BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――静かなグランプリ……

 1Rが終了した頃、中島孝平のモーターが石野貴之や上條暢嵩らによって片づけ始められた。他の選手が触っているということは明らかに返納。ほどなくして、中島の欠場がピット内に伝わった。
 なんという不運。発熱ということで中島の姿はピットにはなかったが、1st1位で2ndに進出しながら、初戦転覆、ついには欠場。実にツイていないとしか言いようがない。一昨年はシリーズ選出1位だったことで、1stに欠場が出て1走だけトライアルを走ってまたシリーズに舞い戻るというある種の屈辱を味わった。どうにもグランプリには良い思い出がない昨今である。月並みではあるが、次こそはスッキリと戦い抜くためにも、来年もこの舞台に帰ってきてもらいたい。

 2nd2戦目となって、整備ラッシュは完全に落ち着いている。整備室に姿があったのは池田浩二のみで、調整の主体は全体的にプロペラに移行しているようだ。

 といっても、茅原悠紀はゲージ擦りを行なっており、つまりは余裕があるということだ。昨日のレースを見れば機力はかなりのレベルにありそうで、急ぎ調整に取り組む必要はないということか。

 同じくゲージ擦りは峰竜太。チャレンジカップでもこの作業をする時間が長かったが、今日も同様の様子である。作業をしながら茅原と談笑する瞬間もあり、初戦1着組はメンタル的にも上々の気配、ということになる。

 プロペラ調整室にはここまで名前をあげた以外と、1R発売中に試運転を行なった石野貴之以外の2nd組がずらり。初戦妨害失格でファイナル行きは絶望的な(賞典除外ではない)馬場貴也も、黙々とプロペラを叩いていた。もちろん、残りのレースにも気を抜くつもりはいっさいない。

 初戦で大きな着を獲ってしまった濱野谷憲吾、片岡雅裕も懸命にペラ調整。この2戦で巻き返しておかなければ優出が覚束なくなるだけに、1日早い勝負駆けという様相である。片岡とは少しだけ言葉を交わすことができたが、気負いのようなものは感じられない。粛々とパワーアップをはかるのみ、という雰囲気だ。
 と、書いてきたとおり、トライアル2戦目にして、あるいは開催4日目にして、大きな動きがあまり見られない、前半のピットである。実に落ち着いた空気になっているわけだが、これは嵐の前の静けさ、というやつか……?

 シリーズ。1Rで土屋智則が6コースから激勝! ワンツーとなった後輩の椎名豊、同期の西山貴浩とともに大笑いする場面があった。土屋が心から笑っているところを今節初めて見たぞ! 土屋は7Rで準優勝負駆け。中島のかわりに繰り上がるのは「1st得点上位者で、シリーズ準優確定選手以外」ということで、羽野毒島深谷菊地が無事故完走当確の現状、もし勝負駆け失敗なら2ndに繰り上がりになるかも。土屋は明日、いったいどちらを走ることになる?(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)