BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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桐生メモリアルTOPICS 4日目

649394THE勝負駆け①予選トップ争い

大阪御堂筋大作戦??

 

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 今節の予選トップ争いは、非常にシンプルな流れになった。まずは3Rで暫定3位の菊地孝平が登場。昨日までゼロ台を連発していた菊地だが、今日は大人の対応?でコンマ13。2コースからしっかりと差しハンドルを入れて2着を獲りきり、勝率8・00で予選を終えた。

 で、この瞬間、菊地を超える可能性のある選手は、ふたりの選手に絞られたのだ。暫定トップの須藤博倫と同2位の石野貴之。しかもこの両者は11Rの直接対決、一発勝負。その結果次第で、3人の中の誰かしらがポールポジションをゲットすることになった。こんなにシンプルなトップ争い、かなり珍しいな。

 4~10Rまで首位争いとは無縁の戦いが続き、雌雄を決する11Rがやってきた。3人がそれぞれトップに立つ条件を記しておこう。

 

★須藤…①着でトップ確定。②着でも石野が③着以下ならトップ。③着は落選。

★石野…①着でトップ確定。②着でも須藤が③着以下ならトップ。③着は落選。

★菊地…須藤、石野ともに③着以下ならトップ。

 

 つまり、須藤と石野は勝率こそ違え、まったく同じ条件の自力勝負駆け。「要は勝ってしまえばいい」ってな感じで、こうなると2号艇の須藤の方が5号艇の石野より若干有利な立場ではあったのだが……。

 

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 ガチンコの直接対決は、ピットアウトの段階から大いに盛り上がった。まずは5号艇の石野がここ一番の“秘術”=抜群のピット離れを繰り出し、4コースをゲット(狙っていたのかどうかはわからない)。センターの並びが松井・石野という強力な布陣になった。しかも、松井が颯爽と舳先を翻して3カドに構える。スタンド騒然。私も「うわっ!」と大声を出した。脳内に浮かんだシナリオはこうだ。

『準優へ③着勝負の松井が3カドからスタートを決めて、威勢よく握る。しかも須藤を引き波に嵌めるようなツケマイを繰り出し、石野の予選トップを援護射撃する。石野は松井に連動してマーク差し。この作戦が決まれば、松井-石野でも石野-松井でも大阪コンビの満願が成就する』

 勝手な思い込みだが、なかなかに愉しい妄想だった。が、実戦はまったく別物。大阪勢の猛攻を警戒したであろう須藤が、スリットから松井をブロック。握っては攻めきれないと見た松井は、すぐさま差しハンドルを入れた。須藤も差しを選択したのだが、その初動は二番差しの松井のほうが早いように見えた(つまり、3コースの松井が一番差しで、2コースのヒロリンが二番差し??w)。

 

 

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 あるいは、これも松井なりの「大阪御堂筋作戦」だったのか。4コースの石野は難なく“一番差し”松井の上を通過し、“二番差し”須藤を射程圏に捉えた。そして、スピードを落とさぬまま狙いすましたまくり差し。直接対決の両者が舳先を揃えたのは、コンマ1秒もなかっただろう。石野がスーーッと須藤を追い抜き、須藤がその引き波に嵌って予選トップのレーサーがほぼ確定した。2マーク、石野はうっかりターンマークを外して中島孝平に抜かれるのだが、こと準優に関しては何の影響もない逆転だった。

 昨日まで抜群のリズムと展開の利を生かしてトップ集団に立ったふたり。予選の最後は、先月の鳴門から凄まじいバイオリズムとハンドルワークを発揮している石野に軍配が上がった。あと2戦、イン逃げを決めればSG連覇。準優5号艇、優勝戦3号艇だった鳴門オーシャンより、その成功率はかなり高い気がするのだが、どうだろうか。

 

THE勝負駆け②準優ボーダー争い

若手の真打、残った!

 

 ④⑤着条件だった地元のエース山崎智也が、6・5着でよもやの終戦。エース40号機で初日には有力なV候補と見られていた濱野谷憲吾も脱落……準優ボーダー争いのほうは、それなりの波乱とともに選手の明暗を分け続けた。“明”で印象に残ったのは、ニュージェネはじめ若手レーサーの奮闘だ。

 

 

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 まずは茅原悠紀。今日の茅原は2・4号艇で①②着となかなかに厳しい勝負駆け。昨日までの機力を考えると苦しいかと思っていたらば、なんのなんの、2着1着でキッチリと難関を突破した。パワーアップの成功も大きかったようだが、これを実現させた最大の要因はやはり突出したターンスピードだった。1Rの2マークでは同体の江口晃生に、有無をも言わせぬ一撃の全速ツケマイ。一瞬で地元のベテランを置き去りにした。

 4カドだった6Rは、一転して俊敏な鋭角差し。3コース濱野谷の動きを横目で睨み続け、憲吾が握ったのと同時に「待ってました!」とばかりにほぼ全速の差しハンドルを入れた。その初動の速さといい角度の鋭さといい、「ああ、茅原だなぁ」と呆れるしかなかった。破壊力満点のリーサルウェポンを駆使して、準優6号艇に滑り込んだ茅原。パワーは良くて中堅上位レベルだと思うのだが、もちろんノーマークにできるはずもない。この男が準優の片隅にいるだけで、なんとなく心が弾むのは私だけだろうか。

 

 

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 続いて、地元の毒島誠だ。今日のブス君の勝負駆けは、茅原よりさらに厳しげな6・5号艇での②③着。が、日々の大整備でついに答えを見出したこの若者にとっては、さほどの難関でもなかったか。3着1着、お釣りまでもらう成績で予選を突破した。圧巻は5号艇5コースの8Rで、スリットほぼ同体からのまくり差し一撃。なんちゅうか、その放物線を描いた航跡の美しいこと。スリットからまずはまっすぐ、ある時点でシュッとハンドルを入れて流れるような鋭角の弧を描き、またあとはまっすぐ……無駄らしい無駄がいっさい見当たらない異次元の航跡とともに、毒島はバックで先頭に立っていた。今日のところは「剛のカヤ、柔のブス」ってな感じの悶絶ターンだった。おそらく、毒島の心中には「智也さんとともに準優へ」という思いがあっただう。が、その智也が10Rでよもやの大敗を喫し、準優に進む地元レーサーは毒島だけになってしまった。地元のSGで、単騎の準優。毒島がどんな気持ちで挑み、どんなターンを繰り出すのか。これもまた大きな楽しみではある。あ、そうそう、同じく若手の池永太も2・1着で逆転突破。3・1号艇という好枠ではあったが、実に天晴れだったな。

 

 

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 で、若手といえば……日々書き続けてきた遠藤エミは、④着という条件をクリアできずに脱落。今日のエミのレースっぷりには、指摘するほどのミスは見当たらない。3コースからしっかり握って攻めたら流れた1号艇と艇が重なり、最後方へ。そこからターンマークごとに持ち前の全速マイを連発。それでも届かないと見るや、最後の1周は切り返しや最内の小回りなどのテクニックを披露して王者・松井を捉えきった。運がなかったが、今日のレースが私の目には彼女の今節のベストバウトに見えた。パワー任せではない、持てる実力をフルに発揮した真っ向勝負だった。それでも予選を突破できなかったのは、そのまま己の実力不足。そう肝に銘じつつ、また明日からのレースに臨んでもらいたい。焦るより、今はこの場で学ぶことが重要だと思う。(photos/シギー中尾、text/畠山)