BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――整備ラッシュ

●本体整備①

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 藤山翔大が早くから本体整備だ。機力が物足りない? まあ初日の段階で納得の域に届いていないのはたしかだろうが、彼なりの整備で望む足を引き出そうというのは彼のスタイルでもある。彼が見せる超絶伸びは決してプロペラ調整だけで引き出しているものではない。モーター自体に手を加えることもまた大きなウエートを占める要素なのである。あ、ちなみに写真は焼きを入れたペラを取り出しているところです。整備と並行して焼きを入れていたようだ。

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 整備を終えてボートに装着したのが2R発売中。装着中には菅章哉が歩み寄って、話し込む姿もあった。二人のスタイルは、伸びてまくるという点で似通っているのだが、その本質的な部分では異なっている。とはいえ、通じるものは確実にあるのだろう。お互いの存在はおおいに刺激を与え合うものがある。

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 そうそう、モーターの装着を手伝っていたのが下出卓矢でした。チルトを自在に使いこなすという点では共通点がある面々。独特の個性を持つ者たちがSGに集っているというのは、なんとも楽しいものでありますね。その下出は、1R後に本体整備に取り組んでいる。1R、3カドにしたけど伸びがぴたり止まっていたもんなあ。パワーアップが急務なのは間違いない。

●本体整備②

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 整備室にボートを持ち込んでの本体整備はドリーム組の前本泰和。時間がたっぷりあるだけに、大きな整備もできるというわけだ。ただ、気にはなるのである。前本といえば、プロペラ調整で仕上げていくことが多く、またその達者さは他選手が「前本さんはいつもエンジンを出す」と証言するように職人技である。その前本が、本体整備に手をつけているのだから、感触はかなり悪いということか。ちなみに、過去1年で前本が部品交換をしたのはたったの3回。それもキャブレター、キャリアボデーだけで、いわゆる外回りの部品なのである。本体に手をつけるのは、やっぱり異常事態と言える。

●本体整備③

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 1R終了後、速攻でボートごと整備室に運び込んだのは、赤坂俊輔だ。初戦1号艇はもちろん必勝の一戦だったわけだが、太田和美のまくり差しに捉えられた。展開的に厳しかったのはたしかだが、本人としては手応え的にも納得がいかなかったということか。念願の地元SG、一滴の悔いも残さないために、やれることはすべてやり尽くして、の決意だろう。

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 1R後に即座に調整を始めていたのは先述の下出と、4着に敗れている守屋美穂。守屋の場合はギアケース調整で、その後は試運転に出ていく構えのようだ。下出も1回乗りながら整備したモーターをまたボートに装着していたので、おそらく試運転を行なう腹積もりであろう。

●初陣勝利

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 2Rで船岡洋一郎が逃げ切り。深川真二の前付けがありながら、堂々たる逃げっぷりであった。SG初陣にして、SG初勝利! リフトでは、辻栄蔵が何度もバンザイをして出迎えていた。広島勢はみな笑顔。ヘルメットをとった船岡の表情は充実感にあふれており、デビュー16年で辿り着いた舞台での先頭ゴールにおおいに満足しているようだった。1回乗りだったので、水神祭はすぐに行なわれています。その模様は別記事で。

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 1マーク、6コースからまくり差した磯部誠が2番手に浮上したのだが、その後は番手争いを演じることとなり、終わってみればなんと5着。エンジン吊りをしながら、磯部は悔しそうに顔を歪めていた。たまたますれ違う機会があったのだが、こちらに視線を送りながらぼそっと「今節はヤバイぞ……」。どうやら本体整備に取り掛かるようだった。なんとか立て直したいところ。
(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)

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 3Rは遠藤エミが逃げ切り。いい表情のレース後でした!