BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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準優ダイジェスト

鬼レベの行き足

11Rルーキーズ
①濱野斗馬(香川)07
②為本智也(福井)09
③小林孝彰(福井)11
④若林樹蘭(東京)12
⑤島川海輝(山口)09
⑥垂水 悠(徳島)07

 日に日にパワーアップしている白組のエース斗馬がガッチリ逃げきった。私が伸び足に期待したチルト3度の垂水は、今朝の足色が抜群だった島川に艇を合わされ万事休す。その間に斗馬が逃げて、2コース為本が差しての一騎討ち隊形が出来上がる。
 為本の舳先が刺さった??
 という見え方でもあったが、出口を過ぎてからの斗馬14号機の行き足がまた半端ない。入ったはずの為本の舳先をチューブから絞り出すように、きゅぅっと艇尾から払い落とした。7Rもそうだったが、今日の斗馬14号機の行き足は鬼レベル。明日も同じだけの仕上がりなら、まずはパワー負けが考えられないトップ級の出足~行き足と言いきっていいだろう。

 斗馬をギリギリ追い詰めた為本の足も相当レベルとして、惜しかったのは5コース島川だ。団体戦TOPICSでも書いたが、2Rの島川39号機の気配の良さにビックリ仰天。なんだなんだと島川のコメントを紐解いてみたらば、「ペラとギヤ調整でターン回り、出足を中心に良い足になった、スタートも行きやすい足」と昨日あたりから底上げに成功していたのですな。
 実際、このレースの島川はゼロ台まで踏み込み、伸びる垂水を真っ向から受け止め、返す刀でバック3番手あたりまで進出。おそらくこの勢いで優勝戦ノルマの3着を取りきれる、と思った1周2マークでバランスを崩して横転した(選手責任&不良航法で賞典除外)。先行する同期・斗馬の背中を見ながら、ハンドルに力が入りすぎたのか知れない。同期のライバルと同じく、優勝戦でも実に楽しみな気配だっただけに、残念でならない。

 島川転覆を受けて、3番手を取りきったのは前半戦で転覆した小林。事故後に電気一式とピストン2個を交換しているが、大なり小なり良からぬ影響があったのではないか。スタート展示から両サイドにちょっと包まれる見え方だったし、展示タイムも昨日までとは雲泥の7秒台に甘んじた。優勝戦まで24時間の猶予があり、どこまであの軽快だった出足・行き足を取り戻せるか、出来る限りしっかり見守りたい。

美魔女の鬼退治

12Rレディース
①岩崎芳美(徳島)    06
②海野ゆかり(広島)06
③喜多須杏奈(徳島)06
④西橋奈未(福井)    20
⑤細川裕子(愛知)    25
⑥西岡成美(徳島)    21

 地元が3人残ったセミファイナルで、最年長の紅組団長がガッチリ逃げきった。最近のイン戦でやや取りこぼしも目立つのだが、出足系統がバチッと仕上がった時の芳美さんはやはり強い。明日は2コースあたりから、自慢のこの出足を生かして鬼退治に赴くことになる。6艇が横一線になると鬼はさらに狂暴化するので、団長としては外の仲間たち(敵でもいいのだがw)の援護射撃をもらいたい2号艇ではある。

 2着は5コース細川。やや凹んだ不利なスタートから、4カド西橋をツケマイ気味に叩き潰して強烈なまくり差しのパンチを入れた。惜しくも岩崎までは届かなかったが、選手の力量を余すところなく感じさせる天晴れな自力のまくり差し。
 細川の悶絶ターンを実現させた機力が悪いわけもなく、今日の相棒20号機の仕上がりはしっかりゾーンを捕えていたはずだ。初日から実戦足が猛烈に良かったり、ちょこっと良い程度だったり、やや日替わり弁当的な20号機を明日もMAXまで仕上げきってもらいたい。それが実現すれば、白い鬼と真っ向勝負できる唯一のリーサルウェポン、と私は勝手に思っている。

 岩崎~細川までセイフティな展開だった半面、肝煎りの3着争いは海野vs西橋のデッドヒートに。どちらかと言えば、細川に叩かれながらゾンビのようにファイナルZONEに舞い戻った西橋に驚かされたが、海野68号機の迎撃パワーも半端ない。今節の68号は自力で突き抜けるパンチ力はないけれど、こうしたスピード豊かな相手を封じ込むだけの安定感抜群のレース足を随所に見せてくれた。明日も5号艇から深い引き波を切り裂いて、舟券ゾーンに突入するシーンも想定しておきたい。

 さてさて、予選~準優が終わってみれば、紅組のファイナリストは百戦錬磨のベテラン3騎で占められた。3人合算で143歳の“年の功”が、まだ優勝もしていない24歳の若い鬼をどこまで苦しめられるか。団体戦の行方とともに、両軍の戦いぶりに刮目したい。(photos/チャーリー池上、text/畠山)