかのアドバイスを求めている姿なのだがどうか。準優に残って、最初のハードルはクリアしたが、地元の砦を守る者としては、それで満足するわけにはいかない。身長も乗り方も違う二人だが、片岡にとって学ぶところは多いだろう。何を得て、準優のピットに入ることになるのか。

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 9Rでは、石渡鉄兵と久田敏之が落水失格。この二人が揃って負傷してしまった。11R終了後、ともに途中帰郷。たまたまピットを出るときに一緒になって、久田がやるせない表情で「お世話になりました」と頭を下げた。腕を押さえた石渡も同じように。こういうとき、なんて返したらいいのか難しいですね。お疲れ様でした、気をつけて、と言うのが精一杯でした。一日も早くケガを癒して、1カ月半後、メモリアルのピットで元気に会いましょう!

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 10R、平本真之が逃げて勝負駆け成功。感情を隠さない男、平本はやはりニッコニ…………いや、凛々しい! 満面の笑顔で帰ってくると想像していたのだが、力強い目つきで、頬をキュッと引き締め、口元にも力がこもった、男っぽい顔つきを見せていたのだ。充実感も漂うその姿は、うん、カッコ良かったぞ! ドリーム6着大敗からの巻き返しに成功したことも、大きな満足感になっただろうか。

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 一方、原田幸哉は勝負駆け失敗。首を傾げながら、陸に上がってきたのだった。いかにも不満というか、納得がいかないというか、苛立ちがビンビンと伝わってきた。愛知代表の二人に明暗クッキリ。

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 やはり勝負駆けに失敗した村田修次は、着替えを終えるとすぐに本体整備を始めていた。予選は終了、しかも準優には行けない。僕なら、レースで気になるところがあったけど、もう敗者戦だからいっか、となりそうなところ。しかし村田は、それを解消するべくすぐに動いた。これぞ名人。準優と敗者戦、同じモチベーションで戦えるとは限らないけれども、村田は明日もできる限り全力で戦いに臨む。

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 11Rは毒島誠が3コースまくり差しで快勝。5着以下なら予選トップの座を峰に譲っていたのだが、エース機とともに走る毒島の大敗はなかなか考えにくかった。それどころか、好パワーの馬場貴也をざっくりと斬り捨てる迫力の走り。当たり前であるかのように、すんなりとトップ通過を果たしたのだった。

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 その毒島を追い詰めたのは意外や意外、平山智加だった。何の話かって? 丸亀のボートリフトは4艇×2ずつ乗せることができ、1~4着がピットから向かって左側に乗り、5~6着が右側に乗る。4艇といっても横並びではなく、2艇×2列で乗り込む。11Rであれば、左側の前列が毒島と馬場、後列が平山と益田啓司で、毒島の後ろに平山が乗る形になった。リフトが上がり切ると、まず毒島と馬場が下りて、次いで平山と益田が降りる。毒島が仲間とともにボートを押して装着場へと進み出たそのとき、平山チームはダッシュ! 後ろから突かれる格好となった毒島は、平山のボートの舳先にある取っ手を掴んで、「早い早い!」と悲鳴(笑)。つられて毒島チームもダッシュすることになって、この2艇はあっと言う間に装着場に吸い込まれていきましたとさ。どうでもいいですか、そうですか。平山チームにいたのはもちろん片岡と平高奈菜。優出を果たして、最終日12Rの水面でも毒島を追い詰めちゃってください!(PHOTO/池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)

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