BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――足合わせラッシュ

 初日の朝とあって、足合わせが花盛り状態。尼崎のピットはそれほど広くなく、係留所や水面が近いので、水面に出ていく選手や、足合わせを切り上げて会話を交わしている選手が視界に入ってきやすい。1R発売中、ボートを水面に下ろすや試運転に飛び出た峰竜太は、2周目には島村隆幸と足合わせを敢行。内外入れ替わって2周すると係留所にボートをつけ、別の係留所に収まった島村のもとに駆けていった。

 そのとき、峰は左手を下に向けて軽く前に出し、右手も下に向けて勢いよく前へズドーン。おそらくは手をボートに見立てたアクションで、右手側が左手側より伸びていた、ということをあらわしているものと思われた。ただし、さすがに右手が峰なのか島村なのかは不明。峰が島村に伸びられたのか、峰が島村に伸び勝ったのかはわからないのであります。というわけで、4R4号艇の島村、6R3号艇の峰の足には注目しよう(と書いているのは4R発売中です→→島村より5コースの桑原悠のほうが少し出ていく感じ……)。

 で、島村と足合わせをしていたもう一人が毒島誠。峰と島村の会話に加わった毒島は、その後には峰とサシで言葉を交わしていた。そして、ボートを陸に上げてモーターを外し、整備室へ。二人より弱めだった!? どんな整備をしてくるのかは、直前情報をご確認いただきたい。

 辻栄蔵は中島孝平と足合わせ。揃ってボートを係留所につけると、かなり長いこと言葉を交わす二人なのだった。中島はそのままプロペラ調整へと向かったが、辻は整備室前にいた赤岩善生と会話を始めている。赤岩のほうはわりと柔らかな表情だったが、辻のほうは時に首を傾げるなど、何かを悩んでいる様子。赤岩といえば整備巧者だから、何かを相談したのか? 辻は6R登場、さすがに整備を始める様子はなかったが、今日はその1走だから、レース後には何らかの動きがあるのかもしれない。

 上條暢嵩も1R発売中には試運転、足合わせを行なっていたが、2R発売中にはボートを陸に上げている。そして上條が声を掛けたのは、まだモーターを装着していなかった桐生順平。上條は微笑を浮かべながら桐生と言葉を交わし、時折うなずいたりしながら、桐生の言葉に耳を傾けていた。その後、上條が会話を始めたのは菊地孝平。やはり上條は穏やかな表情だったが、菊地はかなり真剣な顔で上條に言葉を投げかけていた。桐生も菊地も支部、期がまるで違うが、上條は臆することなく声を掛け、アドバイスらしきものを受け取った。上條がいかにSGに溶け込んでいるか、ということを示すシーンだったように思う。

 レースを足合わせと言っては語弊があるが、実際のところレースで競りになれば相手との足の差がよくわかるわけではありまして。1R5着だった山崎郡が、エンジン吊りでモーターを外し、速攻で整備室に向かっている。山崎は昨日も本体整備をする姿があったが、1走してみてさらに整備の必要性を感じたということであろう。今日は1回乗りだから、整備に時間を費やし、さらに試運転を行なうことにもなるのだろう。忙しい初日になるのかもしれない。

 さて、好モーターを手にした西山貴浩は2R、3コースからまくり差して2着。アタマでもおかしくない展開だったが、2コースから差した寺田祥も好気配で、競り負けた格好だ。レース後、寺田とは笑顔でレースを振り返った西山。ところが、寺田と別れるや一瞬で顔は歪み、悔しそうに歯を食いしばるような表情となったのだった。先輩との感想戦は礼儀としても穏やかに振る舞っても、内心は悔しさばかりが渦巻いていたというわけだ。今日はこの1回乗り。午後はさらに足を煮詰めていくことになるだろう。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)