BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――暑い!

 晴れ上がった2日目、湿度が取れ切れていないので、いやー、暑い! 試運転からあがってくる選手も汗だくで、顔をしかめながらタオルで額などを拭ったりしている。もっとも篠崎元志は涼しい顔で、くー、カッコええのう、ちくしょー。イケメンってやつは暑さにも強いのだろうか?

 レースを終えた選手は、特に道中で競り合いがあった選手などは、誰もが荒い息で上がってくる。1R4着だった田村隆信は髪の毛が汗でグシャグシャに濡れており、肩で息をするなど疲労感が強かった。顔を歪める場面もあり、平高奈菜に3着争いで競り負けたという事実もまた田村をより疲れさせただろう。

 平高もまた、額に汗を浮かべて戻ってきているのだが、こちらは逆に競り勝てたことで表情は明るいのだった。まさに心地いい疲れというやつだろうか。勝負師たちは結果によって身体も心も疲れ方が変わってくる。そういう面は確実にある。

 2Rで2着争いに競り勝った平本真之は、笑顔を浮かべることなく、ただただ疲れた表情を見せていた。2番手はほぼ堅そうという局面から安達裕樹に迫られた展開、反省点だったり仕上がりへの不安だったりもあったかもしれない。歓喜も悔恨もレース後に隠さない男・平本が、ただ疲労感を浮かべるというのは珍しいことでもある。それも猛暑のなせる業だろうか。

 そうした疲労感と無縁だったのが、1Rを逃げ切った山田哲也だ。ピットにあがってヘルメットをとると、あらわれたのは爽快な笑顔! 気持ちいい逃げ切りでしたね! エンジン吊りを終え、大池佑来と話している間も笑顔は消えることなく、そこには清涼な風が吹いていたかのようだった。やっぱり勝利は暑さを忘れさせてくれますね!

 しかしながら、2Rを3コースからまくって勝った菊地孝平は、なんと笑顔皆無! 会心の勝利に、レース後はけっこうはしゃいでみせるのではないかと想像していたら、まったく正反対の振る舞いだったのである。目は爛々と輝き、力強く出迎えた仲間に視線を送る。神妙な表情で戦った5選手に頭を下げて回ると、視線をぐぐっと下に向けて、まるで思案するかのような雰囲気で、黙々と控室へと戻っていくのだった。もう気合が違う! やはり地元SGはそれほど大きいということだろう。完全に勝負モードに突入したと見たぞ。(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)