前付けとカドまくり
11R 並び順
①渡邉優美(福岡)21
⑥平高奈菜(香川)22
②藤原菜希(東京)20
③細川裕子(愛知)14
④宇野弥生(愛知)10
⑤三浦永理(静岡)12
GPもQCも、やっぱトライアルは一筋縄では終わらない。仕掛け人は平高。いつもは前付けとは縁がない女傑が、大外枠を嫌ってゴリゴリ動いた。スタート特訓からスローを決め込んでいたから、他の5選手も織り込み済み。ピットアウトから相応の駆け引きがあったが、最終的に渡邉以外は平高を容認する方向に進み、16・2/345の隊形ができあがった。一般シリーズではあるあるも、女子戦ではレアな最終隊形だ。
そして、今日は4カドの細川がしっかり踏み込んだ。カド受けの藤原をスリットで半艇身ほど煽り、さらにダッシュの利で飛び越える。このあたりの迷いのなさは細川の真骨頂で、3戦目にしてやっと細川の「私らしさ」が炸裂したと言っていいだろう。
猪突猛進、インの渡邉まで呑み込んで、トータル23点=ファイナル当確ランプを点した。明日もセンター枠になりそうだが、課題のスタート(大一番では凹みやすい)を克服し、男前の自力アタックを見せてもらいたい。
さてさて、4カドまくりの大技が決まって2着は誰かいな? と後方を見たらば、2番手にポツンと1艇、最後にまくられたはずの渡邉が悠々生き残っていた。昨日はジカまくりを浴びたのに1着、今日も絞めまくりを喰らったのに平然と2番手。このゾンビの如きサバイバルはいったいナニゴトなのか……訳がわからんまま優美さんは2着を守り切り、トータル25点で細川以上のファイナル好枠を決め込んだ。うーーーーん、なんだかんだで素晴らしい、おめでとう!
その後方、3着争いはしっちゃかめっちゃかの大混戦。ターンマークごとに順位が変わる接戦となったが、ことトライアルの関連でいうとギリギリ4着を取りきった三浦だけが21点でファイナルの可能性を残した。
51歳のW下剋上
12R
①遠藤エミ(滋賀) 11
②海野ゆかり(広島)16
③西橋奈未(福井) 12
④浜田亜理沙(埼玉)14
⑤平山智加(香川) 16
⑥川野芽唯(福岡) 14
あっと驚く大波乱!! 昨日は2コースからジカまくりでイン渡邉を沈めた(実際には沈まず1着w)海野が、同じ2コースから今度はパーフェクトVを目指す遠藤をぶっ差した。
バック直線、遠藤は必死に舳先を振りほどこうとしたが、食らいついて離れない。行き足も伸びも一緒か、なんなら海野のほうがわずかに上だったか。しっかり舳先をねじ込んだ海野は2マークを先制。遠藤の逆転狙いの差しも軽やかに交わして、ジャイアントキリングを決定づけた。51歳、恐るべし。
「下剋上、起こしまーーす!」
初日の選手紹介で高らかに宣言した海野さん、このレースそのものが凄まじい下剋上だったが、終わってみればファイナル5号艇。展開一本で有言実行がありえるポジションをGETした。レース後のインタビューもニッコニコ。
「(遠藤に)初めて勝てました。生まれて初めて勝ったんじゃないですか?」
んなわけないやん!(笑)
遠藤の敗因は、現時点ではわからない。4着5着あたりでトップ当選という余裕の立ち位置だったが、もちろん油断があったわけではないだろう。ただ、まくられての6着惨敗を警戒して、「差されるとしても、まくられない握りマイ」を念頭に置いていた可能性はある。少しターンマークを外しつつ、かなり強めに握っていたから。
そうだとしても、バック~2マークの攻防を見る限り、海野よりちょい劣勢か良くて同じくらいという足色だった。うむ、現時点では色んな意味で下剋上の1着をやらかした海野を絶賛するしかない。海野さん、ブラボーー!!
後続の混戦の中からギリギリ20点でファイナルに滑り込んだのは、6着に敗れた平山だった。昨日までの貯金を使い込み、明日は大外の6号艇。同県の平高は決死の前付けを見せたが、明日の平山はどうか。タイプ的には、平高よりも前付けしない気がするのだが……。(photos/シギ―中尾、text/畠山)
12R優勝戦
①遠藤エミ(滋賀)
②渡邉優美(福岡)
③細川裕子(愛知)
④三浦永理(静岡)
⑤海野ゆかり(広島)
⑥平山智加(香川)