BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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準優ダイジェスト

キワキワ真剣勝負!

10R
①秦 英悟(大阪)F+02
②羽野直也(福岡)07
③山口 剛(広島)01
④柳沢 一(愛知)01
⑤萩原秀人(福井)08
⑥秋山直之(群馬)10

 いきなり大波乱だ。圧倒的人気の秦英悟、痛恨の勇み足……3月の当地周年記念は予選トップながら、準優のインからボコボコに叩かれ6着。今日は今日とて宮島オールスターに続く今期2本目のフライングとともにV戦線から消え去った。起こったことは悔やんでも仕方がない。このF2は最低でも向こう1年ほど秦を苦しめることになるだろうが、できるだけ早く気持ちを切り替えて大舞台へのリスタートを目指してもらいたい。近い将来、このからつでのリベンジ(禊)の優勝とともに。

 スッキリ逃げたはずの秦が戦列から離れ、代わって3コースから全速のまくり差しを繰り出した山口が先頭に立った。こちらはギリギリタッチのコンマ01で、V戦線の前線に生き残った。最近の絶好調ぶりが、こうした局面にも反映されたか。恵まれとはいえ道中を旋回する足色も軽快で、ファイナル一番乗りに相応しい戦士がゴールを駆け抜けた。

 私が期待した羽野キュンはスタートで後手を踏んだ(07で!)不利もあったが、今日は自慢の出足系統がかなり不安定だった。特訓でも両隣に煽られていたし、1マークは回った瞬間にキャビテーションで大失速。調整ミスなのか、この大一番で凡機56号機の底力のなさが露呈したのか、現時点では分からないが十分に2着を取りきれる1マークだっただけに残念だ。

 2着に粘り込んだのは、山口とともにコンマ01のキワまで踏み込んだ柳沢。いろいろな意味で「強運な2着生き残り」という気もするのだが、師匠の原田幸哉がオールスターを制し、今度は愛弟子がファイナリスト入り。強運な2着だったからこそ、むしろ流れ的には怖い存在と言えるだろう。私のパワー評価は【出足A・直線B】のトータル中堅上位という見立ては変わっていないのだが。

おとこ差し。

11R
①上平真二(広島)07
②石野貴之(大阪)03
③茅原悠紀(岡山)05
④赤岩善生(愛知)06
⑤瓜生正義(福岡)11
⑥毒島 誠(群馬)19

 上平46号機のパワーが、3人のGPウイナーなど強敵を木っ端みじんに粉砕した。モロに影響を浴びたのは2コースの石野だ。スリット近辺のパンチ力を重視したであろう石野は、理想的な飛び出しから一撃のジカまくりを目指した。並みのインコースなら、軽々と絞めきれただろう。

 が、かなり劣勢に見えた上平46号があっという間に伸び返す。まくる気満々だった石野は艇を寄せきってコツンとぶつかってから、「こりゃあかん!」とばかりに差しに切り替えた。明らかな誤算。接触してからの差しに迫力があるはずもなく、4コースから全速で襲い掛かった赤岩の引き波に沈んだ。水上の軍師・石野の目測をも狂わせる46号機の行き足、恐るべし!

 バック直線でも、追いすがる赤岩を一気に突き放した上平。そのパワーに関してはもはや多くを語る必要もないだろう。初日の3着から5日間、上平が誰かしらと競って負けたことは一度もなかったはずだ。全部の足がSランクのゴージャスなバランス型。三島敬一郎がただひとつSを授けた46号機は、そのままV街道の最前線へと上平を導き続けた。12R1号艇の天才レーサーを除いて……。

 2着の赤岩はとにかく「天晴れ」と言うしかない。まずは不断の整備、調整に天晴れ。例によって前検から本体を割って、早々にリング2本を換えるなど己の整備スタイルを貫通。3日目あたりにふと気づいてみたらば、相棒の31号機は押しも押されぬバリバリの上位級に育っていた。

 そして、今日の迷いのない全速まくり差しに大天晴れ! 前述・石野が大誤算でもたつき、その動きを3コースから茅原がしばらく観察している(下手に動けない攻防だった)間に、エイヤの気合で握っていた。明日は外枠からの挑戦になるが、上積みしたパワーといい、1号艇が誰であってもゴリゴリ攻めたてる最近のファイティングスピリットといい、まったく軽視できない“漢(おとこ)”とお伝えしておこう。

SG10V、王手!!

12R
①池田浩二(愛知)13
②久田敏之(群馬)15
③中野次郎(東京)16
④磯部 誠(愛知)13
⑤菊地孝平(静岡)17
⑥辻 栄蔵(広島)18

 天才・池田が勝った。持ってる男の真骨頂か、コロコロ変わった風向き・風速が5mあたりで安定し、スタートは申し合わせたように横一線に広がり、誰もが外から攻めきれないうちにスパッと鮮やかに逃げきった。

 相棒の27号機はここ2日ほど行き足~伸びが落ちたように思えたが、今日は久田や中野と舳先を揃えたまま突き進み、危なげないインモンキーで他を圧倒した。ただ、他を圧する伸び返しというレベルではなく、明日の上平46号機より劣勢を強いられる可能性は想定しておきたい。もちろん、選手の技量的にそれでも逃げきれる範疇だとは思うのだが……。

 私が勝手に今節の恋人として寵愛してきた磯部28号機は、このセミファイナルで力尽きた。今日もスリット横一線の4カドからスルスル出て行ったが、カド受け・中野を超えるに至らず小休止。そこに5コースから辻が全速のツケマイで外を通過し、重すぎる引き波を直射した。無念の脱落ではあったが、最後まで28号機の持ち味(ストレート)を殺さず戦い続けた磯部にとっては大なり小なりスキルアップになったと信じたい。ありがとう、磯部クン。

 ファイナル最後の議席は、その磯部をガッチリ止めきった中野。今日もターン回りから直線から、まったく隙の無いバランスパワーであっという間に2番手を取りきっていた。明日は4号艇からコース取りがなんとも微妙だが、たとえ5コースからでも展開一本で突き抜ける極上パワー。軽視してはならない。(photos/シギー中尾、text/畠山)