●８Ｒ
１マークではたしかに川島圭司が逃げたのだが、そこから先の白井英治はさすがと言うしかなかった。離されずに追走すると、３周ホームで舳先をこじ入れ、１マークで逆転。書くが違うと言わんばかりの抜きっぷりである。ピットに帰ってくると、森高一真が「かっわいそうに……かっわいそうに」とまたまた何回言うねん状態。川島に同情しながら白井にクレームを入れるような格好で、その実、白井の強さをたたえた格好だ。森高のちょっと意地悪な祝福に、白井もニッコリと笑顔を返していた。
森高は返す刀で川島に近づき、「惜っしい……惜っしい……」と、ほんまに何回言うねん！ それまでやや表情が硬かった川島は、森高のちょっと意地悪な慰めの言葉に笑みを浮かべたのだった。やっぱり森高は優しいんだよな。川島はセミファイナルに進出、明日こそ番狂わせを果たしたい。
３着は土屋南で、ようやく女子選手の勝ち上がり者が出た。道中は白井に対して果敢にツケマイで攻めてもおり、大健闘だったと言うべきだろう。土屋を祝福したのは菅章哉。菅の笑顔を見て、土屋もまた笑顔だ。この二人の関係性は、土屋の旦那様である佐藤翼が菅と同期。セミファイナルで外枠を引いたら、菅のアドバイスでチルト跳ねたりして!?
●９Ｒ
中島“もみじまんしゅう”秀治が４カドからまくりを放ってインの辻栄蔵を沈めてしまった。自身は２着だが、これはまさに大殊勲！ おおいに見せ場を作ってのセミファイナル勝ち上がりは、誇っていいことだろう。選手宣誓でもみじまんしゅうをパクった西山貴浩も、ご満悦な表情で中島を称えていた。セミファイナルでも大物食いを見せてほしいところ。
せっかく引いた１枠を活かせなかったどころか、６着大敗を喫してしまった辻は、とにかく顔が強張っていた。敗れたレース後でも悔しさを紛らそうと笑顔を見せることもある辻なのに、さすがにこれは笑えない敗退だった。まくられた相手がはるかに後輩のＡ２級選手というのも、心の傷を深めたか。この鬱憤は復活戦で晴らすしかない。
勝ったのは桐本康臣。真っ先にまくられながら、冷静に差して先頭に躍り出た（２マークは萩原秀人が先マイしているので、決まり手は抜き）。桐本は今日連勝！ 同期の田村隆信らと笑い合う姿に、会心ぶりがあらわれていた。そう、桐本も銀河系軍団の一員。興津は残念だったが、銀河系勢は田村、森高、そして桐本と、セミファイナルへの勝ち上がりを揃って決めている。
●10Ｒ
黒井達矢が逃げ切り快勝。トーナメントではこれが２つめのインの勝ち星。とはいえ、松尾拓のまくり差しに迫られたとも見えただけに、決して楽な逃げ切りというわけではなかっただろう。レース後、対戦相手で、同期でもある野口勝弘と頭を下げ合う。「黒井くんに最近間違われる」野口とその黒井が向かい合ってペコリというシーンは、ちょっと面白かった（笑）。
２着は池田浩二。先行する松尾拓を捉えて捌き切ったあたりは、まさに格上のハンドルだった。勝ったわけではないので、決して会心の表情を見せたわけではないが、しかし外枠からの勝ち上がりに満足感はあるようで、その松尾とのレース後のやり取りには貫禄もうかがえるのだった。
阿波勝哉は残念ながら敗退。明日は復活戦に回る。その阿波には、菅章哉が歩み寄っていたのが印象的だ。チルトマックス道を歩む菅にとって、阿波は最大のリスペクトを抱く存在であろう。今節、このツーショットを目撃したのは初めてで、これはなかなか感激ものなのであった。
●11Ｒ
西山貴浩、劇勝！ ワースト級モーターを引いて泣いていたはずが、さすが地元水面、調整の方向性もよくわかっている。一気に上向かせて、レースでは前付け４コース。スタートもバチッと決めて、まくり差し一閃。山本寛久に並ばれたものの、２マークでは気合のツケマイ。これぞ地元の意地である。
ピットに戻ってくる前、デッドスローでリフトに向かって艇を流しながら、何度も何度もガッツポーズ。リフトでせり上がる間にも右の拳を何度も握る。操縦席で立ち上がっては、さらにガッツポーズ。池田浩二や大庭元明も拍手を送るのだった。
超ゴキゲンで対戦相手に挨拶に回ると、日高逸子からは「もぉぉぉぉっ！」と怒られた（笑）。それでもニッコニコの西山に、日高もまた笑顔を向けるのだった。その日高も３着でセミファイナル行き。前半の１着といい、本当に心の底からグレートマザー！
山本は２着で勝ち上がりだが、逆転され、また西山にこれだけはしゃがれては、苦笑いが多くなる。しかし、感触は悪くなかったのだろう、西山と顔を合わせたときにはお互い笑顔で労いの言葉をかけるのだった。
最後に枠番抽選！ 初っ端に引いたのが、11Ｒ＝トーナメント８で１着の西山貴浩。祈りを込めて、ガラポンを何回か逆に回した末に引いたのは……赤。
「ビミョーッ！」
いやいや、あなた、３コースまくり得意じゃないですか。それでも、やはり白が欲しかった西山は、ブーブー言いながら会場を出たのでありました。
それ以外は、どこか淡々と進んだ抽選会。森高一真が緑を引いたときは爆笑が起こっていて、これは彼のキャラによるものですかね。
あと、田村隆信が白を引いて、ヨシッと小さく一言。でも、あなたのレースの６号艇は同期のコワモテですけどね。銀河系軍団は同期でも、いや、同期相手ならなおさらビシビシと競りかけるので、厳しい前付けがあるかも!?
復活戦では辻栄蔵がトーナメントにつづいて白を引き、大喜びかと思いきや、苦笑い。トーナメントはまくられちゃったからなあ。というわけで、「またまくられるかも……」と苦笑いをさらに深めながら退場したのでありました。
結果的に決まった枠番は、別項をご覧ください！（ＰＨＯＴＯ／池上一摩 ＴＥＸＴ／黒須田）
