高かったハードル
８Ｒ
①薮内瑞希（岡山） 11
②中村かなえ（東京）07
③魚谷香織（福岡） 14
④宇野弥生（愛知） 17
⑤松本晶恵（群馬） 19
⑥勝浦真帆（岡山） 22
デビュー８年、優勝経験はおろか準優１号艇もない薮内が、スリットで若さを露呈した。字面としては上々のコンマ11だが、スタート手前で何度か上体を持ち上げてアジャスト。気持ちが逸りすぎての早起こしで、質のいいスタートにはほど遠かった。
逆に、フルッ被りでコンマゼロ台まで踏み込んだ中村が一気に薮内を突き離す。１マークのはるか手前で１艇身近いアドバンテージだ。血の気の多い中村だけに伸びなり締めまくるかと見たが、リスキーな強襲は自重。しばらく直進してからツケマイ気味に襲い掛かったが、伸び返した薮内をまくりきれずに横流れ。
薮内にとって九死に一生の１マークではあったが、中村の引き波でやや艇が暴れたところを３コース魚谷に足元をすくわれた。この旋回に関しては言うべきことはない。ただ、この不利な展開を招いたスタートは、やはり大きな反省材料だろう。
「うわ、空いてる、やったーー!!」
レース後の魚谷はこんな風に１マークを表現したが、単なる展開の利だけではないパワーを感じさせた。３３３３３着ときて、昨日になって足色が一変しての２連勝。時系列で書いているだめ明日の枠番はまだ分からないが、リズム＆パワーともに優勝戦の好枠に恥じない人機に仕上がった。
インから残した薮内が必死に２番手を維持していたが、２周１マークで２艇身後ろの中村が大外から大外へのウルトラ全速ターーーーン!! そのでっかい放物線は薮内、松本、宇野の３人を一気に包み込み、あっという間に２番手を取りきっていた。伸び盛りとわかっちゃいるが、今節の中村は私を驚かす旋回を何度見せたことだろう。
薮内には残酷なレースだったが、魚谷と中村。活きのいい美女が優勝戦に駒を進めた。
また今日も……
９Ｒ
①細川裕子（愛知） 17
②海野ゆかり（広島）16
③藤原菜希（東京） 15
④櫻本あゆみ（群馬）19
⑤池田浩美（静岡） 16
⑥西岡成美（徳島） 14
今日も１号艇で勝てなかった。昨日は２コースの中村に差され、今日は５コースの池田に差された。うーーーん。細川が１号艇で負けるときはスタート負けが多いのだが、今日はきれいな横一線。
これなら大丈夫そうだな。海野さんの差しさえ防ぎきれば楽勝だろ。
と見ていたらば、海野の選択はジカまくり。このあたり、なぜ行き足が強いはずの細川が握って攻められるか、不思議な光景ではあった。で、その一の矢をギリギリ凌ぎ切った細川に、襲い掛かった二の矢が浩美さんだった。
嗚呼。
私は絶句する。前検から強烈な行き足に惚れ込み、早々に節イチパワーに指名した浩美11号機が、細川の内フトコロに潜り込む。その行き足はやはりゴキゲンで、細川をもってしても振りほどけるムードではなかった。案の定、浩美が２マークを先制したらば独走状態に。今日の11号機の出足～行き足は、前検で見たそれと同じ足色だった。
嗚呼。
２・３号艇でまくり勝った浩美はアタマ勝負でヒモが抜け、５号艇の今日はヒモ付けしたらばアタマ突き抜け……レース中の私はため息ばかりだった（なぜか私的回顧に）。明日の浩美は３号艇。さて、どうしたものか。
ほぼ、完ぺきな逃走
10Ｒ
①西橋奈未（福井） 07
②岩崎芳美（徳島） 07
③堀之内紀代子（岡山）09
④金田幸子（岡山） 16
⑤山下友貴（静岡） 15
⑥樋口由加里（岡山） 11
インが負け続けた準優で、最後に西橋がインから人気に応えた。とは言え、レース自体は盤石のイン逃げにはほど遠い。助走距離はだっぷり、スタートも絶品、外からは何にもこない隊形なのに、ターンマークを思いっきり外した。
「あわわわわって感じで……堀之内さんを意識しすぎたのかなぁ、外を意識しすぎて漏らした感じですかねぇ」
レース後に苦笑したが、世が世なら致命傷のターン漏れだったはずだ。ただ、そんなダメダメターンでも舟の返り～出口での押し足～スリット裏での行き足は半端なく、このあたりは明日のリハーサルとして完璧すぎる舟足だった。
つまり、明日も同じだけスタートを行って、今度は外を意識しすぎず自分の納得のゆくターンをすれば、ほとんど無敵の現状ということになる。ひとつだけエクスキューズを付けるなら、“明日も外を意識しないターンができれば”だが（笑）。
２着の岩崎は初日から実に安定感抜群のレース足。今日もその出足系統をしっかり生かして、危なげなく最低ノルマの着順を取りきった。なんというか、工務店の社長にふさわしい貫禄のあるレース足とお伝えしておこう（笑）。
（photos/シギ―中尾、text/畠山）
