後半のピットを沸かせたのは、やはり上野真之介だ。６コースまくり！ エース機パワーを思い切り見せつけるド派手な一発に、ほかの選手も報道陣もおおいにテンションを上げていた。レース後はもちろんメディアに取り囲まれるわけで、それはずいぶん長く続いていた。上野も微笑を浮かべつつ、快く応えていた。会心の一撃でご機嫌の上野、それはあるいは幸せな時間だったかもしれない。
同じ９Ｒの明暗は、井口佳典。３周１マークで転覆。ちなみに選手責任の転覆だった。これで井口は右ひじを負傷、途中帰郷と相成ってしまった。発表では右ひじ負傷、実際に痛そうにしていたが、左ひじにも手当てがされていた。三重支部の選手が気遣うなか、帰郷準備をしていた井口は、時折顔をしかめる瞬間もあって、今日の夜はけっこう痛むのではないだろうか。菊地孝平も心配そうに井口の様子を見守っていた。とにもかくにも、しっかり養生してください！
10Ｒでは松井繁が逃げ切り。深川真二の前付けで深めの起こしになりながら、きっちりスタートを決めて押し切った。カポック着脱場では、その深川と何やら会話を交わしていた。こちらの位置取りが深川の背中側だったので、その表情は見られなかったが、松井は笑顔を交えながら受け答え。そこに遅れて毒島誠がやってくると、さらに笑顔は大きくなっていくのだった。真っ向勝負のあとの、ノーサイドの笑顔。なかなか爽快な場面であった。
もっとも、深川はレース後にはかなり険しい表情を見せている。２着には入ったが、前付けは勝つための策であって、２着では笑えないということだろう。うつむきながら、目元に悔しさを浮かべる姿は、まさに男らしさの塊。明日からもこの戦いを貫いて、深川らしさを発揮してくれるはずだ。勝利の笑顔も見たいぞ。
11Ｒで顔をしかめていたのは白井英治だ。まあこの人は、勝っても眉間にしわを寄せていることがあるし、どんなレースでも（予選であれ賞典であれ一般戦であれ）負けたあとの表情は険しいのだが、なすすべなしの６着では眉間のシワはさらに深くなるというもの。カポック着脱場では湯川浩司とレースを振り返り合っており、その中身はほとんど聞こえなかったが、「あれはないわ」と白井が自嘲するように吐き捨てたのはハッキリと聞こえてきた。まさしく本音なのだろう。明日はこれをどう巻き返してくるだろうか。
さてさて、今日は何人かの選手が最後の最後まで試運転を続ける姿があった。まずは平本真之。ここまでは消化不良ばかりで、自身にもモーターにもペラにもひとムチ入れているといったところか。午後はさらに気温が上がっていた宮島、汗だくで奮闘する平本であった。西山貴浩も、試運転に励んだ一人。やはり汗だくになり、あちーあちーと言いながらあがってきている。
１Ｒ１回乗りで快勝の篠崎仁志も、とことん走った。すなわち一日中、走るのをやめなかったわけだ。初戦転覆からの猛然たる逆襲のため、今日の仁志はひたすら牙を研ぎ続けたのである。
あと、今日お誕生日の長田頼宗も最後まで試運転してました。５Ｒは惜しかったな～。長い誕生日だったかも。お疲れ様でした！（黒須田）
