BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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まさか遠藤エミが……の準優ピットから

●10R

 渡邉優美が2着を約3秒もちぎる圧勝劇。竹井奈美のツケマイをがっちり受け止めての勝利は、完勝と言うこともできる。レース後の渡邉は素直に喜びをあらわにする笑顔。序盤は大敗が続き、暗雲たちこめるところから4連勝で優勝戦へ。足的にも日に日に仕上がって来ていたようだし、好感触なのは間違いなさそうだ。

 チルトを1・5度に跳ねて勝負した上田紗奈は6着。展示タイムが図抜けていたが、スタート6番手では出番がなかった。いや、コンマ17は悪いタイミングではないのだが、他がコンマ10前後をきっちり決めている。大舞台での準優でのこのレベルの勝負強さを実感したことだろう。その上田にレース後寄り添ったのが高田ひかる。チルトを跳ねたことに関しても、また伸びで勝負することに関しても、何らかのアドバイスがあったのかも!? 高田は上田にやさしく言葉をかけ続け、上田は真摯な表情で聞き入った。最後は激励だったのか労いだったのか、高田の言葉に上田がニッコリ笑った。この準優は間違いなく、上田にとってキャリアのなかでもかなり大きな経験となっただろう。

 さて、ここで宣伝です。本日のYouTube「週刊BOATBoy」のインタビューに登場は、ファン投票1位の守屋美穂です! 竹井奈美、浜田亜理沙らとの2番手争いを制して優出。竹井にかなり迫られた(コーナーによっては先マイを許した)が、さすがの捌きで2番手確保である。レース後は安堵の表情が印象的で、どうやら優出をノルマと決めていたようだ。今日は選手総出のボート戦場デーで、レース後にはその作業が行なわれているが、守屋はボートを磨きながら、ここで笑顔が浮かんだ。岡山勢に言葉をかけられて、気持ちがようやく和んだといった感じだった。おそらく、ファン投票1位という立場としても、また女子全体のなかでの立ち位置としても、この準優はかなり張り詰めて戦っていたということだろう。というわけで、明日の優勝戦に対する思いはぜひYouTubeをご覧ください!

●11R

 1号艇の海野ゆかりが敗れた。風の分を計算に入れていなかったことによるターンミスのようだが、小野生奈、宇野弥生にズブズブと差されて大ピンチ。2マークで小野が西村美智子とやや接触した分、2番手には浮上できたが、あわや優出漏れ寸前の危うい勝ち上がりであった。
 ピットに戻ると、出迎えた岩崎芳美に少しおどけて見せて、岩崎のボディブローを浴びたりもしていたが(笑)、その直後にスーッと顔色は変わった。当然、逃げ切りを視野に入れていたはずだから、ひたすら悔しい2着だったことだろう。優出はできても、敗れた悔恨のほうが先に立っている、そんな雰囲気だった。

 いったんは2番手が見えていた、あるいは1着すらありえた小野にとっては、これまた大きな悔恨が残る一戦。ボート洗浄の際にはやや呆然とした様子も見え、10Rで優出を逃していた竹井奈美に声を掛けられると、顔をしかめて内心をあらわにしていた。ビッグ復帰戦で最低でも優出と誓っての参戦だっただけに、それを逃した痛恨にまみれた小野。2カ月半後にあるこの大会で、リベンジを果たしたい。

 勝ったのは宇野弥生! 小野の攻めに乗って最内を差して、ぐいぐいと伸びて先頭に立った。これはもう会心の笑顔です! 選手仲間の祝福に対しても、また関係者に声をかけられても、爽快な弥生スマイルを振りまいていたのであった。これで2年連続の優出だ!

●12R

 遠藤エミが三浦永理のまくりに屈したとき、ピットの空気はどこか呆気にとられたような感じになっていた。地元の準優1号艇、予選トップだった女子全体のエースが、まさか敗れるとは。誰もがそんな思いを共有しているかのようだった。
 遠藤のレース後の様子はといえば、悔恨よりも落胆といった雰囲気。もともと感情をあらわにすることは少ないタイプで、見た目には粛々とも捉えられるのだが、しかし明らかに表情から力強さが失われている。落胆にぐっと耐える、そんな様子に見えたのは間違いない。

 実力を考えればこれくらいの仕事をこなして当然ともいえる三浦永理は、こちらは逆に淡々とした様子なのだった。優出記者会見でも気負ったようなところはまるで見せず、実に恬淡としていた。ピットに戻って宇野とグータッチをしていたのだが、「(同じ4号艇で勝利し)4の運をくれたから、ありがとうって」。1期違いで地区が同じ、いわば盟友的な存在でもある宇野が同じ色のカポックで勝ったことが、レース直前の三浦の意を強くしたということだろう。

 で、この結果を受けて、優勝戦1号艇は渡邉優美の手に! 小野生奈にめちゃくちゃからかわれていて(笑)、照れ笑いを浮かべていた渡邉だが、この大チャンスを前に明日、どんな様子なのか非常に楽しみだ。ビッグの優勝戦1号艇はもちろん初めて。今朝は実にリラックスした様子でいたが、明日は果たして……。(PHOTO/池上一摩 TEXT/黒須田)