BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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この暑さはあれに似ている……の最終日前半のピットから

 最終日も暑いぞー! 2Rの展示待機に入ろうとカポックを着込んだ田村隆信が顔をしかめる。ふっとこちらに視線を向けて、「岩盤浴に入ってるみたい」と言ってまた顔を歪めた。なるほど、それは言いえて妙! サウナのような超高温ではないが、じんわりと高温に包まれる岩盤浴の暑さにたしかに似ている。しかも、田村はカポック着てるんだもんなー。真夏のボートレーサーは暑さとも戦っている。

 優勝戦メンバーは、暑を避けて控室で……ということはなく、全員が1R前後までには一度は水面に降りていた。これはなかなか早い動き出しである。午後2~3時はいちばん気温が高い時間帯、しかし彼らはそんな状況に怯んだりはしない。優勝メンバーはGⅠ、いや、SG優勝戦といってもおかしくない面々。だというのに、これは賞金が10分の1ほどのGⅡである。だが、このクラスの選手はそんなことは少しも考えない。いや、考えたとしても、目の前の勝負に勝ちたいという欲求が自然と高まる猛者たちなのである。甲子園はいわば祭典的な色合いが濃い大会だが、いざ水面に出れば、それはいつだって真剣勝負なのである。

 ピットには早めに入ったのだが、白井英治はすでに整備を終えていたようだった。昨日、記者会見でセット交換をすると宣言をしていたので、その様子を見ておきたかったのだが、動きは想像以上に素早かったようだ。ということで姿を探すと、これが水面にあった。整備をし、その感触を確かめようと、1R前には試運転を行なっていたのだ。

 1号艇の深谷知博は、午後イチの試運転にすでに出ていた。それをスタンドの記者席で見つけたことも、早めにピットに入った理由のひとつ。僕がピットに入った時点ではすでに試運転を切り上げており、その姿はペラ室にあった。昨日はずっとゲージ擦りのテーブルに陣取っていたが、まずは“朝”の試運転の感触をもとにペラと向き合ったようだ。

 馬場貴也、佐藤翼、新田雄史の3人は、1R前にスタート練習に参加。優勝戦メンバーのスタート練習ではなく、フリー参加の練習に申し込んだようだ。ちなみに、新田は1本ダッシュを試したが、馬場も佐藤もそれぞれ2コースと3コースだけを試している。白井の前付けには徹底抗戦の構え?

 3人とも、その後にボートをいったん陸に上げて、それぞれの作業に取り掛かっている。馬場はペラ室に入っており、もう一丁、底上げを狙う。佐藤はペラ室や控室のほうを行ったり来たりしており、調整の合間に帰郷の準備をしているように見受けられた。

 瓜生正義もボートを上げている。水滴を丁寧に拭き取って、その近くを通過する選手や関係者に声をかけられては、笑顔で応えていた。選手会長になろうが、そうした様子は少しも変わらないですね。(PHOTO/池上一摩 TEXT/黒須田)