BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――気合みなぎる

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 選手紹介を終えてピットに戻った選手たちの多くは、すぐに作業に取り掛かっている。久しぶりにお客さんの前に立った喜びはあろうが、いざ勝負となれば頭は切り替わる。まして勝負駆けの一節! どことなく気合が高まっているように思えるのは、決して先入観のなせる業だけでもあるまい。
 控室からカポックを手に、難しそうな顔で出てきた白井英治にカメラを向けると、表情は変えないんだけど、グッドポーズ! あら、ご機嫌ですか。と思いきや、モーター評価を聞かれたので、上位ではないことを伝えたら、「やっぱり」と呟いて、瞬く間に準備を整えて、水面に出ていった。前検では気になることがあったのだろうか。12R1回乗りながら、1Rが始まる前には水面に出たのだから、これはかなり早い動き出しだ。やはり意気込みは強い。

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 開会式ではいつも通りにおどけてみせた西山貴浩も、気づいたらプロペラ調整室の住人となって、真摯な表情でハンマーを振るっていた。昨日のピットでは「前節よりはぜんぜんいい!」と何度も叫んでいた西山。丸亀周年では整備もしたし、予選落ちもしたし、厳しい一節だったわけだが、今回はそれに比べれば十分な手応え。それでもそこで安住するのではなく、さらに上を目指して初日の朝から奮闘しているわけである。グランプリ出場はほぼ当確とはいえ、現在の15位で満足はしていられない。

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 現在18位の新田雄史は、いつも通りに淡々とした様子ながらも、やはり早くからの動き出しとなっている。写真のように、同期の平本真之としゃがんで話し込む姿も。ちなみに、ギアケース調整をして装着している平本の目線に合わせて、新田がしゃがんだ格好。情報交換の類いの会話だと思われるが、目つきはなかなかに鋭かった。

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 SGオープニングの2Rは、佐藤翼が6コースから激勝! 現在17位という、本人曰く「かゆい位置」の佐藤は、昨日『週刊BOATBoy』のインタビューに出演してくれていて、「守りに入らない。攻める」という旨の言葉を残している。現在のポジションを守り抜くという意識ではなく、攻めることこそが18位以内を守れる方法ではないか、という意識だ。初戦6号艇での1着はデカい! ここからは本当に憂いなく攻めに徹することができるだろう。出迎えた桐生順平もニッコニコになる、大外からの勝利。佐藤自身は穏やかな様子だったが、心中には力がみなぎっていると思われる。

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 女子の動きはもちろん活発で、ピットでの動きはむしろ女子のほうが目立っているという印象もある。まあ、“らしい”光景ではある。女子20位から逆転クイクラ行きを目指す長嶋万記は、まるで思いつめたように俯いて、ピット内を歩いているのだった。明らかに脳みそをフル回転させている姿で、調整の方向性を黙考して練り上げているといった図だろう。着水時、隣のリフトに白井英治が入ると、身を乗り出して話しかけている姿もあった。アドバイスを求めたのだろうか。トップクラスから情報を得ようとする姿勢はグッド! 

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 オープニングの1R、海野ゆかりが4カドまくり快勝! 海野らしい一撃でしたね。ピットで出迎えたのは前本泰和と寺田千恵。同県の同世代選手と、敬愛すべき先輩。その二人に称えられれば、海野の頬が緩むのも当然であろう。爽快な表情を見せていた海野は、現在11位。GP戦線で言えば佐藤翼と同じ立場ですね。海野も攻めを貫いて勝負駆けを戦っていくことだろう。(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)