BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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ファイナル 私的回顧

江戸川番長vs副番長

12Rファイナル
①平尾崇典(岡山) 16
②中澤和志(埼玉)    14
③石渡鉄兵(東京)    16
④田村隆信(徳島)    17
⑤上野真之介(佐賀)18
⑥赤岩善生(愛知)    17

 平尾が逃げた。
 スリットは↑御覧のとおり、美しいまでの横一線。わずかに舳先を覗かせた中澤が意表のジカまくりを打ったが、強めに握って迎撃ブロック(不良航法ではあった)。あとは他を寄せつけずに独走状態に持ち込んだ。

 勝因をいくつか挙げると、まずは枠番。昨日のあみだ抽選でしっかりガッチリ勝ち取った絶好枠を、まんま120%生かしきった。もっと言うなら、セミファイナルで恵まれ1着→あみだ抽選に持ち込んだ強運もでかい。昨日も書いたが、この大会は「もっとも運の強い選手が勝つ」と言われており、今節の平尾はその重要なファクターを鷲掴みにしたわけだ。

 もうひとつの大きな勝因は「江戸川巧者」。なぜか岡山支部には江戸川をドル箱としている選手が多いのだが、平尾はその筆頭格だ。1997年からの優勝回数は地元・児島が23V、続いて若松の7V、3番目がこの江戸川で今日も含めて6Vに達した。
 全国屈指の難水面、しかも岡山から遠く離れた当地でのこの数字は驚異と表現してもいいだろう。去年の6月には『江戸川大好き選手集結!5代目江戸川番長決定戦』でも準Vを飾っているし(笑)。

「江戸川、大好きです!」
 表彰式での晴れやかな表情が、まんま相性の良さを醸し出していた。SG覇者の実力、1号艇まで辿り着いた強運、江戸川との抜群の相性。これらが三位一体となって織りなした優勝とお伝えしておこう。おめでとう!

 敗者についても書く。もちろん、地元の絶対エース鉄兵。今日は3コースから握ろうとした瞬間に、内の中澤が先制攻撃。完全に呼吸が合う形で金縛り状態となり、なす術なく敗れた。展開的に不運な1マークだったし、消化不良の苦みがほとばしるラストランになってしまった。地元ファンの前で実力を出し切れなかった口惜しさがどれほどのものだったか……。

 それでも、大敗もありえる展開から鬼気迫る追撃で舟券に絡んだ「Mr.江戸川」には、惜しみない拍手を送りたい。今日のみならず、初日の6号艇からやはりド迫力の追い上げで最低ノルマの3着~2日目の目の覚めるようなまくり差しで必要十分条件の1着……3日間を通じて「江戸川鉄兵」と呼ぶに相応しい走りっぷりだった。

 そうだ、本人にとっては不本意極まりない3着だったと思うが、この着順も踏まえて鉄兵の当地直近7節を列挙しておこう。
★2022年10月=12132131③
★2023年1月=21121①
★2023年1月=2631212②
★2023年2月=123221①(GI関東地区選)
★2023年6月=52121①(6代目番長就任)
★2023年8月=1411212②
★2023年10月=311③(今日)
 着順をまとめるのが難しい江戸川で風ニモ負ケズ波ニモ負ケズ、なんとなんと7連続優出中! のみならず、7連続舟券に絡み中!! なんちゅう成績!!!

「今節の全選手の中で、僕がいちばん感謝を伝えたいと思っています。断固たる決意でがんばります」
 開会式で鉄兵は真剣な顔でこう言ったが、この成績を見れば一目瞭然。今節のみならず、いついかなるシリーズであっても石渡鉄兵は地元ファンへの感謝の思いを水面に投影しているのだ。そして、その思いは余すところなく地元ファンの心にも通じていることだろう。江戸川番長のこの優出&舟券絡み街道がどこまで続くか、興味のある方は追っかけてみてくださいまし。もちろん、江戸川番長絡みの舟券とともに。(photos/チャーリー池上、text/畠山)