ピット内の寒暖計によれば、昨日一昨日は1005hPaあたりで安定していたものが、今日は1000hPaと下降気味となっていた。いよいよ台風の影響が丸亀水面にも及んでくるのか。そう懸念していたら、2R締切の前後にアナウンスが流れた。
「5R展示航走から安定板を装着」
その時点で水面はそこまで波立ってはいなかったが、5Rあたりから荒れ気味になると予想されたのだろう。5R以降に出走する面々は次々と整備室へ。安定板を選んで装着作業を始めていた。
見ていると、さらっと安定板を1枚取って自艇へと向かう選手もいれば、入念にチェックしている選手がいたり、また数枚を見比べて選んでいる選手もいる。過去に安定板装着のレースで接触などがあれば曲がっている可能性もあるし、そうでなくとも歪みが生じている場合もあるし、あるいはそういうのをまったく気にしない選手もいるだろうし、そのあたりは人それぞれの感覚があるのだろう。写真では井口佳典が安定板に視線を向けているが、井口は割と気にするタイプかも。そして、その背後に写る磯部誠は、この後わざわざ整備室に戻り、別の安定板を選び直していた。こだわりがあるんでしょうね。
深谷知博はまさに5Rに出走。すでにボートは係留所にあったので、安定板を選ぶと係留所への渡り橋を降りていった。係留所で装着するのだろう。おそらくそれまでに試運転で感触を確認していたはずだが、板装着でそのあたりに変化があるかも!? 調整をするにも時間があまり残されていないから、忙しい時間を送ることになるのだろう。
というわけで、4Rに出走する田村隆信は、板装着の必要がないのでそのままペラ調整所(屋外)にとどまって、ペラと向き合い続けているのだった。ただし、11Rにも出走するので、4Rを走った後に装着することになる。そうしたらまた、調整に忙しい夕刻以降、ということになるのであろう。
さて、オープニング1Rは西橋奈未が3コースまくり差しで突き抜けた。展開が向いた部分はあったものの、その展開を突いたのは西橋自身。他選手に声を掛けられると、柔らかい笑みを見せていた。
もちろん、展開を作った赤岩善生には最敬礼の西橋である。2コースからまくった赤岩に乗ってのまくり差しだったのだ。カポック脱ぎ場で赤岩と西橋は笑顔で会話を交わしていた。赤岩としては悔しい部分もあっただろうが、これもまたボートレースだ。
ある意味、この展開を作ったもう一人が柳生泰二。インからスタートで後手を踏んでしまったのだ。ここまでゴンロクを並べて、ここは立ち遅れての5着。ピットに上がってきた柳生は憮然とした表情で、足的にもレース的にも不満が残る一戦だったことをあらわにしていた。その後、すぐに着替えを終えてピットにあらわれているが、そのときもまだ不機嫌そうな表情は変わらず。辛い胸の内はなかなか晴れないようだった。
2R後に同じような表情を見せていたのは、白井英治だ。引退した新良一規に健闘を誓ったはずの山口支部が苦戦続き。白井はシンガリ負けを喫してしまい、準優進出がピンチの状況に立たされてしまった。操縦席に入ってしまった水を柳生がクリーナーで吸い取る間、白井はカウリングに両肘をついて呆然。足的な改善が見られなかったようで、寺田祥にその旨をこぼしたりもしていた。後半9Rに向けて、なんとかあがいてほしいところだが……。(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)