BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――素早い!

●おみそれしました!

 1R、鈴木博が5コースからまくり差し一閃! 見事に展開を突いて高配当を演出した。会心の一撃に、レース後の鈴木はちょっと照れ臭そうな笑みを見せていた。
 声をかけたのは6号艇の平田忠則。まさに間近で鈴木がまくり差して行くのを目の当たりにしたわけで、平田はとにかく感心しきり。「おみそれしました」と笑顔で鈴木を称えるのであった。別れ際には「素晴らしい!」。本当は平田自身が狙っていたウィニングロードだったかもしれないのに、素直に鈴木を祝福するのだった。いやあ、本当に素晴らしいまくり差しでした!(2マンシュウありがとうございました!)

●即整備!

 西島義則の前付けもあって深い起こしにはなったものの、1号艇を活かせなかった寺田千恵は率直に悔しがっていた。スリット写真を覗き込むと、スタートを踏み込めなかったことがまた悔しかったらしく、悲鳴のような声をあげている。
 それにしても、そんな寺田に瓜生正義や原田幸哉らが次々と声をかけ、寺田もそれにあわせて愚痴をこぼしている様子を見ていると、寺田がいかにこれまで彼らと大きな舞台で顔を合わせてきたかがしみじみ実感される。先の遠藤エミの快挙は本当に素晴らしかったが、寺田らが道を切り拓いてきたことの偉大さが、マスターズチャンピオンの舞台で改めて伝わってくるのだ。
 そんな寺田は、2R発売中にはボートを整備室に運び込んだ。どうやら本体整備に着手する模様。明日からの戦いに対してまったく萎えていないのである。

●即ペラ!

 1Rで前付けから2着の西島義則は、レース後に着替えを終えると、まるで休む間もなくピットに舞い戻っている。手早くプロペラを外すと、早足で調整室へ。西島もなんたることか還暦となったわけだが、年齢などまるで感じさせない、軽やかであり、迫力もあり、とにかくキビキビとして素早い動きを見せたのであった。1Rを走って気づいた課題を、すぐさま解消しようと動くのだから、もう感服するしかない。これがまた、西島をいつまでも第一線で走らせる原動力になっているのだろう。

●即相棒のもとへ!

 2Rで2番手争いを見せたのは花田和明と今村暢孝だったが、3周1マークで花田が先行、今村はターンマークを外す格好となり、そこに今垣光太郎が飛び込んで3番手逆転を果たしている。そのとき今垣と今村が接触していて、レース後は両者のボートが艇修理室に運ばれている。
 その数分後、着替えを終えた今垣が控室からダッシュ! すぐさま修理室まで駆けていったのだった。着替えを終えたあとにまずやったことが、相棒の様子の確認だったわけだ。その日のレースが終われば、ボートを磨き上げるのが今垣のルーティン。相棒を大切にする今垣らしさが、接触のあったレース後にも見られたというわけである。幸いにも大きな損傷はなかったようで、8Rに向けての準備を始めた今垣なのであった。

●実直

 2Rで上平真二がまくって快勝。日またぎの連勝だ。しかしながら、ピットに戻ってヘルメットを脱いだ上平にはまるで歓喜の色がなく、むしろカタい表情だったのだから、少々意外であった。というより、もともとレース後に感情をあらわにするタイプではなく、だからユーチューバーになったり、笑顔がプリントされたマスクでおどけたりするのがあまりに意外すぎるわけである。
 エンジン吊りを終えた上平は、ヘルプした広島支部の先輩にまず深々とお辞儀。その後は各選手のもとをまわって、やはり深く腰を折って礼を尽くすのであった。今村暢孝は職員の方と話をしていたのだが、上平は会話中は直立不動で待ち、会話が終わってから今村に声をかけて丁寧に頭を下げたのだった。実直な人なのだ。ただし、同期の大澤普司には肩をポンと叩き、右手をあげただけでありました。同期生の絆がかえって伝わってきますね。(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)