BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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芦屋チャレカTOPICS初日

GP連覇モード、突入!

 

 今日、道中でいちばん迫力のあるターンを魅せたのが、7R6号艇の茅原悠紀だ。1マークは6コースから展開なく後手を踏み、2マークでも握りマイが届かず大外の5番手あたり。ここからだ。そのまま外ラチを直進した茅原は、2周1マーク、委細構わず握った。大外から大外への大円心全速ターン。この一発のターンが、3番手の赤岩善生を軽がると呑み込んでいた。名付けて『円月殺法ターン』だな。

 

 

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で、次なる標的は2番手の池永太だ。2周バックのストレートでじわじわ差を詰め、2マークの鋭角差しで一気に肉薄する。肉薄するどころか、凄まじい伸びであっという間に舳先を並べていた。地元の池永とてしも、このまま逆転を許すわけにはいかない。締める締める締める。ホーム水面からバック水面にハミ出すくらいの勢いで内の茅原を圧迫し、それからサッと艇を開いた。茅原のマイシロ幅は、5mもあっただろうか。並みの選手なら、まともなターンは不可能だ。が、もちろんこの男は並みのレーサーではない。つか、並みのスターレーサーではない。極端に狭いマイシロのまま、さほどスピードを落とさず豪快に艇を回した。

 シュパーーーーンッ!!

 

 

 

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どんなレバー操作で、どんなハンドル捌きだったのだろうか。そんな歯切れのいい音が聞こえて、3秒で艇が180度翻っていた。マイシロをとった池永の差しが完全に空を切る。凄まじい切れ味、恐るべきターンスピード。名付けて『緑のランボルギーニターン』(笑)。もちろん、そのターンにしっかり追随した53号機も賞賛すべきだろう。昨日、「突き抜けるだけの破壊力が感じられない」と書いたが、茅原自身が破壊力の塊なのだから、それを損なわないだけのパワーがあれば十分なのだ。いや、前節・白水勝也の「記憶にないくらい出ている」というコメントどおり、53号機そのものが茅原級のリーサルウェポンなのかも? そうだとしたら、あなた。今節、ランボルギーニを超越するほどの怪物が、芦屋の水面にいることになる。目下、賞金ランク16位の茅原が優勝すれば、5~7位あたりまで浮上するだろう。今日の2発の悶絶ターンはそれを容易に想像させたし、GP2連覇をも予感させるものだった。

 

 

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 そうそう、悶絶ターンと言えば、12Rドリーム戦で石野貴之との叩き合いを制した峰竜太のターンもド迫力だった。今節は、いや今節も、ニュージェネレーションの面々が観衆を唖然とさせるような異次元ターンを連発することだろう。

 

来年こそは、明日こそは!

 

 若手が活躍する中、苦杯を舐めたベテラン勢も少なくなかった。とりわけ残念なのは、ミスター今村豊だ。今節、優勝すれば24場全制覇。同時にグランプリの権利もゲットし、それを制すれば24場・全記念制覇……つい昨日、私はそんなミラクルストーリーを記したが、わずか1日でその夢は潰えてしまった。6Rの2マーク、外の艇を内から追っつけたときにキャビッて転覆。さらに後続艇を巻き込んだため、妨害失格。心だけでなく身体も痛めたミスターは、そのまま芦屋を後にした。大事に至らなかったのが不幸中の幸いだが、54歳の身の上には無念の2文字が刻まれたことだろう。

 

 

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 超人と凡人を比較しても意味がないのだが、同い年の私は忍び寄る“老い”をことあるごとに感じるようになってきた。ミスターは、あと何年ほどトップ級のレーサーとしてSG戦線を賑わせられるだろうか。どんな超人にも、年齢的な限界は訪れる。その日が来る前に、同い年のスーパースターが再び頂点として光り輝く瞬間を見たいし、見せてもらいたい。来年、ミスターへの私の応援、声援は、さらに熱がこもることだろう。

 

 

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 続いて、ベテランの域に突入してからダービーを制した守田俊介なのだが……昨日の前検欄で煽りに煽った末に、ドリーム6着、大敗。ピット離れで遅れるわ、スローに潜り込んだら5カド石野貴之のスタート攻勢で潰されるわ、散々の6着だった。大口を叩いたことを読者に詫びつつ、「いったい、どうなったらああなるんや、俊キチーー!!??」と問いかけたい。もちろん、俊介はほとんど昨日のままで臨んだはずなのだが……モーターは生き物。深い溜息とともに、改めてそう痛感した次第だ。極端に気温が下がるらしい明日、49号機はまたどんな変化を見せるのか。少なくともピット離れの悪さを解消し、自信の持てる状態で1号艇のピットに向かってもらいたい。

 

 

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 さてさて、長丁場の予選が続く女子チャレカに関しては、徐々に記事量を増やしていくことにしよう。今日の実戦を見る限り、やはり総体的なパワーは寺田千恵がトップだったと思う。決して図抜けているわけではないけれど、シリーズ前半あたりまでは、テラッチが主役の一角を担うだろう。それから、「スタート勘をいち早く掴んだ選手が断然有利」という感想も抱いた。それほど、女子戦のスリット隊形は心もとないものだったな。うん、V戦線にまつわるそれ以外の予測は、現時点ではちょっと難しいです。(photos/シギー中尾、text/畠山)