初日7Rでの寺田千恵の転覆は肝を冷やすものだった。直線での転覆は、スピードが出ているだけにやはり怖い。容態は心配されたが、昨日の終盤には整備室から甲高い声が聞こえてきており、出走表にも名前が載った。そして1Rに元気いっぱいに登場。よかった! まあ、結果は残念無念だったわけだが、まずはレースを走れたことに安堵である。
レース後は、夫の立間充宏とともに、ひっくり返されたボートのフィンのあたりを気にしていた。フィンというのは三角形をしていて、これがないとボートは果てしなく外に流れてしまう。つまり傷ついていたりすると操縦性に難が出るものだ。昨日の転覆でちょっとおかしくなった?
ただ、2R発売中には4Rのスタート特訓があって、立間はそれに参加しなければならないため、離脱。ごめーんとばかりに手をあげてその場を離れると、テラッチも頑張ってーとばかりに手をあげ返した。4R立間は1号艇。進入から激しくなりそうだから、特訓には参加しておきたいところだもんなー。というわけで、替わってテラッチに寄り添ったのは辻栄蔵。中国地区同士ということもあるが、立間とは同期生だ。ダンナの同期とあらば心強い。というわけで、実はテラッチと74期生の絡みって、マスターズのピットではまあまあよく見かけるものだったりします。
それにしても、やっぱり前付けがあるレースの進入って、選手もけっこう注目してしまうもので、1Rのエンジン吊りに向かっている選手たちも2Rスタート展示が気になったのだろう、水面を見ている者が少なくなかった。西島義則が4号艇ですからねえ。松井繁も6号艇だし。
2R本番も同様だった。ファンファーレが鳴った頃、1R1回乗りのレースを終えて、試運転の準備をしていた大澤普司が、その手を休めて、水面近くに向かったのだ。ちょうどリフト前を通りかかった黒崎竜也も足を止めて、水面を見やる。その水面では、スタート展示では3コースまでだった西島義則がバナレを活かしてずずいっと動き、展示で2コース主張の吉川昭男を出し抜いて2コースを奪っていた。それを確認して、大澤は自艇のもとに戻り、黒崎は歩を進めだした。やっぱり気になるのはそこですよね。
吉川としては悔しいコース獲りになってしまったわけだが、これが結果オーライ。4カドから伸びてまくった伊藤誠二が内を交わしている間にターンマークをくるり小回りしたら、なんと先頭に立っていたのだ。というわけで、ピットに戻ってきた吉川はまず苦笑い。まくった伊藤と顔を合わせると、笑顔を爆発させながら、お互いの走りを確認し合っていた。こういうこともあるから、ボートレースは楽しいですね。
ちなみに、3Rスタート展示もみな注目してました。今村暢孝が4号艇だから。もちろん前付け派みなが想定しているだろうが、2号艇が服部幸男だけに抵抗するか否かが気になるところではあった。今村は構わず服部と3号艇・中澤和志を超えていって2コースへ。それを確認した選手たちは、エンジン吊りに粛々と向かったのでありました。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)