BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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賞典除外でもがんばる!4日目後半のピットから

 賞典除外になると、やはりモチベーションが下がるのが普通ではないか、と我々は想像するわけである。しかし、今節のレディースは一味違う! 前半3Rでは細川裕子がチルトを跳ねて、6コースから見事1着。昨日はまさかのフライングで、地元ビッグをフイにしたというのに、チルト1度を選択して、スタートもしっかり決めて、アタマをもぎ取ったのだから、これは絶賛されてしかるべきだろう。

 7Rでは、初日に妨害失格で賞典除外となった寺田千恵が4カドまくり1着! これが3勝目なのだから、裏MVPはテラッチで決まり!? 足の良さはもちろんあるが、だからこそむしろ己を奮い立たせて全力で戦う姿勢は、ここに来ている後輩たちだけでなく、テレビ等で注目しているであろう後輩たちも見習うべきだろう。レース後は、今節通じて行なっているゲージ擦りにすぐさま取り掛かっていた。仕事を投げ出すなんてことも、当たり前だが、しないのである。

 8Rでは、日高逸子が3着争いを競り勝った。グレートマザーもまた、昨日のフライングで気落ちなどすることなく、目の前の戦いに全力を尽くしている。なにしろ、競り勝った相手は勝負駆けの倉持莉々。相手が重要な一戦であろうと、だからこそ全力を尽くして戦い抜く。ボートレーサーとして、尊敬すべき姿勢と言うしかない。3着を獲って戻ってきたピットでも、淡々と振舞っていて、全力で戦って当然とばかりの風情であった。やっぱりこの人はスゴすぎるし、やはりすべての後輩がその背中を追いかけるべきである。

 勝負駆け。日高に競り負けてしまった倉持は、実質3着勝負だったわけで、これは痛恨。この時点では17位から18位に落ちただけで、準優圏内に踏みとどまってはいたのだが、それを把握していたかどうかは不明であり、ピットに戻った際に見せたやるせない表情は、勝負駆けに失敗したことを悔いるものなのだった。これはもう、相手が悪かったとしか言いようがないし、あるいは3番手争いに甘んじてしまったこともまた悔いを残すことにつながったか。ともかく、これが倉持を奮い立たせるものとなってほしい。なお、結果的に18位で予選突破です!

 9Rでは香川素子が痛恨。いったんは2番手争いに競り勝ち、準優行きに望みをつないだかと思われたが、2周1マークで先マイを狙う大瀧明日香をツケマイで沈めにいったものの不発。これで4番手まで下がってしまい、勝負駆け失敗と相成ってしまった。レース後、大瀧が声をかけながら頭を下げると、おどけたように顔をしかめてみせた香川。それは大瀧に気を遣わせまいとする振る舞いに見せたし、同時に戦略チョイスの失敗をおおいに嘆いているようにも見えたのだった。

 10R、大山千広が逃げ切って勝負駆け成功。この時点で12位まで順位を引き上げた。ケガによる長欠からの復帰戦で、見事に予選突破。レース後の大山は、どちらかといえば安堵の色が濃いように見えた。で、大山以上にはしゃいでいたのがテラッチ。大山の肩をつかんで、キャッキャキャッキャと跳ねていたのだ(笑)。予選突破おめでとう、なのか、コンマ01の冷や汗スタートをからかっていたのか、そのへんは判然とはしなかったが、大山はそんなテラッチにむしろ引き気味だったようにも見えたものだ。テラッチ、若いなあ。

 11Rは、田口節子が大敗は許されない状況で、しかし1号艇。そして逃げ切り。あとの5人中4人は無事故完走当確ということで、それほど悲喜こもごもが見えないレース後ではあった。最終コーナーで5番手にいた鎌倉涼が先行する高田ひかると小芦るり華を抜き去る逆転劇があって、その当事者である鎌倉と高田が笑い合うという場面はあったものの(お互いに結果が思いもよらぬものであったという風情で)、それ以外は静かなものだった。

 2着でトップ通過が決まった遠藤エミにしても同様。にこやかではあったものの、得点率トップという高揚感は特には見えていない。まあ、遠藤はもともとがそこまで感情をあらわにするタイプではないので、想定内の様子ではあった。

 もっとも、喜びや悔しさを分かち合って語り合う仲間も少ないのであった。今節は9R終了後に帰宿1便が出発。連日、ここでかなり多くの選手がピットを後にする。今日も同様で、エンジン吊りに参加するのは各選手1~2人という状況で、しかも田口には櫻本あゆみ1人だけ、遠藤にも山下友貴1人だけ、といったように支部や期も入り乱れたりしているので、わいわい盛り上がりようもないのである。実は10Rも同様であり、テラッチが大山にじゃれついていったのはむしろレアな場面なのであった。というわけで、勝負駆けは実に淡々と幕を閉じたのでした。(PHOTO/池上一摩 TEXT/黒須田)