11Ｒ。平山智加が２コースからツケマイを放とうとしたものの、イン高田ひかるに押し返されて、その間隙を浜田亜理沙がズバリ。絶好の展開をモノにして、浜田が２着１着と好成績で３戦目に向かうこととなった。
出迎えたのは、角ひとみと岩崎芳美。浜田は元広島支部で、岩崎は角や同期の海野ゆかりと仲良し。会見で浜田が話したことによれば、この２人にプロペラのアドバイスをもらって、それがハマったのだという。「岩崎さんと角さんのおかげ」と口にもしており、この両先輩の後押しがこの成績につながっているということだろう。浜田は微笑を浮かべる程度だったが、角と岩崎は本当に嬉しそう。アドバイスが奏功したというより、自分に頼ってくれた後輩の活躍が我がことのように嬉しいということだろう。
高田は２着とはなったものの、明らかにスリットから１マークまでで平山より分が悪く、そこがおおいに悩みの種になっているようだった。何しろ、スリットから１マークまで伸びるのが高田の持ち味。自分が伸びられるというのは屈辱でもあるし、なにより自分のレーススタイルを繰り出せないのである。枠番抽選では３号艇を引き、３カドも十分。明日はどんな仕上げに持ち込むのかが楽しみだ。
最も暗い表情だったのは守屋美穂だ。１マークでは引き波に足をとられて失速し、道中の３番手争いにも競り負けた。５着という結果もそうだが、レースぶりに納得がいっていないのは明らかだ。何より、枠番抽選で１号艇を引いたというのにクスリともしていなかったのである。それで気が晴れるような、そんなレースではなかったということだ。明日は調整に明け暮れることにもなりそうで、張り詰めた一日を送ることになるだろう。
なお、守屋の失速に反応し、ハンドルを切り返して接触を回避した三浦永理には敢闘賞が贈られるようだ。ターンマーク際を差そうとしたところが詰まり、そのままレバーを握っていたら接触は免れえなかった。それで６着は不運と言うしかないが、しかし事故回避はその姿勢として称えられるべきである。得点的には厳しくなってしまったが、明日はぜひいい結果でエリースマイルを見せてください！
12Ｒ。川野芽唯が逃げ切って笑顔！ 渡邉優美が２コースから差して迫ったが、舳先を入れさせずに２マーク先マイ。昨日はやや劣勢の足色にも見えていたが、上積みがあったのは間違いなさそうだ。ピットに戻り、対岸のビジョンを淡々と見つめながら、自分の足色を確認。その後は静かな表情で控室へと戻っている。枠番抽選で５号艇を引いて苦笑いを浮かべていたが、この勝利でいいメンタルをもって最終戦に迎えそうだ。
寺田千恵が２着で、昨日の６着からの巻き返しに成功した。やはり対岸のビジョンを見ながら、差しが届かなかった１マークでは地団駄。２マークで逆転して２番手に浮上したわけだが、そのシーンは淡々と見つめていた。岩崎芳美に声をかけられて、アハハと笑ってみせたが、すぐさま顔つきは真剣モードに。得点的に予断を許さない状況だし、２マークは展開がもつれていたから、心から笑うことはできないということか。
それにしても、３連覇は遠のいてしまったのは残念。田口節子は６コースから最内を突いて、２マークで小回りをはかったが、これが渡邉優美に接触。不良航法で減点をとられてしまい、大きく後退することになってしまった（トライアルの不良航法は減点７）。何が起こるかわからないとはいうものの、よほどのことがなければ厳しい状況。しかも枠番抽選では６号艇を引いてしまったわけだから、うーむ……。
レース後、田口は渡邉には頭を下げている。渡邉は首を振って、気にしていない旨を伝えている。禍根は残っていないが、無念さは残る。渡邉は21点をボーダーと想定すれば２着以上が欲しいという条件になった。明日はかなりヒリヒリした雰囲気で過ごすことになるのかもしれない。
シリーズ。勝負駆けでは、８Ｒ３着条件だった西岡成美が、その必要着順の３着ゲット。道中は平高奈菜に先行された瞬間もあったが、その平高が旋回でキャビったところを見逃さずに逆転している。ピットでは得点状況を報道陣に聞かされている姿があって、その時点でどうやら準優当確となりそうということで、嬉しそうな微笑が浮かんでいる。
その前の７Ｒで６着大敗した樋口由加里が、８Ｒの結果を受けて18位に。冷や汗をかきながらその後を待つ状況であったわけだが、そんなことより大敗自体がとにかく悔しく、樋口はペラ調整と試運転に没頭。準優に乗ろうが乗るまいが、明日は同じ失敗を避けんと全力を尽くしている。仮に一般戦に回ろうと、力を抜くことはありえないのだ。その姿勢が天に通じたか、結果的に18位で予選突破！
10Ｒ、松本晶恵が３着条件で出走。３番手争いに競り勝って、セーフ！ 出迎えた櫻本あゆみと、顔を近寄せてひそひそ話でもするかのように、にこやかな話し合っていた松本。勝負駆け成功を喜び合う様子と見えたのだった。
トップ争いは、７Ｒで西橋奈未が２着となり、10Ｒ細川裕子が勝てばトップ通過という状況。しかも細川は１号艇。必勝の構えだったわけだが、うーん、残念。中村かなえに差されてしまった。トップを逃したこと、またイン戦を取りこぼしたこと、その両方が相まって、無念の表情を見せた細川。長嶋万記とレースを振り返り合い、差された場面を小さな手振りを交えて話しつつ、ぎゅっと目をつぶって悔しさを表現。１号艇だったことがかえって、残念な思いを強めていたかもしれない。
トップは西橋奈未。10Ｒには近畿勢が不在だったのでエンジン吊りには参加しなかったが、その間にモーター架台を準備するなど新兵仕事。粛々と作業をこなしていたが、１位となったことを把握していたのかどうか、とにかく表情は明るかった。あとは２度逃げるのみ！（ＰＨＯＴＯ／中尾茂幸 池上一摩 ＴＥＸＴ／黒須田）
